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睡眠時無呼吸対策の寝る姿勢は「横向き寝」 胃下垂・いびき対策に特にオススメ

睡眠時無呼吸対策の寝る姿勢は「横向き寝」 胃下垂・いびき対策に特にオススメ

今の医学では「質のよい睡眠」を取る以外に、疲れを回復させる術はありません。過労で細胞を酷使すると活性酸素の量が増えて、酸化が始まります。酸化が進行すると血管が老化し、動脈硬化などが起こりやすくなることがわかっています。【解説】梶本修身(東京疲労・睡眠クリニック院長)


解説者のプロフィール

梶本修身(かじもと・おさみ)
●東京疲労・睡眠クリニック
東京都港区新橋1-15-7 新橋NFビル3F
03-3504-0555
http://www.疲労クリニック.com/

東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。
大阪大学大学院医学系研究科修了。大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者。『スッキリした朝に変わる睡眠の本』(PHP研究所)など、著書多数。

睡眠の質が格段に上がる「横向き寝」

 国民の5人に1人が「満足な睡眠を得られていない」と思っている現代では、睡眠は国民的な関心事と言っていいでしょう。

 睡眠の質を下げる1つの原因に、イビキがあります。女性の中には、「イビキは男性がかくもの」と思っている人も多いですが、実は女性も注意が必要です。特に、女性ホルモンの低下で、喉頭部の筋肉が弛緩しやすくなる40代後半から寝息がイビキに変わることが多いようです。

 女性の場合、イビキの音は肺活量が小さいために大きくはありません。しかし、吸い込む酸素量が少ないことや、もともと貧血や低血圧で低酸素になりやすいことから、男性より重篤なケースもみられます。

 イビキをかく人は、睡眠時の無呼吸にも注意が必要です。喉頭部の筋肉がゆるみ、空気の通り道である気道が狭まり、イビキの音が発生します。気道が完全に閉塞した状態が無呼吸です。

 睡眠時無呼吸症候群の場合、本人に無呼吸の自覚がないことも珍しくありません。睡眠時間はしっかり取っているし、寝つきもよいはずなのに、朝起きるのがつらい、日中眠たくなる、疲れが残っている、という人は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。特に、脳は朝起きて4時間後あたりに最もよく働きます。その時間帯に眠くなるようだと、睡眠時無呼吸症候群を疑ったほうがよいでしょう。

 イビキをかきやすく、睡眠時無呼吸症候群が疑われる人に勧めたいのが「横向き寝」です。横向きで寝ることで、イビキや睡眠時無呼吸が軽減し、睡眠の質が格段に上がります。

 仰向けで寝ると、のどの筋肉が垂れ下がり、気道をふさぎやすくなります。また、うつぶせ寝では、イビキ自体は減少しますが、胸を圧迫するため、眠っている間に呼吸が苦しくなる傾向があります。

 いびきをかく人は横向き寝、特に胃下垂のある女性は胃の出口である幽門部が下になる、体の右側を下にする横向き寝がベストです。

質のよい睡眠が血管の老化も防ぐ

 イビキをかく人は、枕を選ぶときも、仰向け寝を想定するのではなく、横向きで寝ることを想定して選ぶようにしてください。

 横向きで寝る場合は、仰向けを想定した枕の高さよりも、肩幅の分だけ高いほうがよいでしょう。横に寝たとき、頸椎が真っ直ぐ(床と水平)になる高さの枕を選ぶのが理想です。

 なかなか横向き寝になれないという人は、テニスボールやタオルを入れたウエストポーチを体に装着したまま布団に入る方法をお勧めします。こうすると、寝返りで仰向けになろうとしたときに、ふくらみの違和感で横向きに戻るため、自然と横向き寝のまま朝を迎えられます。

 また、抱き枕に両手両足を絡めて寝るのも効果的です。これらの方法は、私のクリニックやテレビ番組で何度か実験しており、有用であることがわかっています。

イビキ、 睡眠時無呼吸が改善する「横向き寝」のやり方

横向きに寝ると、舌の落下が起きにくくなるため、睡眠時無呼吸症候群の解消につながる。
胃下垂のある女性は胃の出口である幽門部が下になるように、体の右側を下にして横向き寝をするのがベスト

「横向き寝」の枕の選び方

仰向けを想定した枕より、肩幅分だけ高いほうが望ましい。横に寝たとき、頸椎が真っ直ぐ(床と水平)になる高さの枕を選ぶ

疲れを取れるのは「質のよい睡眠」だけ

 人は起きている間、必ず「疲れ」が生じます。そして、疲れはどんどん蓄積していきます。今の医学では「質のよい睡眠」を取る以外に、疲れを回復させる術はありません。

 しかし、睡眠時無呼吸症候群であったり、イビキをかいたりする人は、寝ても疲れが取れません。寝ている間、気道が狭くなっているために、肺にじゅうぶんな酸素を供給できず、その結果、酸素の供給量を上げようと自律神経がフル回転してしまうからです。この状態では、自律神経(※)は疲弊したままです。

 自律神経が疲労した状態が続くと、中枢の神経細胞はサビつき、傷つきます。このような状態を「酸化」といいます。酸化の原因となるのが「活性酸素」という物質です。過労で細胞を酷使すると活性酸素の量が増えて、酸化が始まります。酸化が進行すると血管が老化し、動脈硬化などが起こりやすくなることがわかっています。

 活性酸素を極力発生させないようにするためには、夜、寝るための快適な環境をしっかり整え、自律神経が休まるような、質のよい睡眠をとることが必須です。そのためにも横向き寝はとてもお勧めです。


※:意志とは関係なく、体温や発汗、血液循環などの生命維持に欠かせない機能を調節している神経。活動時に活性化する交感神経と、休息時に活性化する副交感神経がある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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