解説者のプロフィール

下津浦康裕(しもつうら・やすひろ)
●下津浦内科医院
福岡県久留米市東町496 東町ビル2F
0942-36-0620
下津浦内科医院院長。
1951年生まれ。福岡大学医学部卒業。聖マリア病院消化器科内科医長などを経て、1995年に下津浦内科医院を開業。衣食住の生活習慣や、電磁波環境の整備等の指導をしながら治療に当たっている。また、1986年から「バイ・ディジタルO-リングテスト」を臨床に生かし、糖尿病をはじめ、潰瘍性大腸炎やガンなどの難病の治療にも積極的に取り組んでいる。
毎朝のゴーヤジュースで私は7kgやせた!

私は10年以上前から、ゴーヤを積極的に食べるよう、患者さんに勧めています。今回の「酢ゴーヤ」は、食養生(食事で健康を維持する考え方)においても、非常に理にかなった食べ方だと考えます。
そもそも、私がゴーヤに注目したきっかけは、ゴーヤによる糖尿病の改善効果です。
ゴーヤに含まれる苦み成分の一つであるチャランチンには、膵臓から分泌されるインスリン(血糖値を調節するホルモン)と似た働きがあります。また、同じく苦み成分であるモモルデシンにも、血糖降下作用があることがわかっています。さらに、ゴーヤには糖代謝を活性化するビタミンB1や、糖の吸収を遅らせる食物繊維も豊富に含まれています。
そこで、糖尿病患者さんが多く来院する私の内科医院で、患者さんにゴーヤを勧めたところ、すばらしい効果が得られました。
ゴーヤを常食されたほとんどのケースで、血糖値が下がり始めたのです。なかには、324㎎/㎗もあった血糖値が、3ヵ月で90㎎/㎗まで下がった男性もいました(基準値は110㎎/㎗未満)。しかも、ゴーヤを食べ始めると、直ちに効果が現れる人が多い点も特徴的でした。
ゴーヤの効果は、血糖値だけではありません。チャランチンやモモルデシンには、コレステロール値や中性脂肪値の低下作用や高血圧の抑制作用もあります。過剰な塩分を排出する働きを持つカリウムが豊富な点も、血圧降下に有効です。
ちなみにインスリンは、肝機能障害の治療に用いられることがあります。ですから、インスリンと似た働きをするゴーヤの苦み成分は、肝機能を助ける可能性も大いに期待できます。
実際、ゴーヤを常食している私の患者さんには、糖尿病以外にも、高血圧や脂肪肝が改善した人や、ダイエットに成功した人がたくさんおられます。
私自身も、ゴーヤをジュースにして毎朝飲んだところ、4ヵ月で体重が86㎏から79㎏になり、7㎏も減量できました(身長は171㎝)。便通がよくなり、食欲が自然と抑えられた感覚がありました。
血糖値が気になる場合完熟ゴーヤがお勧め!
ただし、夏野菜であるゴーヤは、残念ながら冬場には、なかなか手に入りません。そこで、ゴーヤのほかにもう一つ、私が患者さんに勧めている食材があります。それは、年中入手できる、酢です。
酢には、クエン酸という有機酸が豊富に含まれています。クエン酸が体内に入ると、「クエン酸回路」が活性化します。
クエン酸回路とは、細胞内でエネルギーを産生するしくみのことで、クエン酸は、私たちの細胞を活性化させる中核となる物質です。
つまり、クエン酸が豊富な酢をとれば、全身の細胞が若返り、臓器や皮膚、目などの老化防止に役立つのです。生命活動の根源がクエン酸にあるといっても、決して過言ではありません。
ちなみに、エネルギー産生の際、原料として使われるのが、糖や脂肪です。ですから、クエン酸回路が活発に働けば、体内の脂肪燃焼も促進されます。
そして、酢には酢酸も含まれています。酢酸には、血流をサラサラにする働きがあることが、多くの研究によって明らかになっています。
つまり、ゴーヤと酢の薬効を同時にとれる「酢ゴーヤ」は、最強の健康食といえるのです。二つの健康食材を合わせることで、10+10という足し算ではなく、10×10といった相乗効果が期待できます。
私は、ふだん、ゴーヤは1日40〜50g、酢は1日10〜20㎖とるよう、患者さんに勧めています。ですから、酢ゴーヤの場合も、1日40〜50gぐらいを目安に摂取すればよいでしょう。少量でも、毎日とることが肝心です。
なお、基本の酢ゴーヤの作り方にはハチミツが入っていますが、血糖値が気になるかたは、なるべく入れないほうがいいでしょう。その場合は、青々とした若いゴーヤではなく、熟れて黄色くなる寸前ぐらいのゴーヤを使うのがお勧めです。糖度が上がっているため、ハチミツを入れなくても食べやすくなります。
また、あまり店頭に出回らない冬場にもゴーヤをとりたい場合は、適当な大きさに切って冷凍保存しておくことをお勧めします。
現代人の多くが抱える生活習慣病の改善に、二つの最強食材を活かした酢ゴーヤを、ぜひ活用してください。

互いの健康作用を相乗効果で引き出す!