解説者のプロフィール

ジェニー牛山(じぇにー・うしやま)
●ハリウッド美容専門学校
東京都港区六本木6-4-1 六本木ヒルズ ハリウッドプラザ
03-3408-5020
0120-083394(入学相談室フリーダイアル)
https://www.hollywood.ac.jp/
ハリウッド大学院大学副理事長・教授、ハリウッド美容専門学校校長。
日本における美容のパイオニアである故・メイ牛山氏の長女として、ハリウッドビューティ専門学校(現ハリウッド美容専門学校)で長年メイ氏を補佐し、プロ美容師の養成に携わる。美容文化史、美容健康食の研究でも知られ、ハリウッド大学院大学で教べんを執る。最新刊『ジェニー牛山先生の美と健康のレシピ』(講談社)など著書多数。
抹茶レモンを考案し大ヒット商品に
私は、大正時代から化粧品、美容室、美容学校などを手掛けてきたハリウッドビューティグループの創業者である父、牛山清人と、母、メイ牛山の長女として生まれました。
父は、映画の都ハリウッドで俳優として活躍し、最先端のメイクアップ技術に触れた経験から美容の道に進みました。そして、母とともに、当時の世界の最先端の美容技術の普及に務めたのです。例えば、日本に初めてパーマの機器やマスカラ、まつげや眉毛の育毛剤などを導入したのが、私の両親です。
母は「女はいつも楽しく美しく」をモットーに、96歳で亡くなるまで現役の美容家として、元気にイキイキと、精力的に仕事をこなしていました。
母の言葉に、「長寿は芸術、美人は長寿」というものがあります。母から教わったことは数知れませんが、美と健康のためには、なにより食事が重要であるという考え方はその最たるものです。
母は、昭和30年代からさまざまな「美健食」を提唱し、考案、開発してきました。母が最期まで、健康・長寿でいられたのは、自ら「美健食」を実践してきたからだと思います。
その食生活の中で、母が一日たりとも欠かさなかったのがレモンです。
実は、私たち家族は、かつてアメリカ生活の長かった父の影響で、肉食中心の偏った食生活を送っていた時期がありました。その頃は、家族全員の体調が優れず、みんな大小さまざまな病気やトラブルを抱えていました。
あるとき、母はその体調不良の原因が食生活にあることに気づきました。そして、動物性たんぱく質を極力控え、野菜や果物中心の食事に、徹底的に変えたのです。すると、たちまち家族全員が、見違えるように元気になりました。
当時、私は16歳でしたが、食生活が変わって体調がよくなっただけでなく、肌や髪もとても健康になりました。面白いことに、当時は毛深いことに悩んでいたのですが、7年かけてつるつるになったのです。こんなところまで食生活しだいで変わるのかと、驚きました。

