解説者のプロフィール

西川眞知子(にしかわ・まちこ)
●アーユルヴェーダネイチャーケア学院
TEL 03-6228-6778
http://www.jnhc.co.jp/
日本ナチュラルヒーリングセンター代表。
上智大学外国語学部を経て、佛教大学卒業。第24代ミス横浜。幼少期に病弱だったのを自然療法で克服したのをきっかけに、大学時代にインドやアメリカを歴訪し、ヨガや自然療法に出合う。その経験と研究を基に「日本ならではのアーユルヴェーダ」を提唱。『アーユルヴェーダで我慢しないアトピー生活』(農文協)、『ヨガのポーズの意味と理論がわかる本』(マイナビ)など、著書多数。
アーユルヴェーダでは欠かせない食材
私は40年以上、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」を研究し、実践してきました。
アーユルヴェーダでは、食材の組み合わせをとても大切にしています。組み合わせによって、食材の持つ力が高まったり、逆に足を引っ張り合ったりするからです。
そのアーユルヴェーダから見ると、「干しブドウ酢」は、それぞれの食品のよさが組み合わさって力を倍増させる、まさに最高の組み合わせです。干しブドウとリンゴ酢、ハチミツが組み合わさることにより、どんな体質の人にも合う食品になるからです。
アーユルヴェーダでは、体質を三つのタイプに分けています。一つは風のタイプである「ヴァータ」、二つ目は火のタイプの「ピッタ」、三つ目は土と水のタイプの「カパ」です。それぞれがどんなタイプか、簡単にお話ししておきましょう。
ヴァータは風のように身軽で、いつもバタバタしています。肌が乾燥しやすく、疲れやすいタイプで、気持ちが不安定になりがちです。太りにくいタイプですが、ストレスでドカ食いをして、太ってしまうことがあります。
ピッタは炎症を起こしやすく、おなかから下に脂肪がつきやすいタイプが多いです。何事もきっちりしないと気が済まず、イライラしやすいので、胃潰瘍などを起こしやすいタイプです。
カパは、いろいろなものを体にため込み、むくみやすくて太りやすいタイプです。色白で冷え症で、日焼けすると肌は赤くなります。性格は、おっとりしたマイペース型です。
これらのタイプとからませながら、干しブドウ酢の効能を見てみましょう。
まず、干しブドウです。干しブドウは、アーユルヴェーダでは、良質な糖分の供給源として欠かせない食材です。
インドでは、精製した砂糖は消化に負担をかけるため、ほとんど使いません。その代わり、干しブドウのような、体に優しい天然の甘味を勧めています。
また、アンチエイジング効果もあり、干しブドウを毎日少しずつとっていると、若々しく健康でいられるとされています。
干しブドウは、乾燥しやすいヴァータや、炎症を起こしやすいピッタの人に非常に向いています。また、太りやすいカパにも、悪くはありません。
そのカパに合うのが、リンゴ酢とハチミツです。カパの体質に酸味は合いませんが、唯一合うのが、リンゴを原料としたリンゴ酢です。これなら代謝が上がり、むくみや肥満が軽減します。
また、カパのように、ため込みやすい人に勧められる甘味料が、ハチミツです。ハチミツをとると、ため込んだものを吐き出しやすくなります。それが、太りやすいカパの体を引き締めてくれます。

スパイスをプラスするのもお勧め
このように、干しブドウ酢の組み合わせは、アーユルヴェーダ的にはベストで、すべての体質の人にお勧めできます。
ですから、このままでももちろんいいのですが、体質に合わせて少しだけアレンジすると、さらに効果が上がります。
例えばピッタの人は、ハチミツをメープルシロップに換えたり、ギー(バターを煮詰めて作る油)を加えると、気持ちが落ち着き、炎症も抑えられます。
また、潤いの少ないヴァータの人は酢を多めにし、むくみやすいカパの人は、酢を少なめにするといいでしょう。
干しブドウ酢は、そのまま食べてもおいしいですが、シナモンやブラックペッパーなどのスパイスをかけると、ひと味違ってきます。特にカパの人は、スパイスで解毒効果や脂肪燃焼効果が高くなります。
また、干しブドウ酢をミキサーにかけてペースト状にすると、応用範囲が広がります。
私がよく作るのは、ミキサーでペースト状にした干しブドウ酢とデーツ(ナツメヤシの果実)ときな粉を混ぜて丸めたお菓子です。簡単に作れてほどよい甘味があり、砂糖や小麦粉などを使っていないので、罪悪感なく食べられるお菓子です。
「自分の体質がどれかわからない」というかたでも、干しブドウ酢はどなたにでも合いますから、安心して食べてください。自分にとって心地よく、おいしく感じられれば、それがいちばんいいのです。
酢やハチミツの量を加減したり、何かをプラスして、自分に合った、心地よい味の干しブドウ酢にアレンジするのも楽しめそうですね。ぜひいろいろ試してみてください。
