多忙な毎日で血圧はみるみる上昇
私は40歳の頃、なんとなく頭に血が上ったような不快感があり、家にあった血圧計で血圧を測ってみました。すると、最大血圧が140㎜Hg でした。これは、すでに高い数値ですが、そのときの私は、さほど驚きませんでした(自宅で測定する「家庭血圧」は135/85㎜Hg以上が高血圧とされる)。
それでも一応、病院に行ったところ、「少し高いですね」と医師に言われ、降圧剤を処方されました。しかし、高血圧という自覚が乏しかったのに加え、「まだ40歳だから、薬は飲みたくない」という気持ちから、その薬は飲みませんでした。「降圧剤は、いったん飲み出したらずっと飲まないといけない」とも聞いていたので、年齢的にまだ早いと思ったのです。
その後、5年くらいは薬を飲まないまま、病院にも行きませんでした。
45歳の頃、インターネット関係の仕事をしており、一日中パソコンにはりついて仕事をしていたところ、自分でも「血圧が上がっているかも……」と思うことがよくありました。
夜間に頭がクラクラして、血圧を測ると180㎜Hg近くあって、病院に駆け込んだことも2度ほどあります。
その後、昼間に改めて病院に行き、検査を受けたところ、私の高血圧は、精神安定剤が有効だろうと診断されて飲み始めました。実際、血圧が高くなってもこの薬で落ち着いたので、精神的な影響が大きかったのかもしれません。
それからは、血圧が上がったときだけ薬をもらって飲みながら、たまに近くの医院で診てもらうことを数年続けました。
50歳の頃、その医院で、「血管を傷めないためには、コンスタントに薬を飲んで血圧を安定させたほうがいい」と言われ、降圧剤を処方されて飲み始めたのです。
ところが、その降圧剤は思うように効かず、量を倍にしても同じでした。特に、秋・冬は高くなり、最大血圧が朝から160㎜Hg近くあり、夜は200㎜Hg越えも珍しくありませんでした。
私は、減塩をはじめ、食事に気をつけ、歩く機会も増やしました。しかし、血圧はなかなか下がりません。
そこで、インターネットで調べ、久代登志男先生のことを知り、昨年の10月に診察を受けたのです。
次の診察で薬が不要になるか楽しみ
その日に、24時間の血圧を測る検査を受けたところ、ほぼ一日中高いことがわかりました。
降圧剤を飲みながらでも、最大血圧が朝から140〜150㎜Hg台、夜は180㎜Hgを超える状況でした。そこで、2種類の降圧剤を合わせた配合薬を飲むことになりました。
この薬が効いたようで、2週間くらいで最大血圧が110㎜Hg前後に落ち着き、薬を半分に減らしたのですが、その後は、また仕事で精神的な負担が続いたこともあって、120〜130㎜Hg台に上がってしまったのです。その対処法として、久代先生から指導していただいたのが「タオル握り」です。
診察室では、最初に握力計を握って「このくらいの力で」と教えていただきました。思っていた印象より、ずっと軽い力で握ることがわかりました。
助かったのは、パソコンの画面を見ながらの仕事中でも行えることです。私は、右手で2回やってから、左手で2回行うようにしています。パソコンの前に座ると、「忘れないうちにやっておこう」という感じで毎日続けました。
すると、開始して1ヵ月ほどたった12月20日くらいまでは、まだ、血圧が高い日もありましたが、年明けには、最大血圧が100㎜Hg前後で安定してきたのです。
1月に受診したときは、久代先生に下がりすぎと言われました。そこで、2月から薬も一つになりました。その後も順調に下がり続け、4月にはその薬もさらに半量になったのです。
生活や食事面での変化はありません。ですから、タオル握りで血圧が下がったのは間違いないと思い、その効果に驚かされました。
最近は、最大血圧が100〜110㎜Hgくらいで安定し、最小血圧も70㎜Hg前後です。
次の診察では、降圧剤が不要と言われるような気がして、ちょっと楽しみにしているところです。
薬とタオル握りの組み合わせで改善(日野原記念クリニック所長 久代登志男)
牧田さんには当初は2種類の降圧剤を服用してもらいました。すると、診察室血圧は110/70㎜Hgに下がったので、2種類とも減薬し、タオル握りをお勧めしました。
すると、朝の家庭血圧、診察室血圧ともに下がり、降圧剤を単剤に変更。その後も家庭血圧は120/80㎜Hg、診察室血圧は110/74㎜Hg前後に安定し、現在は最低量(以前の4分の1の量)の単剤を服用していただいています。良好な血圧が続けば、休薬する予定です。
牧田さんは、血圧管理の大切さをよく理解し、降圧剤とタオル握りを組み合わせることで、血圧変動も改善。良好な血圧管理ができるようになり、よかったと思っています。
仕事をしながらでもできるので、毎日続けられる