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【発達障害を改善する食事】避けたい食品はこの7つ!

【発達障害を改善する食事】避けたい食品はこの7つ!

発達障害の症状を引き起こす原因の一つは、腸の炎症です。食べ物がきちんと消化されない場合、腸内でアレルギー反応が起こり、炎症を招きます。また、神経系に炎症を起こして、発達障害の症状を引き起こす食べ物もあります。これを踏まえ、次の7つを取り除いた食事を、発達障害の患者さんに指導しています。【解説】宮澤賢史(宮澤医院副院長)

解説者のプロフィール

宮澤賢史(みやざわ・けんし)
●宮澤医院
東京都葛飾区堀切2-13-9
03-3697-4163
https://miyazawaclinic.net/

宮澤医院副院長。
1995年、日本医科大学卒業。日本医科大学付属病院を経て、2004年より栄養療法を開始。腸内環境の改善や、重金属・化学物質の除去、隠れた炎症の治療などを行い、慢性疾患を持つ人を完治に導いている。扱う領域は幅広く、がんから糖尿病、リウマチ、精神疾患まで、患者数は20,000人を超える。セミナー、学術集会、勉強会を開催し、根本原因の見つけ方、アプローチ法について啓蒙活動を続けている。NPO法人高濃度ビタミンC点滴療法学会理事、分子栄養学実践講座主宰、医科歯科連携診療普及協会会長。

子どもは2カ月大人は半年で変化が出る

発達障害は食事で改善します。「生まれつきだから治らない」という考えは誤りです。
実際に私が治療に携わってきた中で、大人も子どもも症状が軽くなり、次のような報告が届いています。
「じっと座っていられず集団生活ができなかった子どもが、今は落ち着いて通常学級に進むことができました」「少しずつ言葉が出るようになりました」「不登校に陥っていましたが、学校に通えるようになって、受験したいと意欲を見せました」

食事内容を変えると、子どもは2カ月、大人は半年から1年の間で、症状が改善しています。同時に、アレルギー疾患も軽快する例は少なくありません。

近年の研究で、発達障害は食習慣や栄養バランスと関連することがわかってきました。まだ臨床結果などは足りない状況ですが、発達障害が増えている現状を考え、私は3年ほど前から栄養療法を本格的に取り入れています。

発達障害は自閉症スペクトラム(ASD)や、注意欠陥多動性障害(ADHD)などに分類されますが、すべてに共通して、多動(落ち着きのなさ)、不注意、イライラ、コミュニケーションの困難さ、こだわりの強さといった症状が見られます。こうした症状がどのように改善するのかを重視して、私は診療に当たっています。

食事で発達障害が改善した例

「座っていられなかった子どもが落ち着き、通常学級に進めた」
「言葉が出るようになってきた」
「不登校だったけど、学校に通えるようなった」
など

発達障害の人は消化機能に問題があることが多い

多動や不注意などの症状が、なぜ食事で改善するのか。その理由は「脳腸相関」にあります。
ストレスで、おなかが痛くなることがあります。逆に、おなかの調子が悪ければ脳にも影響が与えられ、ストレスが発生するのです。

発達障害の症状を引き起こす原因の一つは、腸の炎症です。患者さんの血液や便などを検査すると、腸内細菌のバランスがくずれ、炎症を起こしていることがわかります。
食べ物がきちんと消化されない場合、腸内でアレルギー反応が起こり、炎症を招きます。腸の健康を取り戻すために、なにを食べるか、とうことが非常に重要なのです。

また、神経系に炎症を起こして、発達障害の症状を引き起こす食べ物もあります。
こうしたことを踏まえ、次の7つを取り除いた食事を、発達障害の患者さんに指導しています。

発達障害の患者さんは避けたい7つの食品

目標は、【周囲の人と同じメニューを楽しく食べること】
以上の7つを一生食べられないわけではなく、腸の炎症が治まるまで続けることが大事。

❶砂糖
発達障害の患者さんは、腸内で「カンジダ菌」が増殖していることが多々あります。カンジダ菌はカビの仲間で、通常は善玉菌と共存して問題を引き起こしません。

しかし、抗生物質を使ったり体調が悪化したりすると善玉菌が弱まり、腸内でカンジダ菌が増殖します。カンジダ菌の産生する毒素が、神経を刺激して、発達障害の症状を悪化させるのです。

