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【高血圧性心不全の予防】今すぐできる!有効率85%の血圧コントロール法とは

【高血圧性心不全の予防】今すぐできる!有効率85%の血圧コントロール法とは

画期的な方法が、ここで紹介する「タオル握り」です。これは、フェイスタオルを巻いて、手で軽く握ったり、ゆるめたりする方法です。手足の血行が促されると、血管がしなやかに保たれ、高血圧の予防・改善になります。【解説】久代登志男(日野原記念クリニック(聖路加国際病院連携施設)所長・鬼倉循環器内科クリニック名誉院長)

解説者のプロフィール

久代登志男(くしろ・としお)
●日野原記念クリニック
東京都港区三田3-12-12 笹川記念会館11階
03-3454-5068
https://www.lpc-clinic.com/

医学博士・日野原記念クリニック(聖路加国際病院連携施設)所長、鬼倉循環器内科クリニック名誉院長。
1973年、日本大学医学部卒業。駿河台日本大学病院にて循環器助手となる。Clinical Fellowとして3年間米国に留学。その後、日本大学医学部総合健診センター勤務を経て2014年より現職。専門は循環器学、特に高血圧の臨床と循環器疾患の予防。著書には「タオル握り」を解説した『高血圧がスーッと落ち着くタオルグリップ法』(洋泉社)などがある。

急増中の「高血圧性心不全」とは

 さまざまある病気の中には、俗に「サイレント・キラー」と呼ばれるものがあります。日本語にすると「静かなる殺し屋」つまり、症状を起こさないまま進行し、命を奪う原因になりかねない病気のことです。その代表といえるのが高血圧です。

 高血圧自体は、特有の症状を起こしません。しかし、進行すると、心臓と血管に問題が起きてきます。

 高血圧が招く病気のうち、かつての日本で多かったのは脳出血でした。高血圧の影響で脳の血管が硬くなり、破れて出血するものです。

 しかし、現代の日本人はコレステロールを多くとるようになり、血管が破れるのではなく、動脈硬化で血管が詰まりやすくなっています。

 その結果、増えたのが脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる病気)です。脳出血も脳梗塞も脳卒中の一種ですが、現在では脳卒中の7〜8割が脳梗塞となっています。

 また、心臓を取り巻く動脈が硬化して起こる、狭心症や心筋梗塞(心臓の血管が詰まって起こる病気)も増えました。

 高血圧に加え、高コレステロールや肥満など、動脈硬化の要因を複数持っていると、上記の病気を起こしやすくなるので要注意です。

 また、高齢社会を背景に、高血圧が招く病気として、新たに注目されているのが、高血圧性心不全です。

 この病気は字のとおり、高血圧が主な原因として起こる心不全です。心不全になると、日常生活で息切れやむくみが起こり、それがしだいに進行し、入退院をくり返すことになり、人生に大きな影響をします。

 高齢時代の今、70歳を過ぎてから、高血圧性心不全になる人が急増しているのです。

130/80mmHg以上の血圧は要注意

 高血圧性心不全は、いったん起こってしまうと、治療は難しいものの、発症する前に血圧をコントロールしておけば、ほぼ確実に防げます。

 そこで最近は、高齢になって起こる心不全を防ぐためにも、若いうちから血圧をコントロールすることが重要とされています。では、どのくらいの血圧の数値を目指すべきでしょうか。この点も、最近少しずつ変わってきています。

 現在は、医療機関で測った血圧(診察室血圧)が140/90㎜Hg 以上、家庭で測った血圧(家庭血圧)が135/85㎜Hg 以上の場合に、高血圧と診断されます(最大血圧と最小血圧の一方でも当てはまれば高血圧)。

 家庭血圧は、起床後に一定の条件で測定し、最低2週間、できれば1ヵ月測った平均値で見ます。
 一定の条件とは、イスに座って両足を床につけ、背もたれに背をつけ、上腕にカフ(圧迫帯)を巻いて、心臓の高さに置いて測ることです。

