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高血圧の予防・改善に「キュウリ」が効果 目安は3本 よく噛んで食べるとよい

高血圧の予防・改善に「キュウリ」が効果 目安は3本 よく噛んで食べるとよい

キュウリは、ビタミン・ミネラル・食物繊維などを含んでいます。なかでも注目すべきは、高血圧の予防・改善に有効な三つの成分が含まれていることです。キュウリは血圧降下成分と、ダイエット効果の二重の作用で高血圧の予防・改善が期待できるというわけです。食べ方のコツは、よく嚙んで食べることです。【解説】工藤孝文(工藤内科副院長)

解説者のプロフィール

工藤孝文(くどう・たかふみ)
●工藤内科
福岡県みやま市瀬高町太神1334-1
0944-63-7711
http://www.kudonaika.com/
https://ameblo.jp/takafumikudo/

工藤内科副院長。
1983年福岡県生まれ。福岡大学医学部卒業後、留学先で食行動異常について研究。現在はダイエット外来で肥満や生活習慣病の治療などを行い、その成功率は99.2%を誇る。テレビ番組の出演、ブログ、医療監修など、活動は多岐にわたる。

二重の作用で血圧を下げる

 カリッとした歯ごたえと、みずみずしさが特徴のキュウリ。夏を代表するこの野菜が、実は高血圧の予防・改善にとても有効なことをご存じでしょうか。

 キュウリは、95%が水分です。糖質は1.9gと野菜の中ではかなり少なく、1本当たりのエネルギーはわずか14キロカロリー。1987年に「世界一カロリーが低い野菜」として、ギネスブックに認定されています。

 一方で、栄養としてはビタミン・ミネラル・食物繊維などを含んでいます。
 なかでも注目すべきは、高血圧の予防・改善に有効な三つの成分が含まれていることです。

 一つめは、カリウム。利尿作用があることで知られるミネラルの一種です。尿の出をよくするとともに、体内の余分な塩分を排出してくれるので、高血圧やむくみの解消に役立ちます。

 二つめは、シトルリン。ウリ科の植物に含まれるアミノ酸の一種で、一酸化窒素(NO)をつくる働きがあります。一酸化窒素は血管を拡張し、血流をよくします。血流がよくなれば、血管にかかる圧力は低くなるため、高血圧の改善につながるのです。

 そして三つめは、ピラジン。キュウリの青臭さのもととなる成分で、血液をサラサラにする作用があります。ドロドロの血液がサラサラになれば、血流がよくなるので、やはり血圧を下げることに役立ちます。

 さらにキュウリには、ダイエット効果も期待できます。前述したように、キュウリは糖質が少なく低カロリーなのに加え、豊富に含まれる食物繊維は便秘を予防します。

 また、キュウリには、ホスホリパーゼという脂肪分解酵素が含まれています。ホスホリパーゼは、近年発見された、現在注目の酵素です。他の野菜にも含まれていますが、キュウリの脂肪分解力がいちばん高いといわれています。

 これらのダイエット効果は高血圧の改善にとても有効です。その理由をご説明しましょう。
 肥満のもととなる脂肪細胞は、血管を収縮させる物質、アンジオテンシノーゲンなどのホルモン分泌を行っています。脂肪細胞が増えると、この物質が増えて血管が収縮し、高血圧を招きます。つまり、やせて脂肪細胞が減ると、血管の収縮が緩和され、血圧も下がるのです。

 以上のことからわかるように、キュウリは血圧降下成分と、ダイエット効果の二重の作用で高血圧の予防・改善が期待できるというわけです。

毎食1本を20回嚙んで食べる

 私は患者さんにキュウリを食べていただき、実際に血圧が下がるのを目の当たりにして、その効果を実感しています。

 高血圧の予防・改善が目的なら、1日にキュウリ3本を目安に食べるとよいでしょう。3本食べるのが難しければ、1・5〜2本でもかまいません。基本は朝昼晩の食事のときにキュウリを食べます。

 高血圧には朝に血圧が高くなるタイプ、夜に血圧が高くなるタイプなど、いろんなタイプがあります。ご自身の傾向に合わせて、血圧が高くなる時間帯の前の食事で、キュウリを多めにとることをお勧めします。

 食べ方のコツは、よく嚙んで食べることです。咀嚼のメリットは二つあります。
 一つは、よく嚙むことで満腹中枢が刺激され、他の食事の食べすぎを防げることです。

 もう一つは、脂肪燃焼効果です。咀嚼はアドレナリンを出して褐色脂肪細胞を活性化し、内臓脂肪を燃やすというデータが発表されています。
 嚙む回数は20回程度を心がけてください。

 しかし、生のキュウリばかりを食べていると飽きてしまうので、血圧を下げる効果のある、ほかの食材と組み合わせて調理するのがお勧めです。相乗効果が期待できます。

 例えば、血液をサラサラにするアリシンを含むタマネギとの組み合わせは、ベストマッチです。また、血圧降下作用のある酢と、血流を促すジンゲロールを含むショウガを使った料理もお勧めです。(レシピは下記参照)。

 血圧が高い人は、塩分のとりすぎも気になるので、キュウリの漬物はどうなのかと思うかもしれません。キュウリには血圧降下作用があるので、他の野菜の漬物に比べると血圧上昇作用は抑えられます。浅漬けを一食で4~5枚食べる程度なら、特に問題ないでしょう。

 調味料では、みそがお勧めです。みその原料である大豆には、アルギニンという成分が含まれています。アルギニンには脂肪分解酵素の働きを促進させる作用があるので、キュウリにみそを付けて食べると、キュウリのホスホリパーゼとみそのアルギニンの相乗効果で、より脂肪燃焼効果が高まります。

 ただし、キュウリは体を冷やす作用があります。体が冷えやすい人は控えめにしましょう。 また、腎機能障害がある人はカリウム摂取に注意が必要なので、かかりつけ医師に相談してから召し上がってください。

キュウリを食べるときのアドバイス

食材の組み合わせで血圧の降下作用が高まる!工藤先生お勧め!高血圧を撃退するキュウリレシピ

キュウリのおろしタマネギがけ

【材料】(1〜2人分)
キュウリ……2本
タマネギ……80g
Ⓐ酢(煮切って冷ます)……大さじ1
 砂糖……大さじ1、しょうゆ……大さじ1
 ゴマ油……小さじ1

【作り方】
❶キュウリの両端を切り落とし、長さを半分に切って、縦4等分に切り、乱切りにする。タマネギはすりおろす。
❷ボウルにAを混ぜ合わせ、キュウリをあえる。
❸器にキュウリを盛り、おろしたタマネギをかける。

ショウガのみじん切りとキュウリの甘酢漬け

【材料】(1〜2人分)
キュウリ……2本
ショウガ……20g
Ⓐ水……1/2カップ、酢……1/2カップ
 砂糖……大さじ1/3、塩……小さじ1/3

【作り方】
❶キュウリは縦4等分に切って、横3㎝に切る。熱湯にさっと通し、ザルに上げて冷ましておく。ショウガはみじん切りにする。
❷Aを合わせて、ひと煮立ちさせて、冷ましておく。
❸②にキュウリとショウガを加えて漬ける。2時間ほど漬ければ食べられる。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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