MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
ラジオを聞けば【認知症予防】になる!聞く力を鍛える「ながらラジオ」のススメ

ラジオを聞けば【認知症予防】になる!聞く力を鍛える「ながらラジオ」のススメ

脳は機能別に、聴覚、運動、伝達、感情、思考、視覚、理解、記憶の八つに大別できます。それを私は「脳番地」と呼んでいます。ラジオは注意を向けて聞こうとするだけで聴覚系脳番地が鍛えられます。それが楽しく聞けていれば理解系や記憶系の脳番地もいっしょに鍛えることができます。【解説】加藤俊徳(加藤プラチナクリニック院長)

解説者のプロフィール

加藤俊徳(かとう・としのり)
●加藤プラチナクリニック
東京都港区白金台3-14-35 白金台ドルチェ701
03-5422-8565
https://www.nobanchi.com/

加藤プラチナクリニック院長。
1961年、新潟県生まれ。脳内科医、医学博士、昭和大学客員教授。MRI脳画像診断の第一人者。脳番地トレーニングの提唱者。95年から2001年まで米国ミネソタ大学でアルツハイマー病、発達障害などの脳画像研究に従事。帰国後、慶應義塾大学、東京大学などでの脳研究を経て、06年に脳の学校、13年に加藤プラチナクリニックを開設。MRI脳画像を用いた発達障害や認知症などの診断、治療を実践している。ベストセラー『脳の強化書』(あさ出版)、『忘れない時間が長くなる脳ドリル』(MSムック)など著書多数。

聞く力が乏しければ記憶系も理解系も衰える

 私は30年にわたり、MRI(磁気共鳴画像)を使って脳を分析・診断する研究を行ってきました。その結果、脳は機能別に、聴覚、運動、伝達、感情、思考、視覚、理解、記憶の八つに大別できるとわかりました。それを私は、「脳番地」と呼んでいます(下図参照)。

 八つの脳番地は、それぞれが別の機能を担いながらも、複数が連携して働いています。できるだけ多くの脳番地の連携(ネットワーク)を強化することで、脳全体の機能を高めることができます。

 そうした視点から、認知症を予防するために、私が注目しているのが、脳の「聞く力」を刺激する「聴覚系」脳番地です。

 私たちが、人とコミュニケーションをとるとき、聴覚系で言葉を認識し、理解系で話の意味を理解し、伝達系によって自分の意思を伝えます。

 このように聴覚系はコミュニケーションの出発点であり、ほかの複数の脳番地を働かせるスイッチにもなっているのです。

 一方、聞く力が乏しいと、記憶系や理解系も一気に衰えます。
 この聞く力を強化するのに、お勧めしているのが「ラジオを聞く」ことです。

■脳番地(脳の機能分布)

①聴覚系…耳で聞いた情報を脳に集積させる
②運動系…体を動かすこと全般にかかわる
③伝達系…意思疎通やコミュニケーションにかかわる
④感情系…喜怒哀楽などの感性や社会性にかかわる
⑤思考系…考えたり判断したりするときに使う
⑥視覚系…目で見た情報を脳に集積させる
⑦理解系…物事や言葉を理解するのにかかわる
⑧記憶系…覚えたり思い出したりする記憶にかかわる

懐メロを聞いたら記憶力が格段にアップ

 ラジオは、注意を向けて聞こうとするだけで、聴覚系脳番地が鍛えられます。それが楽しく聞けていれば、聞いたことをよく理解でき、記憶にもしっかり残ります。ですから、理解系や記憶系の脳番地もいっしょに鍛えることができるのです。

 聴覚系以外の脳番地を同時に鍛えるという意味では、「ながらラジオ」がいいでしょう。例えば、料理や掃除などをしながらラジオを聞くと、聴覚系に加えて、運動系の脳番地が鍛えられます。

 また、ラジオは参加型メディアです。聞いているだけでパーソナリティ(司会者)とつながり、一体感が持てるので、孤立感を和らげることができます。孤立感は、認知機能を低下させるといわれています。

 昭和の懐かしい歌謡曲などを特集する、懐メロ番組もお勧めです。懐メロを聞くと、それを聞いたころの状況を思い出し、当時の脳の使い方ができるようになります。

 当院で、70代の認知症の患者さんに好きだった歌謡曲を聞いてもらったところ、直後の脳検査で記憶力が格段に向上しました。懐メロを聞くことで、記憶を引き出しやすくなるのです。

 以前私は、アーティスティックスイミングの名コーチ・井村雅代さんの脳をMRIで見る機会がありました。

 アーティスティックスイミングは、音楽に合わせて水中で体を動かし演技を行う競技です。聞く力がなければ、表現することも、ほかの人とタイミングを合わせることもできません。しかも同時に体を動かすので、多方面の脳番地が使われます。

 実際に、井村さんは、どの脳番地もよく使われていて、衰えているところのない非常に若々しい脳でした。

ラジオを楽しめたら認知症の心配はなし!

