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【脳の疲労を解消するコツ】睡眠時間は長すぎもNG!寝る姿勢はあおむけ?うつぶせ?

【脳の疲労を解消するコツ】睡眠時間は長すぎもNG!寝る姿勢はあおむけ?うつぶせ?

あまりに寝過ぎると、レム睡眠が急激に増え、ノンレム睡眠がほとんど起こらなくなります。睡眠中は、十分な酸素供給が行われないため、脳は酸素不足の状態です。そんな状態のところに、脳が活発に働くレム催眠が増えると、脳は疲労回復どころか、かえって疲労してしまいます。【解説】保坂隆(保坂サイコオンコロジー・クリニック院長)

解説者のプロフィール

保坂隆(ほさか・たかし)
●保坂サイコオンコロジー・クリニック
東京都中央区明石町11-3 築地アサカワビル6階A号室
03-6264-1791
http://psycho-oncology-clinic.com/

保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。
1952年山梨県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科学教室入局。1990年より米国カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)精神科に留学。東海大学医学部教授、聖路加看護大学臨床教授、聖路加国際病院精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授などを経て、現在、聖路加国際病院診療教育アドバイザー、保坂サンコオンコロジー・クリニック院長。
著書『この眠り方で「疲れない脳」がつくれる!トップ1%に上り詰める人がやっている「究極の睡眠術」』(大和出版)が、現在好評発売中。

浅いレム睡眠が増えると脳が酸欠になり疲労する

私たちの睡眠時間は、年々減っています。NHK放送文化研究所の調査によれば、平日の平均睡眠時間は、1995年に7時間27分だったものが、2015年には、7時間15分まで短くなりました。

いうまでもなく、睡眠時間の不足は、脳にとって大きな負担となります。脳の疲れは、睡眠でしか取り除けないのです。脳に疲れが蓄積すると、集中力や判断力が鈍ります。すると、仕事に支障を来したり、イライラや不機嫌が続いたりします。

それどころか、睡眠不足が続くと、脳にアミロイドβという物質が蓄積し、認知症の危険性が高まります。ただ、かといって、たくさん眠ればいいというものでもありません。寝過ぎの弊害があるからです。

適切な時間の睡眠では、レム睡眠(体を休める浅い眠り)とノンレム睡眠(脳を休める深い眠り)が交互に出現します。

ところが、あまりに寝過ぎると、レム睡眠が急激に増え、ノンレム睡眠がほとんど起こらなくなります。睡眠中は、十分な酸素供給が行われないため、脳は酸素不足の状態です。
そんな状態のところに、脳が活発に働くレム催眠が増えると、脳は疲労回復どころか、かえって疲労してしまいます。

長過ぎる睡眠が脳に悪影響を及ぼすことは、英国ウォーリック大学で、65~89歳の男女を対象に行われた調査を見ても明らかです。それによると、睡眠が8時間以上の人たちは、7時間睡眠の人たちよりも、明らかに記憶力と意思決定能力が低下していたそうです。

さらに、睡眠時間が長過ぎると、脳の老化が進むのです。アメリカのコロンビア大学が60~70歳の男女を対象に行った調査によると、睡眠時間が9時間以上の人たちは、6~8時間の人たちよりも脳の老化が進んでいることが判明したのです。さらに、ロンドン大学の研究でも、寝過ぎの人は、実年齢より7歳以上脳が老けるというデータが出ています。寝過ぎは、脳の老化を加速するようです。

厚生労働省によると、日本人の60~69歳の睡眠時間は6時間少々。70歳を過ぎたら、6時間以下でも一般的とされています。
こうした点から判断すると、「65~89歳の年代では、8時間以上は眠り過ぎ」といっていいでしょう。適正な睡眠時間は人によって異なりますが、平均睡眠値からかけ離れている場合は改善が必要でしょう。

眠り過ぎは体に毒!

眠れないなら眠らなくていいと気楽に考えよう

さて、皆さんは、どのような姿勢で眠っているでしょうか。脳の疲労を取るという観点からいえば、姿勢は「あおむけ寝」がお勧めです。

横向きに寝ることは、内臓に負担をかけにくい長所がある反面、背骨や骨盤など全身の骨格がゆがみやすくなるおそれがあります。腰痛や肩こりの原因になるともいわれています。

また、うつぶせ寝は、内臓や心臓に体の重みがかかって負担となる危険性があります。腰痛や骨格のゆがみも、起こりやすくなります。

したがって、この二つに比べると、あおむけ寝は優れています。血流を最も阻害しにくい姿勢であるため、就寝中に血栓ができにくいほか、腰への負担も少ないのです。さらに、肺が圧迫されないため呼吸もスムーズで、深い睡眠が得られます。このため、脳の疲れを取るのにも役立つと考えられます。

最後に、もう一つアドバイスを。皆さんのなかには、疲れを取るために早く眠ろうと気ばかり焦り、かえって眠れなくなるかたがおられるでしょう。眠れずに焦れば焦るほど、それ自体がストレスとなって、脳の疲れは増します。

ではどうするか。そんなときは、「眠れないなら、いっそ眠らなければいい」と気楽に考えて横になるだけでいいのです。

目を閉じて体を静かに横たえているだけでも、脳と体の疲れを取り除けます。目を閉じるとリラックスして、脳波がα波に変わるのです。さらに、お気に入りの音楽などを、聞こえるか聞こえないかくらいの音量で流すと好適です。

このような状態で、「眠らなくても、横になっているだけで十分疲れは取れる」と心の中で唱え、自己暗示をかけていれば、知らぬ間に安らかな眠りに入っていけるはずです。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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