カンジダ菌の栄養源になるのが、精製した砂糖。ですから、砂糖を摂取しないように心がけましょう。

❷人工甘味料
「アスパルテーム」という人工甘味料の成分である、アスパラギン酸というアミノ酸が、発達障害の人には問題です。アスパラギン酸は、脳内の神経伝達物質として働き、神経を興奮させる作用があるからです。

料理に甘みを加えるときに私がお勧めしているのは、羅漢果という中国原産の甘味果実から作られた天然の甘味料です。

❸うまみ調味料
「グルタミン酸ナトリウム」は、食品にうまみを与える添加物です。
グルタミン酸は神経伝達物質の一つで、脳神経を興奮させ記憶や学習に関係します。しかし、発達障害の人は脳内ですでに過剰にグルタミン酸が放出されているため、食べ物からの摂取は好ましくはありません。

もともとグルタミン酸が出すぎている状態で、さらに食べ物からグルタミン酸が入ってくれば脳神経の興奮が高まり、多動やイライラを悪化させる可能性があるからです。

また、本来であれば脳内でグルタミン酸は「ギャバ」という神経伝達物質に変化します。ところが、グルタミン酸が多くなり過ぎると、ギャバへの変換が抑制されます。ギャバは発語や会話能力にも関係しているので、言葉の発達に悪影響を与えるのです。

うまみは食品添加物ではなく、天然のコンブやカツオ節から取るのがよいでしょう。

❹小麦製品
食事をすると、口には唾液、胃には胃液といった「消化液」が分泌されます。消化液には「消化酵素」が含まれていて、栄養分を吸収しやすい形に分解します。たんぱく質ならば、アミノ酸まで分解されて腸粘膜から吸収されます。

しかし、発達障害の人の場合、消化酵素の不足をはじめ、消化機能に異常が見られることが少なくありません。そのために、食べ物の分解がふじゅうぶんなのです。未消化の食べ物は腸に刺激を与えて、炎症を引き起こします。

たんぱく質の中でも分解されにくいのが、小麦に含まれている「グルテン」です。

❺牛乳・乳製品
グルテンと並んで分解されにくい「カゼイン」というたんぱく質が、牛乳・乳製品に含まれています。

❻マグロなどの大型回遊魚や、キンメダイなどの深海魚
神経系に障害を及ぼす「メチル水銀」を多く含むマグロなどを妊婦が食べ過ぎると、生まれた子どもの運動機能や、知能の発達に悪影響が出るリスクが増すとされます。

体内に入ったメチル水銀は、通常は尿や便、毛髪、爪から体外に排泄されます。しかし、その量が多すぎれば排泄が追いつきません。また、排泄能力にも個人差があります。

発達障害の人はメチル水銀の排泄能力が弱く、体内に蓄積しやすい可能性があるので、大型回遊魚や深海魚を摂取しないほうがよいのです。

❼マーガリン
マーガリンの製造過程で、水素を添加するときに「トランス脂肪酸」が生成されます。トランス脂肪酸は動脈硬化や心臓病の原因になるため、アメリカの食品医薬品局(FDA)は、2018年6月以降に食品へ添加することを原則認めないことにしました。

トランス脂肪酸がアレルギー症状を悪化させるという研究もあります。

周囲の人と同じメニューを楽しく食べることが目標

上記7つの食べ物を抜く食事法は、米を中心に、みそなどの発酵食品や、近海魚を組み合わせた和食といえます。伝統的な和食は、発達障害の改善にも効果があるのです。

また、7つの食べ物を一生食べられないというわけではありません。腸でのアレルギー反応が消えて炎症が治まり、本来のバリア機能が回復したら、7つの食べ物を少々食べた程度では悪影響が現れなくなり、周囲の人といっしょに、同じメニューを楽しく食べられます。

治療の目標は、発達障害の患者さんが食生活を含めて、社会生活をできるだけスムーズに、安心して送れることです。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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