 カフを巻いて1分ほどしたら測り、20~30秒後に再度測って2回の平均値を出します。これをできれば毎日、1ヵ月間行います。
 こうして測った血圧の平均値が、前述した数値未満ならば、現在の日本では正常血圧とされます。

 しかし、実は、正常値範囲内だとしても、130/80㎜Hg 以上の数値だと、将来的に高血圧になる可能性が高いことがわかっています。

 また、至適血圧(正常値の中でも理想的な血圧値)とされる120/80㎜Hg未満に比べ、8年間に心臓病を起こすリスクも3倍程度に跳ね上がります。

 アメリカでは、すでに130/80㎜Hg以上を高血圧とするよう変わっているのです。

130/80㎜Hg以上から行う6つの高血圧対策

 ですから、正常血圧と診断されても、130/80㎜Hg以上であれば、ぜひ生活習慣を改善して、血圧を下げていただきたいのです。それには、次のような対策が挙げられます。


①1日にとる塩分量が10g以上の人は、まずマイナス2gを目指す。最終目標は1日の摂取量が6g。

②ハム、ウインナー、練りもの、麺類などの加工食品は、食塩表示を見て、少ないものを選ぶ(ナトリウム表示の場合、「ナトリウム量㎎×2.5÷1000」でおよその食塩量(g数)が計算できる)。

③だし、酸味、香辛料などを活用して減塩する。

④カリウムの多く含まれるキャベツ、レタスなど生の葉野菜を積極的に食べ、体内のナトリウムを排出する(腎臓障害があってカリウムを制限されている人は除く)。

⑤1日40分程度の歩行を心がける。

⑥このほか、肥満解消、禁煙、飲酒は適量(1日に日本酒なら1合、ビールなら500㎖程度)以下に抑えるなど。


 すでに高血圧と診断されている人は、必要に応じて降圧剤を飲むことも重要です。きちんと通院していれば、重い副作用の心配はありません。
 少しずつの努力が、血圧の改善に役立ち、心臓や血管を守ることにつながります。

アメリカの心臓学会で認められた方法を改良

 前項では高血圧の現状と、六つの対策について解説しました。
 その対策に、もう一つ加えてほしい画期的な方法が、ここで紹介する「タオル握り」です。これは、フェイスタオルを巻いて、手で軽く握ったり、ゆるめたりする方法です(やり方は下記参照)。

 タオル握りの基になっているのは、「ハンドグリップ法」という方法で、カナダにあるマクマスター大学のフィリップ・ミラー博士が考案しました。これは、デジタル式の握力計を、適度な握力で握ったりゆるめたりする方法で、医学的な研究により、血圧の改善効果が確認されています。

 アメリカの心臓学会では、ハンドグリップ法について、最大血圧を平均13・4㎜Hg 、最小血圧を7・8㎜Hg下げる効果があり、降圧剤を使用しない高血圧の補完的な治療法として認めています。

 ハンドグリップ法を行うには、デジタル式の握力計が必要になります。しかし、握力計はどこの家庭にもあるわけでもありません。そこで、自宅にあるフェイスタオルを使って、その効果が得られるようにアレンジしたのがタオル握りです。 

 この方法は、ミラー博士にも確認してもらい、ハンドグリップ法と同等の効果があるというお墨付きをいただいています。

 また、日本体育大学の岡本孝信教授によって、効果の検証実験が行われました。その結果、降圧剤服用中の患者さんも含めて、7人中6人の高血圧が改善され、最大血圧が平均13・6㎜Hg、最小血圧が平均5・3㎜Hg下がりました。(正常値は最大血圧140㎜Hg未満、最小血圧90㎜Hg未満)。

 それにしても、タオルを握ったりゆるめたりするだけで、なぜ血圧が下がるのでしょうか。その理由をご説明しましょう。

 心臓から押し出された血液は、動脈では押し出された勢いと、動脈の収縮で、全身に流れていきます。
 しかし、2足歩行をする人間が心臓に血液を戻すさいは、重力に逆らって押し上げる必要があります。その役割を果たす静脈は、逆流防止の弁はあるものの、動脈と違って収縮力が弱く、そのままでは血液をうまく送り返せません。

