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【NEWS】認知症予防効果 チーズの成分「乳清(ホエイ)」から発見

【NEWS】認知症予防効果 チーズの成分「乳清(ホエイ)」から発見

東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室、学習院大学、キリン株式会社の研究グループが、乳清(ホエイ)に含まれる認知機能改善成分であるペプチドを見出した。この認知機能改善成分を多く含むチーズを摂取することで認知症の予防が期待できるという。(東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室2018年9月1日発表)

乳清(ホエイ)を酵素で処理すると認知機能改善成分ができる

 認知症の本質的治療法は未だ明らかではなく、食事など日常生活で認知症を予防できる方法の開発が注目されている。これまでチーズなどの発酵乳製品を摂ることで、認知機能低下が予防できる報告があったが、その成分は未だ解明されていなかった。

 今回、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室、学習院大学、キリン株式会社の研究グループは、乳清(ホエイ)に含まれる認知機能改善ペプチドを見出した。

 この認知機能改善ペプチドが、神経伝達物質であるドーパミンの脳内における増加を促す作用があることも見出された。さらに乳清(ホエイ)を特定の酵素で処理すると、その認知機能改善ペプチドを多く含むホエイペプチドが調製できることも見出された。

短期間の摂取でも加齢性の認知機能低下を改善する作用がある

 認知機能改善ペプチドやホエイペプチドは短期間の摂取でも、加齢性の認知機能低下を改善する作用があることも確認したという。今回見出された認知機能改善ペプチドを多く含むホエイペプチドやチーズを摂取することで認知症の予防が期待できるとしている。

 ホエイはチーズ製造時の副産物で、これまであまり利用されることはなかったが、酵素処理により、認知機能改善ペプチドを生産することで有効利用が可能になり、かつ日常的に摂取しやすい食品で認知症予防が期待できるという。

各種発酵乳製品に含まれる認知機能改善ペプチド量

東京大学大学院農学生命科学研究科獣医病理学研究室プレスリリースより

●用語解説
ペプチド
2個以上のアミノ酸が結合して形成される物質の総称

ドーパミン
神経伝達物質の1つで、脳においては認知機能、意欲などに関わっている。

プレスリリース
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2018/20180911-1.html

論文
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0197458018302677

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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