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泌尿器科医の私が「かかと落とし」をすすめる理由

泌尿器科医の私が「かかと落とし」をすすめる理由

夜間頻尿が1回減ると、睡眠時間は2時間延びるといわれています。塩分過多の人は、減塩するだけで、睡眠の質が大幅に改善するわけです。夜間頻尿の患者さんに、自分でできる対処法として、減塩といっしょにお勧めしているのが、昼間に行う「かかと落とし」です。【解説】松尾朋博(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器科学助教)

解説者のプロフィール

松尾朋博(まつお・ともひろ)
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科泌尿器科学助教。
2001年、山形大学医学部卒業。医学博士。日本泌尿器科学会専門医・指導医。日本がん認定機構がん治療認定医。15年、第22回日本排尿機能学会で学会賞を受賞。17年、第47回国際禁制学会で演題「塩分制限が夜間頻尿に効果的か?」を発表し、学会賞を受賞。そのほか、欧州泌尿器科学会でも受賞歴あり。患者さんに寄り添う医療をモットーとしている。

昼間の下半身のむくみが夜間頻尿を招く!

高齢になると、夜間頻尿に悩む人が増えてきます。夜間に何回もトイレに起きると、睡眠の質が悪くなるだけでなく、転倒・骨折のリスクが高まり、非常に危険です。

医学上の定義では、夜間頻尿とは、「夜間に1回以上の排尿があること」です。実際には、夜間に2回以上の排尿があって、患者さんが困っていれば、治療を行うことになります。

健康な人なら、夜間は腎臓でオシッコを作らないように自律神経(意志とは無関係に血管や内臓の働きを調整する神経)が調整してくれます。また、オシッコをしっかり膀胱にためるシステムが働き、トイレに行くことはありません。

では、どうして夜間頻尿が起こるのでしょう。
夜間の正常な排尿システムをくずす要因として、高血圧や糖尿病、腎機能障害などの全身性疾患、過活動膀胱、精神的なストレスなどが挙げられます。男性の場合は、前立腺肥大なども関係してきます。
このような病気があれば、それらの治療を行うことが夜間頻尿の改善につながるわけです。

こうした病気とは別に、私たちの研究で、食塩のとり過ぎと夜間頻尿に、大きな関連があることがわかりました。

私たちは、夜間頻尿(夜間1回以上)があり、塩分の摂取量が国の目標値(男性は1日8g未満、女性は同7g未満)を超える患者さんたち(25〜91歳)に、3ヵ月間、減塩に挑戦してもらいました。

その結果、321人中223人が減塩に成功しました。この減塩成功グループでは、1日平均2.7gの減塩ができ、水分の摂取量は300ml減りました。それによって、夜間の排尿回数は平均2.3→1.4回、昼間の排尿回数は7.7→6.4回に減少。夜間の排尿回数は約1回、1日の排尿回数は2回も減ったのです。

夜間頻尿が1回減ると、睡眠時間は2時間延びるといわれています。塩分過多の人は、減塩するだけで、睡眠の質が大幅に改善するわけです。

もう一つ、高齢者に多い昼間の下半身のむくみも、夜間頻尿との関連が深いといえます。
年を取るにつれて心肺機能や下半身の筋肉が衰えてきます。そのため、昼間に足にたまった水分(血液やリンパ液)が心臓のほうへ戻りにくくなり、下半身がむくんできます。

その下半身にたまった水分が、就寝時に横になると、心臓のほうへ戻り、それが腎臓へ行ってオシッコが作られることがあるのです。つまり、昼間の下半身のむくみが夜間頻尿を招くというわけです。

そこで、夜間頻尿の患者さんに、自分でできる対処法として、減塩といっしょにお勧めしているのが、昼間に行う「かかと落とし」です。

ふくらはぎにたまった水分を心臓に押し戻す

かかと落としは、立った状態でかかとを上げて、床に落とすだけのとても簡単な運動です。
この運動は、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用で、下半身にたまった水分を心臓に押し戻してくれます。

また、衰えがちなふくらはぎの筋肉を効率よく鍛えるので、血液などの水分の循環がよくなり、夜間頻尿の原因となる下半身のむくみを防ぎます。

かかと落としは、ふくらはぎを意識しながら、かかとをしっかり上げるのがポイントです。10回を1セットとして、1日3セット、日中に行うといいでしょう。

また、あおむけになって、30分程度の昼寝をするのもお勧めです。その際、ひざ下に厚めのクッション(約15㎝)などを置くと、足にたまった水分が心臓に戻りやすくなります。

通常、飲んだ水は1時間後に尿になりますが、高齢者は尿になるまでに約4時間かかります。ですから、お年寄りは就寝する4時間前からは水分摂取をなるべく控えてください。

なお、減塩については、味つけを薄くして、かわりに酢や香辛料などを利用する、麺類の汁を飲まない、塩分の多い加工食品をできるだけとらないなど、意識することが大事です。

夜間頻尿を防ぎ・改善するポイント

昼間の下半身のむくみを取る

❶かかと落としを日中に行う

立った状態で両足のかかとを上げ、ストンと落とす。
10回を1セットとして、日中に3セット行う。

【ポイント】
ふくらはぎを意識しながら、かかとをしっかり上げる。

❷昼寝をする

あおむけになって、ひざの下に厚めのクッションを置く。
その状態で30分ほど昼寝をする。

意識して減塩する

・味つけを薄くし、かわりに酢や香辛料を利用する。
・麺類の汁を飲まない。
・塩分の多い加工食品をできるだけとらない。

夜の水分摂取を控える

高齢者は就寝の4時間前からは水分摂取を控えめにする。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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