日本の美容界のカリスマとして96歳まで活躍したメイ牛山さん。「長寿は芸術、美人は長寿」を体現した
レモンは天然のサビ止めで老化防止の特効薬
特に母が重要視していたのが、レモン汁をしっかりと摂取することでした。レモンは天然のサビ止めであり、老化防止の特効薬だと考えていたのです。
年をとると、体は少しずつ酸性化してサビていく、つまり老化していくわけです。そんな体の酸性化を防いで弱アルカリ体質に変えてくれるのが、レモンなどの柑橘類や梅干し、酢などの酸っぱい食べ物なのです。
母は、レモンを絞ってジュースにして飲んだり、搾り汁を料理や調味料に使ったりして、毎日、レモンを1個半は摂取していましたね。
母が50代のときに、考案したのが「抹茶レモン」。レモン汁に抹茶とハチミツ、水を合わせてシェイクしたリフレッシュティです。
カテキンやビタミン、葉緑素など、お茶の成分をまるごと摂取できる抹茶は体によいものですが、そこにレモンを加えることで、抹茶の成分が吸収されやすくなり、健康効果が抜群になるのです。
今でこそ、ペットボトルに入った冷たいお茶も一般的になりましたが、当時は特に抹茶に甘味と酸味を加えて冷たいまま飲むというのは、とても斬新なアイディアでした。
当初、この抹茶レモンを家族総出で手作りし、美容室のお客様にお出しして喜ばれていました。あるとき、母がテレビ番組で健康法を聞かれ、抹茶レモンのことを紹介したところ、日本中のお茶屋さんから抹茶が消えてしまうほどの大反響となったのです。
あまりの好評ぶりに、水に溶かすだけで抹茶レモンを飲めるように製品化したものは、半世紀近くたった今でもハリウッド化粧品の人気商品です。
抹茶レモンの、甘味と渋味と酸味がうまくブレンドした上品な味は、世界中で受け入れられました。持ち運びが簡単で、どこで誰に差し上げても喜ばれるからと、旅行作家の兼高かおるさんも、世界各地へのお土産として愛用してくださっていたそうです。
また、ロサンゼルスでは、あるメークアップアーチストを通じて、レーガン元大統領の奥様に抹茶レモンを飲んでいただく機会がありました。すると、カゼぎみだった奥様の体調がすぐによくなったとのことです。
膵臓がんの父が奇跡的な回復を見せた青汁レモン
母は、ほかにもレモンを使ったドリンクをいろいろと考案しています。いくつかをご紹介しましょう。
一つ目は、「根コンブレモン」です。これは甘くない抹茶レモンドリンクで、根コンブに豊富なヨードがしっかりとれるという特徴があります。
抗酸化作用やナトリウムの排出作用、および精神安定作用があります。髪に黒々としたツヤとコシが出て、ヘアスタイルが決まりやすく、肌が色白になるという効果も期待できます。
葉緑素たっぷりの「青汁レモン」もお勧めです。これは、血液をきれいにして細胞を活性化する力がとても強いドリンクです。シミ、シワの改善などの美肌づくりと精神安定、便秘解消のほか、免疫力を高める効果があります。
父は、77歳のときに膵臓がんと医師に診断されてから、この青汁レモンを毎朝欠かさず飲みました。そして3ヵ月持たないと言われたがんから奇跡的な回復を遂げ、92歳で天寿を全うしたのです。
最後は、記憶力と集中力が高まり、気力が充実する「卵白レモン」です。
卵白とレモン汁の成分が化合すると、脳の栄養となり、集中力を高めて頭の回転をよくするリン酸カルシウムが作られます。年を取ると、この成分が欠乏してくるので、その補充に最適です。
受験生のお子さんのいるお母様にお勧めしたところ、びっくりするほど勉強の能率が上がり志望校に合格できたと、喜ばれました。ただし、のぼせてしまうことがあるので、10歳以下のお子さんには飲ませないようにしてください。
母もこの卵白レモンが大好きで「頭がハッキリするから」と、講演会などの前には必ず飲んでいました。私の夫は「これを飲むと朝まで熟睡できる」と言っています。
効果を最大限に生かすために、卵白レモン以外のドリンクは、作ったらできるだけ早く飲んでください。私は出来上がったら30秒以内に飲むようにしています。
また、すべてのドリンクで水は、生水、すなわち加熱していない水を用います。というのも、生水には私たちの体の細胞に必要な酸素がたくさん含まれているからです。
お湯や湯冷ましなどの加熱水分は、体に吸収されにくく、排出されやすいという特徴があります。加熱水分は、老廃物や余分な塩分などを排出するのにはいいのですが、栄養を運んだり肌を潤したりするには、やはり生水がいちばんです。
私自身も、今でもレモンを食生活の中で欠かしたことがありません。
私はどちらかというと体が酸性に傾きやすい体質なので、常にアルカリ食品をとっておく必要があります。そのため、外出するときには、いつもレモン水を持ち歩いています。
500㎖の容量のペットボトルに水を7分目くらい入れ、そこにレモン汁を2分の1個分と、ハチミツ大さじ1杯を入れ、シェイクして作ります。これを1日のうちに飲み切るのです。
私も70歳を超えましたが、レモン水をこまめに飲んでいるおかげで、忙しい毎日でも疲れに負けることなく、1日を過ごすことができています。
体の内側から輝く真の美しさと健康長寿のために、ぜひレモンを活用してください。
美のカリスマ・メイ牛山さんが愛飲した「レモンドリンク」4種
甘酸っぱくておいしい!抹茶レモン

◎老化防止 ◎ストレス解消
【材料】(2人分)
レモン汁…1個分
抹茶…小さじ2
ハチミツ…小さじ4
水…360ml
【作り方】
❶材料をすべてよく混ぜる。
※抹茶が浮きやすいので、シェーカー(またはコップ型の密閉容器)に入れ、よく振るとムラなく混ぜやすい。
うまみたっぷり!根コンブレモン

◎髪、肌、爪の若返り ◎血液の浄化作用
【材料】(2人分)
レモン汁…1/2個分
水…150ml
根コンブ…6~8cm
抹茶…小さじ1
【作り方】
❶根コンブを水に漬けて、冷蔵庫に4時間以上置く。
❷根コンブを引き上げた水に、レモン汁と抹茶を加え、よく混ぜる。
※抹茶が浮きやすいので、シェーカー(またはコップ型の密閉容器)に入れ、よく振るとムラなく混ぜやすい。
苦味が少なく飲みやすい!青汁レモン

◎シミ、シワの改善 ◎イライラ防止 ◎免疫力向上
【材料】(2人分)
レモン汁…1個分
青ジソ…10枚
春菊…2本
ハチミツ…小さじ4
水…80ml
【作り方】
❶青ジソ、春菊、水をジューサーにかけ、青汁を取る。
❷①にレモン汁、ハチミツを加え、よく混ぜる。
※ジューサーがなければ、葉をすりつぶして布で搾る。
フワフワの口当たりがまるでお菓子!卵白レモン

◎記憶力・集中力向上 ◎安眠効果
材料
レモン汁…1個分
卵白…1個分
ハチミツ…小さじ1
【作り方】
❶ボウルにレモン汁、卵白、ハチミツを入れ、泡だて器で全体が白くフワフワになるまで泡立てる。
❷ラップをして冷蔵庫に4~6時間置く。
❸置いている間に液体が分離してくるので、飲む直前に軽くかき混ぜる。
※作った当日中に飲みきる。