料理に加えれば簡単に味がワンランクアップ!
刺激的なのど越しや、キレのある爽快感が魅力の炭酸水。近ごろは、炭酸を強めた商品や、レモンなどの風味をつけた商品も登場し、バリエーションが豊富になりました。
テレビでは、飲料水メーカー各社による、アスリートを起用した炭酸水のCMが、さかんに流れています。なんでも、プロのサッカー選手は練習や試合後に炭酸水を飲んでいるのだそう。疲労回復やリフレッシュに好適として、サッカー日本代表の公式飲料にも採用されました。
この夏には、NHKの情報番組『あさイチ』でも炭酸水の特集が組まれ、話題沸騰。炭酸水は、いまや一大ブームなのです。
全国清涼飲料連合会の調査によると、炭酸水の生産量は2006年の2万9000㎘から、2016年には20万6000㎘に増加しました。10年で7.1倍と飛躍的に成長しています。
これまでの炭酸水市場は、居酒屋などでカクテルやチューハイを作る際の「割り材」としての需要がほとんどでした。しかし近年は、職場や家庭で炭酸水をそのまま飲む、「直飲み」が定着しつつあります。
炭酸水には、血流改善や血行促進をはじめ多彩な健康効果があります。消費者の健康志向や自然志向がより高まったことで、支持を集めているのでしょう。
ここでは、そんな炭酸水の驚きの活用法や、気になる話題をご紹介します。
近年のブームで注目を集めているのが、炭酸水を使った調理法。料理に炭酸水という発想は意外ですが、加えることで、簡単にワンランク上の味になるのだそうです。解説記事に登場する齋藤真理子先生も、炭酸水を料理に愛用するお一人です。
例えば、オムレツやスクランブルエッグ。卵に加える牛乳の半量分を、炭酸水にかえて作ってみてください。まるでプロのシェフが作ったかのような、ふわふわの仕上がりになります。
ハンバーグのつなぎや、ホットケーキの生地、ご飯を炊くときにも、炭酸水を少量加えるとふっくらと出来上がります。
また、天ぷらの衣に混ぜると簡単にサクサク感がアップ。豚の角煮やスペアリブなども、炭酸水で下ゆでをすると、脂やアクがきれいに取れるとのこと。肉がより早くやわらかくなると好評です。
炭酸入浴剤を入れたら「ゆるめの長湯」!
炭酸水を使った「うがい」も注目されつつあります。
炭酸は真水よりも分子が小さいので、汚れ落としはお手のものです。また、炭酸の気泡には老廃物や汚れを付着させて洗い流す洗浄作用があります。
炭酸水を口に含み、ブクブクとしっかりゆすいでから吐き出すことで、カゼ予防はもちろん口内炎や歯肉炎、歯周病の撃退にも役立つのです。
炭酸は、鍼灸院や接骨院でも治療に使われています。
高濃度の炭酸を、スプレーで患部に直接吹きつけることで、血液やリンパの流れを促進。表層の筋肉が緩み、コリやハリ、痛みが取れるといいます。
肩こりや五十肩のほか、ひざやひじの痛み、スポーツ障害にも効果を発揮。「鍼よりも即効で効きめも持続する」と、患者さんに評判なのだそうです。

炭酸水うがいで口内環境改善!
また、炭酸水ブームにより、二酸化炭素を含む温泉「炭酸泉」も人気を集めています。
温泉大国の日本においても、天然の炭酸泉は非常に珍しく、希少な泉質です。
炭酸泉は、幅広い効能が大きな魅力。高血圧や糖尿病、動脈硬化、筋肉や関節の慢性の痛みやこわばりといった一般的な適応症に加え、皮膚の外傷、末梢循環障害、冷え症、自律神経失調症の改善にも有効です。
環境省が定める「温泉法」によると、炭酸泉とは、「地中からわき出た温水やガスなど1㎏中に、二酸化炭素を250㎎以上含んだもの」を指します。なかでも、二酸化炭素を1000㎎以上含む高濃度炭酸泉だけが、治療に有効な「療養泉」と名乗ることができるといいます。
ちなみに、炭酸濃度は一般的に、ppmという比率で表記されますが、1000ppmは、1000㎎/㎏と同じです。
天然の炭酸泉は、山形県、長野県、岐阜県、奈良県、兵庫県などに比較的多く見られます。
なかでも日本屈指の湧出地として有名なのが、大分県の長湯温泉。炭酸濃度は源泉により差があるものの、シンボル的な日帰り入浴施設「ラムネ温泉館」では、1380ppmの療養泉を気軽に体感できます。
炭酸泉に詳しい前田眞治先生によると、二酸化炭素は、水温が高くなるほど水に溶けにくくなる性質があるとのこと。入浴に適した40度程度の場合、炭酸濃度はせいぜい1000ppmが限度です。しかし、ラムネ温泉の湯は32度と低温なため、これだけ高い濃度を保てるというわけです。
そして不思議なことに、炭酸泉は、実際の湯温よりも2度ほど温かく感じられるのだそう。「ご家庭のお風呂に炭酸入浴剤を入れるときも、『ぬるめの長湯』を心がけると、血行促進に効果的です」と前田先生。ぜひ覚えておきたいところです。
いかがでしたか。これまで紹介してきたように、炭酸の魅力は、尽きることがありません。今回の炭酸水ブーム、まだまだ加速しそうです。
炭酸水の市場は拡大中!