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高血圧改善にベストな食材「無塩梅干」の健康効果 減塩梅干しとの違いは?

高血圧改善にベストな食材「無塩梅干」の健康効果 減塩梅干しとの違いは?

梅の特徴といえば、強烈な酸味が挙げられますが、数々の薬効の源は、まさにあの酸っぱさにあります。これらの正体は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸です。クエン酸回路が機能し、血流がよくなることで、高血圧の改善にもつながります。【解説】額田均(額田医学生物学研究所理事長・医師)

解説者のプロフィール

額田均(ぬかだ・ひとし)
●額田医学生物学研究所
千葉市稲毛区稲毛町5丁目18番地
043-243-9430
https://nukada.jimdo.com/

額田医学生物学研究所理事長。
日本内科学会認定内科医、日本神経学会認定神経内科専門医。医学博士。
東邦大学医学部卒業後、北里大学病院勤務を経て、ニュージーランド・オタゴ大学内科で主に糖尿病性末梢神経障害について研究。その後日本に戻り、額田医学生物学研究所付属病院(現在は閉院)を中心に、末梢神経障害の研究と治療に携わる。

無塩梅干しなら梅の薬効を存分に享受できる!

 今回、塩を使わずに作る「無塩梅干し」という物があると知り、大変驚きました(作り方は「無塩梅干し」の作り方参照)。

 というのも、私は昔ながらのしょっぱい梅干しを好んで食べるのですが、こうした梅干しは中粒1個で、4gほども塩分を含んでいるからです。塩分濃度が高いからこそ、長期保存が可能なのですが、毎日食べるのは二の足を踏んでしまいます。

 私の専門である、手足のしびれなどの末梢神経障害は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と深いかかわりがあります。そのため、患者さんに食事指導をする際も「減塩」は不可欠です。

 厚生労働省の1日の塩分摂取量の目標値は、男性で8g、女性で7gです。日本高血圧学会はもっと厳しく、6g未満を推奨しています。また、腎臓病の人は、機能低下を防ぐため、より厳格な塩分制限が必要です。

 私も実際に、梅干しを食べるのは、2~3日に1個です。お気に入りの食べ方は、冷やっこに梅干しと、みじん切りにしたタマネギをのせ、カツオ節をかけた物ですが、これまでは、塩分を控えるため、しょうゆは使わないようにしていました。

 しかし、無塩であれば、そうした気遣いは無用です。積極的に食事に取り入れて、梅の薬効を存分に享受できるでしょう。

 梅干しが健康にいいことは、昔からよく知られているとおりです。梅や梅干しを使った民間療法も、数多く存在します。

 代表的なものを挙げるなら、胃腸炎には梅干し茶、頭痛や歯痛には梅干し湿布、不眠には梅酒、感染症には梅肉エキス、といったところでしょうか。今でこそ梅の成分を分析することも可能ですが、昔の人は、そんなことを知る由もありません。経験的に、優れた薬効があるとわかっていたのです。

酸性に傾きがちな血液バランスを整える!

 梅の特徴といえば、強烈な酸味が挙げられますが、数々の薬効の源は、まさにあの酸っぱさにあります。これらの正体は、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸などの有機酸です。

 年配の読者であれば、白いご飯の真ん中に梅干しを一つ入れた、昔ながらの「日の丸弁当」をご存じでしょう。アルミ製の弁当箱の、いつも同じ位置に梅干しを入れていたら、その部分が変色してしまった経験はありませんか。

 この強い酸こそが、梅干しの優れた殺菌・防腐作用のもとです。日の丸弁当は、食欲を増進させるうえ、食中毒の予防にもなります。実に一石二鳥というわけです。

 また、クエン酸には、代謝を向上させる効果もあります。
 私たちの体内で、エネルギーの産生に重要な役割を果たしているのが、「クエン酸回路」という代謝経路です。体内に取り込まれた糖質や脂質、たんぱく質といったエネルギー源は、クエン酸など複数の酸に次々と姿を変え、分解されていきます。

 クエン酸を摂取することで、このクエン酸回路がスムーズに機能すると、乳酸などの疲労物質もエネルギーとして活用されます。疲労回復に効くのは、こうしたわけです。私自身も、有酸素運動などのトレーニング後に梅干しを食べて、疲労回復の効果を実感しています。

 こうしてクエン酸回路が機能し、エネルギー源の分解が進むと、熱が産生されるので、代謝がアップします。常に全身がポカポカと温まれば、やせやすい体になるでしょう。血流がよくなることで、高血圧の改善にもつながります。

 梅干しを食べる利点は、ほかにもあります。人間の血液は、弱アルカリ性ですが、肉や魚、穀類、砂糖などの酸性食品を多く食べることで、これが酸性に傾きがちになります。

 そのため、野菜や海藻、キノコ類などのアルカリ性食品の摂取が勧められるのですが、このアルカリ性食品の代表といえるのが、梅干しなのです。酸とアルカリのバランスがよくなれば血液がサラサラになり、これも高血圧改善に役立ちます。

 ここまで読んで、「では、減塩梅干しなら健康にいいのか」と思った人もいるでしょう。
 しかし実は、多くの減塩梅干しは、塩漬けされた加工梅を脱塩して作られています。この過程でクエン酸の大半が抜けてしまうため、お勧めできません。

 さらに悪いことに、脱塩で抜けた風味を補うため、減塩梅干しには食品添加物が大量に用いられています。こうした添加物は、免疫機能に影響を及ぼし、アトピー性皮膚炎やぜんそくといった、アレルギー系症状の原因にもなります。

 ですから、健康のためには、塩分を含まない無添加の梅干しを食べるのがベスト。そして、そんな型破りなリクエストに応えてくれるのが、「無塩梅干し」なのです。
 ぜひ、無添加で安心・安全な無塩梅干しを、ご家庭に常備してください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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