 ところで現代は、テレビやスマホから目を離さない人が増えています。特にテレビは情報が一方的に流れてきますから、「見る」というより「見せられている」状態になりがちで、ラジオのように聞くことだけで記憶力を使いながら脳を活性化させることはできません。目的もなくダラダラ見ていると、脳番地は機能せず、認知機能の低下へとつながります。

 ラジオ創成期に熱心なリスナーだった人であればなお、高齢になったら、再びラジオに耳を傾けてください。実際にラジオをよく聞いていた人たちは、記憶力のベースが高いので、年を取ってからも物忘れしにくいようです。

 高齢で耳が遠くなっている人もいるでしょう。そういう人は、イヤホンをつけたり、補聴器を使ったりして、ラジオを楽しんでください。ラジオを楽しんでじっくり聞けている間は、認知症の心配はありません。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連するキーワード
関連記事
納豆はコレステロールや脂質の含有量が少なく、糖尿病や脂質異常症を引き起こす可能性が低い優れた食材です。ナットウキナーゼには、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし血栓を作りにくくする効果があり、動脈硬化を予防します。アマニ油と摂ると血管若返りに効果が期待できます【解説】広川慶裕(認知症予防医・ひろかわクリニック院長)
更新: 2019-04-14 18:00:00
認知症が進行すると、自分がいる場所がどこで、話している相手は誰かなど、自分の置かれている状況の見当がつきにくくなってきます。これを「見当識障害」といいます。現実見当識訓練は、脳に残っている機能に働きかけて現実見当識を高め、認知症の進行を遅らせることを目指します。【解説】石井映幸(ふれあい鶴見ホスピタル副院長)
更新: 2018-10-12 18:00:00
近年、記憶と関連の深い脳の海馬などでは、新しい細胞が毎日生まれていると判明しています。ですから、脳の萎縮が進んでも、それをカバーする脳内の環境作りは十分可能だといえます。今からでも遅くはありません。耳もみを早速実践して、脳の血流を活発にしてください。【解説】広川慶裕(ひろかわクリニック院長)
更新: 2018-10-07 18:00:00
片足立ちは、有酸素運動とバランス運動を兼ねています。片足立ちを1分続けることは、50分歩くのとほぼ同じ運動量になります。有酸素運動が認知症予防に有効であることは、多くの研究データが示すところです。また、転倒予防という点からも優れています。【解説】長谷川嘉哉(土岐内科クリニック院長・医療法人ブレイングループ理事長)
更新: 2018-10-03 07:00:00
食後2時間血糖値の高い人ほど、アルツハイマー病の発症リスクが高く、中年期に糖尿病になって、病歴の長い人のほうが、海馬の萎縮が強いことも判明しました。したがって、食事の最初に野菜をたっぷり食べ、食後の血糖値が上がらないようにすることも大事です。【解説】二宮利治(九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生分野教授)
更新: 2018-09-30 12:00:00
最新記事
多くの研究で、うつ病の人は栄養のバランスがくずれていることがわかっています。栄養バランスを整え、エネルギーのとりすぎを防ぐためにも、単品の食事ではなく、主食、主菜、副菜、汁物がそろった定食スタイルの食事にするといいでしょう。ここではお勧めの主菜を紹介します。【解説】功刀浩(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)
更新: 2019-04-26 18:00:00
多くの研究で、うつ病の人は栄養のバランスがくずれていることがわかっています。栄養バランスを整え、エネルギーのとりすぎを防ぐためにも、単品の食事ではなく、主食、主菜、副菜、汁物がそろった定食スタイルの食事にするといいでしょう。ここではお勧めの主食を紹介します。【解説】功刀浩(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)
更新: 2019-04-25 18:00:00
ストレスに強くなり、うつを防ぎ・治す食事とは、特別なものがあるわけではありません。あたりまえのことですが、栄養バランスのよい食事を1日3食きちんと食べることです。ただし、いくつかのポイントがあるのも事実です。【解説】功刀浩(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)
更新: 2019-04-24 18:00:00
βグルカンの精製をさらに進めたところ、それまでとはまったく別の物質を発見しました。これが「MXフラクション」で、今のところマイタケからしか発見されていない成分です。【解説】難波宏彰(神戸薬科大学名誉教授・鹿児島大学大学院医歯学総合研究科客員教授)
更新: 2019-04-23 18:00:00
骨盤底筋を鍛えるための体操は、現在多くの医療機関で推奨されています。しかし、やり方をプリントされた紙を渡されるだけなど、わかりずらく続けにくい場合がほとんどです。そこでお勧めしたいのが、おしぼり状に巻いたタオルを使った「骨盤タオル体操」です。【解説】成島雅博(名鉄病院泌尿器科部長)
更新: 2019-04-22 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt