健康診断前の対策でなんとかしのいでいた
私は、若い頃は身長170㎝で体重は55㎏前後と、どちらかといえばスリムな体形でした。ところが、40歳でタバコをやめてから徐々に太り始め、ついには87㎏まで体重が増えてしまいました。
それとともに気になるようになったのが血圧です。40代前半には正常値を上回り(正常値は最大血圧140㎜Hg未満、最小血圧90㎜Hg未満)、46歳のときの健康診断では最大血圧が170㎜Hg、最小血圧が120㎜Hgまで上がってしまったのです。
すぐに病院から降圧剤を処方されました。ところが、薬を飲んでもなかなか血圧が下がりません。だんだん薬が強くなってきたせいか、やがて蕁麻疹のようなアレルギー症状が出てきたのです。
そこで、アレルギーを抑える薬が追加されました。すると今度は、眠気やだるさなどの不調が続き、仕事にも差し支えるようになってしまったのです。これではたまらないと思い、50歳のときに自己判断で薬を全部やめてしまいました。
降圧剤もやめたので、血圧は相変わらず高いまま。健康診断の時期がきて血圧が高いと、また薬を処方されてしまうので、付け焼き刃的に民間療法などをしてしのいできました。
例えば、タマネギの茶色い皮のお茶が血圧によいと聞けば、皮を集めてお茶にして飲みました。これは確かに効果があり、血圧はいくぶん下がりました。しかし、農薬のことが心配になったのと、仕事が忙しく面倒になり、やめてしまいました。
また、検査の日はなるべく横になって休んでいたり、血圧を計る前に深呼吸をゆっくり10回くらいするだけでも、血圧が10㎜Hgくらいは下がります。そんな感じで、血圧は高いものの、なんとか薬を飲まないようにしていたのです。
そんなことを続けていた3年ほど前、趣味の集まりで、森の宮東鳳院の加藤大明院長と雑談しているときに、血圧のことが話題になりました。私が「高くて困っている」と言うと、院長が教えてくれたのがアキレス腱トントン体操でした。
それを聞いたときは、正直言って半信半疑、むしろマユツバでした。しかし元来、好奇心が強い私は、「どんなものだろうか、これで血圧が下がったらラッキー」と、軽い気持ちでやってみることにしました。

実践したらいきなり数値が下がった!
さっそく近所のホームセンターに行き、ガーデニング用の円柱形レンガを購入。それにバスタオルを巻き、あおむけに寝て片足の足首を30㎝ほど上げ、トントントンとリズムよくレンガに落としてみました。
両足を同時に上げると腹筋にこたえますが、片足ずつだとらくにできます。
私は、このアキレス腱トントン体操の効果を確かめようと、行う前と後で血圧を計りました。すると、行う前は168㎜Hgあった最大血圧が、アキレス腱トントン体操を両足合わせて200回した後では138㎜Hgまで下がったのです。
内心、効果を信じていなかったので、この急降下ぶりに思わず目を見はりました。
それから、毎日アキレス腱トントン体操をするようになりました。いつとは決めていませんが、時間があるときに片足50回ずつを1セットとして、合計8セット(片足200回ずつ)行います。
ところが、一生懸命やりすぎたせいか。1ヵ月も続けた頃、ふくらはぎに鈍い痛みが出るようになりました。その頃、ふくらはぎをもむ健康法が話題になっていたので、私はひざから下をエアでマッサージするフットマッサージャーを併用することにしました。
それからは、気が向いたときに、回数をあまり意識せずに、アキレス腱トントン体操を片足30回くらいずつしています。
横になってテレビを見ながらすることが多いですが、ふくらはぎに当てず、アキレス腱に当たるように意識して、足は軽く上げています。
その後血圧は、1年くらいでほぼ正常値になりました。今はたまにしか測りませんが、数値は最大血圧128㎜Hg、最小血圧78㎜Hg前後で安定しています。
また、薬を飲んでいた頃は87㎏あった体重が、いつの間にか減って69㎏、なんと1年で18㎏も落ちたのです。
私は、習慣になっていた晩酌をやめたくらいで、食事制限も運動もしていないので、これもアキレス腱トントン体操の効果かもしれません。おかげで、体も軽くなり、体調はすこぶるよくなりました。

血圧が下がり、趣味の飛行機操縦に熱が入る鈴木さん
ふくらはぎに当たらないよう注意する(森の宮東鳳院院長 加藤大明)
鈴木さんは、健康診断前に血圧が高くて困っているということで相談され、このアキレス腱トントン体操を教えました。
ふくらはぎに痛みが出たのは、アキレス腱よりやや上部を当てていた可能性があります。ヒラメ筋、腓腹筋を痛めてしまう恐れがあるので、アキレス腱を的確に刺激してください。
体重が減ったのは、アキレス腱を圧迫する刺激により、リンパ液(体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液)の流れが促進され、細胞内の余分な水分が排出されたことが要因と考えられます。
また、薬をやめるのは、医師の診断に従って行いましょう。