 それを補うのが、筋肉運動です。筋肉を動かすと、収縮と拡張によるポンプ作用で血流が促されます。
 このポンプ作用は、ふくらはぎなどが「第2の心臓」と呼ばれ、よく知られていますが、実は、手にもあるのです。そのポンプ作用を手で効率よく行うのがタオル握りです。

 手足の血行が促されると、血管がしなやかに保たれ、高血圧の予防・改善になります。

タオル握りでなぜ血圧が下がるのか

 実際に、タオル握りを行ったとき、筋肉と血管に何が起きるかを示したのが上の図になります。

 タオルを握ると、前腕の筋肉が縮み、血管が圧迫されて血流が減ります。この状態を2分間維持した後、握りをゆるめます。

 すると、一気に筋肉がゆるんで血管が開放され、血流が戻るのですが、このとき、一時的に血液がタオルを握る前より、多く流れます。これは、血流が減ることで、動脈の内皮細胞(血管のもっとも内側に並んでいる細胞)から、血管を拡張させる一酸化窒素(NO)という物質が放出されるからです。

 NOは、血管を拡張したり、血管の傷を修復する作用だけでなく、血栓(血液の塊)の発生を抑制し、高血圧を改善します。また、血管の筋肉である平滑筋をゆるめる作用もあるため、放出されたNOは、全身に循環して、持続的に血圧が下がると考えられるのです。

 特に、前腕には多くの動脈があるため、タオル握り法によって多くのNOが放出され、血圧改善効果が得られます。

タオル握りを行う際の3つの注意ポイント

 タオル握りを行うさいに注意してほしいことが、以下の三つとなります。

①180/110㎜Hg以上の高血圧の人や、心臓病などで医療機関にかかっている人は、必ず事前に医師に相談する。降圧剤を服用している人も、事前に主治医の了解をもらう。

②力を入れすぎない、長時間握らない、両手で同時にやらない。

③減塩や生活習慣の改善など、他の対策と共に行う。

降圧剤との併用効果も期待できる

 また、タオル握りは、降圧剤の服用と併用してかまいません。タオル握り法の血圧を下げる機序が降圧剤と異なるため、併用効果が期待できます。

 タオル握りの効果は、家庭用血圧計できちんと血圧を測定しながら、2〜4週間かけて評価(別記事参照)してください。中には、少数ながら、タオル握りで効果が現れない人もいます。4週間続けても効果が出ない場合、それ以上続けても効果が期待できません。

 うまく血圧が下がった人は、その後も続けてください。やめると2週間ほどで元に戻ってしまいます。

 高血圧は、しっかりコントロールすれば怖くありません。タオル握りも活用して、良好な数値を保ってください。

週3日でOK!タオル握りのやり方

準備

【用意するもの】
フェイスタオル…1枚
縦34~35㎝×横75~90㎝程度のものがお勧め

❶長辺が半分になるように二つ折りにする(折り目が下側)

❷もう1回、長辺が半分になるようにたたむ(折り目が下側)

❸右側から、左に向かって折りたたんで長方形にする(折り目が右側)

❹折り目を右側にして、下側から棒状に巻く

❺完成。握ったときに親指がほかの指につかない程度の太さにする。手の大きい人は、フェイスタオルを2枚に重ねて厚さを調整するとよい

※親指がほかの指につかないように注意!

基本姿勢

リラックスしやすいように、イスに座って行うのがお勧め。腕の位置はやりやすい高さでOK

床に座って行ってもOK!
イスがなければ床に直接座って行ってもよい

やり方

❶巻いたタオルを持ってスタート

2分間握る!
❷全力の3割程度の力で2分間握る。握る力の目安は、爪の先が白くなる程度

1分間ゆるめる!
❸手の力をゆるめて1分間休む。
②〜③を左右の手、それぞれ2回ずつ、週3回行う

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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