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【下げて寄せる!】脊柱管狭窄症の痛み・間欠跛行を改善する2つの「肩甲骨ほぐし」のやり方

【下げて寄せる!】脊柱管狭窄症の痛み・間欠跛行を改善する2つの「肩甲骨ほぐし」のやり方

脊柱管狭窄症で痛みやしびれなどが起こる元凶は「腰の反り」にあり、さらにその引き金となる「胸椎の曲がり」にあるのです。脊柱管狭窄症の症状の予防・改善には、腰を反らす必要をなくすことが大切。最も効果的なのが、反りの元になっている胸椎の曲がりを改善していくことなのです。【解説】園部俊晴(コンディション・ラボ所長・理学療法士)


解説者のプロフィール

園部俊晴(そのべ・としはる)
●コンディション・ラボ
川崎市宮前区宮崎2-7-51 リーセントパレス宮崎203
044-572-2678
https://conditionlabo.com/

コンディション・ラボ所長。理学療法士。
整形外科領域の治療を専門とし、一般から、一流アスリートや著名人などの治療も多く手がける。『健康寿命が10年延びるからだのつくり方』(運動と医学の出版社)など著書多数。新聞、雑誌、テレビなどにも多く取り上げられる。

後ろに丸まった胸椎を改善することが大事

私は理学療法士として30年、多くの患者さんのリハビリテーション指導に携わってきました。その経験からわかったのは、「元気で長生きするのに必要なのは、体がかたくなるのを防ぐということ」です。

特にお年寄りには、これが何より大切です。というのも、私たちは加齢とともに、関節を動かしたり安定させたりする軟部組織(筋肉や靱帯、腱など)がかたくなっていくからです。
体がかたくなることで、さまざまな問題が起こってきます。特に注意すべきことは、次の四つです。

❶ケガや転倒が多くなる。
❷背骨が曲がりやすくなる。
❸関節が不安定になることで、痛みが生じやすくなる。
❹連動するほかの関節や筋肉に負担がかかることで、やはり痛みなどの症状が出やすくなる。

脊柱管狭窄症も、こうしたメカニズムから生まれる病気の一つであり、特に「背骨が曲がる(後弯)」ことに深い関係があります。

上の図を見てください。脊椎管狭窄症の人の多くは、このように胸椎(背骨の胸の部分)が後ろに丸まり、腰が反った姿勢になっています。

これは、胸椎の周囲の筋肉などがかたくなって、固まった状態です。この姿勢で体を起こすと、どうしても腰が反ります。

すると、腰椎(背骨の腰の部分)の中にある管(脊柱管)が押されて狭くなり、脊髄(脳と体の各部を結ぶ神経組織)を圧迫したり、静脈の血流を停滞させたりします。これが脊柱管狭窄症です。

つまり、脊柱管狭窄症で痛みやしびれなどが起こる元凶は「腰の反り」にあり、さらにその引き金となる「胸椎の曲がり」にあるのです。

胸椎が丸まってくる原因は、先天的なものや、生活動作のクセ、老化などです。もともとその傾向が強い人は、脊柱管狭窄症になりやすいといえます。
 
ですから、脊柱管狭窄症の症状の予防・改善には、腰を反らす必要をなくすことが大切。そのために、最も効果的なのが、反りの元になっている胸椎の曲がりを改善していくことなのです。

胸椎の曲がりを改善!「肩甲骨ほぐし」のやり方

胸椎の曲がりを直すのに重要なのが肩にある骨(肩甲骨)です。背中が丸まっている人は、たいてい肩も前に出て丸まっています。肩甲骨がかたくなり、本来の位置より上や外にあると、背中を伸ばそうとしても、十分に伸ばすことができません。

逆に、肩甲骨の動きがよくなると、背中を伸ばしやすくなります。つまり、胸椎の曲がりを正すことができるのです。
そこで私が、脊柱管狭窄症の患者さんに勧めているのが「肩甲骨ほぐし」という体操です。
肩甲骨ほぐしには、二つのやり方があります。

『肩甲骨下げ』

一つは、手のひらにお皿を乗せるイメージで、そのお皿を落とさないように顔の両側から後ろへ移動させる体操です。かたくなって上がった肩甲骨を下げながら、胸椎を伸ばす効果があります。

❶イスに浅く座って上体をまっすぐにし、お皿を乗せるイメージで手のひらを顔の両側にかまえる。

❷上体をまっすぐにしたまま、1、2で手を後ろに引き、ゆっくり元の位置に戻す。肩甲骨を下げるイメージで10回くり返す。

『肩甲骨寄せ』

もう一つは、90度に曲げた両ひじを肩の高さまで真横に上げ、ひじとあごを後ろに引く体操です。こちらは、かたくなって外側に開いた肩甲骨を内側に寄せながら、胸椎を伸ばしてくれます。

❶両ひじを90度に曲げ、肩の高さまで真横に上げる。手のひらを下にする。

❷上体をまっすぐにしたまま、1、2でひじとあごを後ろに引き、ゆっくり元に戻す。肩甲骨を内側に寄せるイメージで10回くり返す。

※「肩甲骨下げ」「肩甲骨寄せ」とも、毎日、決めた時間に行うとよい。痛みがなければ、何回やってもかまわない。

10分歩けなかった人が1ヵ月後に30分も歩けた

肩甲骨ほぐしを毎日続けると、肩甲骨周囲の筋肉がほぐれ、肩甲骨の動きがよくなります。曲がった胸椎を少しずつ、正しい位置に戻してくれるのです。そうなれば、腰を反る必要もなくなり、脊柱管が狭くなりにくくなります。

これらの体操の効果を示しているのが下のグラフです。
■脊柱管狭窄症の運動療法による効果(歩行距離の変化)

※赤羽根良和:『腰椎の機能障害と運動療法ガイドブック』(運動と医学の出版社)2017.より一部改変して引用

脊柱管狭窄症の特有の症状として「間欠跛行」があります。これは歩いていると、足腰に痛みやしびれが広がって歩けなくなり、しばらく休むとまた歩けるようになる歩行障害です。

グラフに示したデータは、この歩行障害のある脊柱管狭窄症の患者さんが、肩甲骨ほぐしや腰の体操などのリハビリを続けた結果をまとめたものです。

リハビリ開始時は、ほとんどの人が300m以下しか歩けませんでした。それがリハビリ開始後1~2ヵ月の間に、61%の人が1km以上歩けるようになっています。

この結果は、脊柱管狭窄症であっても、リハビリが非常に有効であることを示しています。一般的に歩行距離が300m以下では日常生活に支障を来し、手術あるいは車イスが必要とされます。500mが積極的な治療を行うかどうかの境界、1km以上なら問題なしとされているからです。

直近の具体的な症例をご紹介しましょう。
Sさん(男性・75歳)は胸椎がかなり曲がっており、典型的な脊柱管狭窄症の姿勢でした。右足のしびれが顕著で、10分と続けて歩けません。筋肉の状態を調べるテストでも、腰椎が反った状態で固まり、かたくなっていました。

そこで、肩甲骨ほぐしを中心とした体操を教え、自宅で毎日行ってもらったところ、テスト数値が徐々に改善。それに伴って右足のしびれが軽減し、歩行距離も延長しました。1ヵ月後には30分と、3倍の時間を普通に歩けるようになりました。

肩甲骨ほぐしは、毎日続けることで脊柱管狭窄症の痛みやしびれ、歩行困難などのつらい症状の緩和に確実に役立ちます。背中が曲がっている人、肩甲骨を動かしにくい人も、ぜひ、取り組んでみてください。

この記事は『壮快』2018年11月号に掲載されています
 

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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