レモングラスの香りの効果「午前中2時間」かぐだけで脳が活性化する!

レモングラスの香りの効果「午前中2時間」かぐだけで脳が活性化する!

鼻の奥でにおいがキャッチされると、その情報が脳の大脳皮質に伝わります。その際、においの情報は、記憶をつかさどる海馬を通ります。このように、嗅覚が刺激されることで、古い記憶が呼び起こされるのです。この一連の過程は、脳を活性化することにつながります。【解説】塩田清二(星薬科大学教授・医学博士)


解説者のプロフィール

塩田清二(しおだ・せいじ)
星薬科大学教授・医学博士

会話が活発になり食べ残しが減った!

 皆さんは、「レモングラス」というハーブをご存じでしょうか。名前のとおり、レモンに似た柑橘系の強い香りがします。
最近では、アロマオイルや香水として珍重されているほか、タイ料理で香りづけの食材として用いられています。

 私は長年、香りと脳機能の関連について研究してきました。そのなかで、「レモングラスの香りをかぐと、認知症の予防・改善に効果を発揮する」ことを実証したのです。

 例えば、何かのにおいをかいだとき、子供のころに見た風景を鮮明に思い出して懐かしくなることがあるでしょう。これは、五感のうちで嗅覚が、特に記憶と密接につながっている証拠です。

 鼻の奥でにおいがキャッチされると、その情報が脳の大脳皮質に伝わります。その際、においの情報は、記憶をつかさどる海馬を通ります。このように、嗅覚が刺激されることで、古い記憶が呼び起こされるのです。この一連の過程は、脳を活性化することにつながります。

 認知症になると、まず嗅覚が衰えます。嗅覚の衰えは、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)を判断する目安となっているのです。

 そこで私は、実際にレモングラスを用いて、嗅覚が認知症の予防・改善にどれほど効果を発揮するのかを実証することにしました。

 認知症の患者さんが入所している介護老人施設にご協力いただき、午前中の2時間ほどレモングラスの香りをかいでもらいました。すると、1ヵ月ほどで患者さんたちに変化が見られました。今までは、午後になるとほとんどウトウトする状態だった患者さんが、活発に動いたり会話をしたりするようになったのです。

 そのほかにも、食事の食べ残しが減った、表情が明るくなったなど、目に見える改善効果が発揮されました。

 また、レモングラスのにおいの効果により、日中は活動的になるので、夜はよく眠れるようになるという傾向も見られました。昼夜逆転していた患者さんが減り、介護するかたの負担も大いに軽くなったのです。

 こうした生活面での改善だけではなく、認知度を調べる記憶テストにおいても、明らかに向上したデータが得られました。周囲への関心、不安、幻覚、妄想などの周辺症状にも改善傾向が確認できたのです。

午前中に2時間が目安!マスクに吹くのもお勧め

 この介護施設での実証の結果、レモングラスの香りを午前中に2時間ほどかぐと、大脳皮質の前頭葉が刺激されて血流が増え、神経細胞が活性化することが明らかになりました。

 レモングラスは、イネ科の多年草なので、庭で栽培することは比較的容易ですが、お勧めしたいのは市販されている精油(アロマオイル)を使うことです。これをディフューザーという機器で空気中に拡散させるといいでしょう。また、私が考案した「低温真空抽出法」で精製されたレモングラスの原液を使うとより効果的です。

 もし、ご自宅にディフューザーがないかたや、室内で猫を飼っておられるかた(精油は猫には猛毒なので注意)は、マスクの内側に精油を吹きつけて着用することをお勧めします。

 さて、いずれの方法を用いる場合でも注意すべきは、「午前中に2時間ほど」という点です。
 レモングラスの香りが、いくら認知症の予防・改善に役立つからといって、一日中かいではいけません。香りには、習慣性があるため、慣れてしまうと刺激にならないのです。あくまでも、1日2時間を目安にしてください。

 また、午前中に勧めるのは、レモングラスの香りには、強力な覚醒作用があるからです。身体を活発に活動させるときに働く、交感神経も高めます。
 私が実証を行った施設の患者さんたちが、どんどん活動的になったのも、これらの作用によるものです。就寝前にかぐと、眠れなくなるので注意してください。

ディフューザーを使うと効果的

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


40代で始まっている!?認知症を起こす「脳の糖尿病」チェックリストと対策

40代で始まっている!?認知症を起こす「脳の糖尿病」チェックリストと対策

認知症というと高齢者の病気、と考える人も多いでしょう。近年、認知症は「脳の糖尿病」で生活習慣の改善で予防できることがわかりました。認知症は20~30代の頃の生活習慣、特に食習慣の結果でもあります。ですから早めに対処することが認知症予防には欠かせません。【解説】熊谷賴佳(脳神経外科専門医・認知症サポート医・京浜病院院長)


朝イチで飲む抹茶レモンで脳が活性化!記憶力が改善する効果

朝イチで飲む抹茶レモンで脳が活性化!記憶力が改善する効果

抹茶に含まれるカテキンなどのポリフェノールは、抗酸化力の強い物質であることがわかっています。さらに、レモンの皮に含まれる「ノビレチン」というポリフェノールには、認知症の原因の1つとされている、アミロイドβという物質の脳への沈着を減らす働きがあるという研究結果が出ているのです。【解説】丁宗鐵(医学博士・日本薬科大学学長)


【集中力がアップ】片側の鼻で呼吸するとイライラが消え記憶力が向上する!

【集中力がアップ】片側の鼻で呼吸するとイライラが消え記憶力が向上する!

片鼻呼吸法とは、文字どおり、片側の鼻だけで呼吸する方法で、ヨガなどでもよく行われています。片鼻呼吸法を毎日行うことで、記憶力を向上させ、ボケを防いで、さらにさまざまな健康効果を得ることを期待できるのです。【解説】高田明和(浜松医科大学名誉教授)


脳を鍛える【足の使い方】脳の専門家おすすめは「足指の小指刺激」

脳を鍛える【足の使い方】脳の専門家おすすめは「足指の小指刺激」

ほとんどの人は、両足10本の指のうちに何本か、意識があまり通じていない指があるはずです。足には多くの筋肉があり、5本の指それぞれで、使う筋肉も異なります。指1本1本を動かしたり刺激したりすれば、それだけで、脳に多彩な刺激が行き渡り、脳が喜びます。【解説】加藤俊徳(加藤プラチナクリニック院長・「脳の学校」代表)


認知症や脳卒中の予防に期待 シソ酢に含まれる「ロスマリン酸」の効果

認知症や脳卒中の予防に期待 シソ酢に含まれる「ロスマリン酸」の効果

近年、青ジソや赤ジソに含まれる「ロスマリン酸」に注目が集まっています。ロスマリン酸は、認知症を引き起こす脳へのたんぱく質の凝集を防ぐと期待されています。脳の酸化を抑えることは、脳の病気を予防することに直結するといってもいいでしょう。【解説】阿部康二(岡山大学医学部脳神経内科学教授)


最新の投稿


布施博が脊柱管狭窄症を克服!足の激痛と歩行困難から救った方法とは?

布施博が脊柱管狭窄症を克服!足の激痛と歩行困難から救った方法とは?

腰の辺りから肩甲骨の下辺りまで指圧しても、せいぜい3分程度しかかかりません。実際にやってみると、これがすごく気持ちいいんです!こわばっていた筋肉がほぐれていくのを実感できます。なにしろ、脊柱管狭窄症の症状が目に見えてよくなりましたね。右足に感じていた激痛が、すっかり治まったんです。【体験談】布施博(俳優)


金属音のような耳鳴りが「酢タマネギ」で大改善した!納豆を入れるのがお勧め

金属音のような耳鳴りが「酢タマネギ」で大改善した!納豆を入れるのがお勧め

作った酢タマネギを、毎朝食べている納豆に混ぜて食べています。酢タマネギを混ぜる量は、私はカレースプーンに2杯、妻は1杯です。こうして毎日の朝食で酢タマネギを食べ続けていたら、耳鳴りの音が徐々に小さくなってきたのです。3ヵ月後には、日中はほとんど気にならなくなりました。【体験談】鈴木興起(無職・80歳)


老廃物を排出してむくみ改善!心身がスッキリする「塩カイロ」の作り方 ・やり方

老廃物を排出してむくみ改善!心身がスッキリする「塩カイロ」の作り方 ・やり方

今回、むくみの予防と改善のためにお勧めするのが「塩カイロ」です。塩カイロは、塩灸をアレンジした、手軽なセルフケアです。塩カイロは、お尻にある尾骨を温めます。尾骨周辺を塩カイロで温めることにより、こりやゆがみが解消し、自律神経のバランスが整って、血液やリンパの流れが改善するのです。【解説】宮本啓稔(新宿西口治療院院長)


【炭酸水パックの美肌効果】ペットボトルでもOK?濃度(ppm)の目安はある?

【炭酸水パックの美肌効果】ペットボトルでもOK?濃度(ppm)の目安はある?

炭酸水につかると、その部位の毛穴から炭酸が浸透。体内で毛細血管に入り、血管内の酸素を細胞に送り出します。これを体が察知すると「酸素が足りていない」と勘違い。炭酸水につかっている部位に酸素を供給しようと、血液がドッと流れてきます。こうして血管が拡張され血流が改善するのです。【解説】齋藤真理子(山本メディカルセンター院長)


貧血を改善する食べ物は海苔がおすすめ!しつこい疲れや憂うつな気分も解消する

貧血を改善する食べ物は海苔がおすすめ!しつこい疲れや憂うつな気分も解消する

実は日本は、貧血大国です。50歳未満の健康な日本人女性1万 3000人以上を対象にした調査で、22.3%の人が貧血に相当し、そのうち25.2%は重度の貧血という結果が出ているほどです。女性に最も多いのは、貧血の約2/3を占めると言われる「鉄欠乏性貧血」です。【解説】山本佳奈(ときわ会常磐病院・ナビタスクリニック内科医)