解説者のプロフィール

足利仁(あしかが・めぐみ)
手のひらデトックス協会代表理事。
手のひらの反射区を押して体質改善を行う「手のひら押し」のメソッドを確立。大手企業や商業施設で行う手のひらを押すセミナーが評判で、これまで6000人以上の手を診断してきた。
脳梗塞で倒れた父が元に戻った!
皆さまは、ご自分の両手をじっくり見比べたことがありますか。手のひらには、現在のあなたの体の情報がぎっしり詰まっています。そして、その情報を教える「反射区(全身の臓器や器官に対応する部位)」を刺激すると、反射区に対応する臓器や器官が瞬時に元気になってきます。
私が、この「手のひら押し」の威力を改めて実感したのは、父が脳梗塞(脳の血管が詰まって起こる病気)で倒れたときでした。
それは、私がたまたま実家に帰った翌朝のことでした。目が覚めると、母が慌ただしく救急車を呼ぶ手配をしています。そのかたわらに、父が泡を吹いて倒れていました。白目をむき、声をかけてもまったく反応がありません。
このままでは、救急車が来る前に手遅れになる。何かしなければ。そう思った私は、とっさに父の手を押していました。首から上に症状が出ているので、頸椎に問題があるに違いないと思い、まずは親指の爪の横にある頸椎の反射区を必死で押しました。
2分くらい押したでしょうか。それまで意識を失っていた父が、「痛い」と声を出したのです。「意識が戻った」と思った私は、次に自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経)を調整している間脳の反射区を押しました。ここは、命の中枢です。すると父の意識はさらに明瞭になり、「痛いからもういい」と言ったのです。
救急車が到着したとき、父は何事もなかったように朝ご飯を食べていました。救急車には帰っていただき、その日病院に父を連れて行くと、画像診断で脳の詰まりの痕があると医師から言われました。父はその後しばらく血流をよくする薬を飲み、手も押して、再発することはありませんでした。
足の裏の反射区を手のひらに応用
当時私は、まだ手のひら押しを始めたばかりでした。それでもこれだけの効果があったのですから、驚きを通り越して感動すら覚えました。
手のひらには、全身の各器官や臓器とつながっている反射区があります。反射区は体のあちこちにありますが、いちばんよく知られているのは足の裏でしょう。
実は私が手のひら押しをするようになったのも、足の裏もみとの出合いがあったからです。
私は20代前半の頃、重度のアトピー性皮膚炎でした。手は野球のグローブのように腫れ、顔は目も開けられないほどパンパン。そこから、体液がジクジク出てきます。何をしてもよくならず、生きることさえつらかったときに、知人の足の裏もみの先生の施術を受けました。
そして自分でも毎日必死で足の裏もみを続けると、あれほどひどかったアトピーがわずか2週間で改善し、仕事にも復帰できたのです。以来、すっかり足の裏もみにはまってしまいました。
当時私は、ティースクールの講師をしており、自分でもお茶の教室を持っていました。教室のあるたびに、生徒さんたちの足の裏を見たり、もんだりしていました。その効果を感じる一方で、足の裏もみの限界も感じるようになりました。
足の裏は、いつでもどこでも、人前に出せるわけではありません。また、両足を自分で見比べることもできません。
そのうち手にも反射区があることを知り、これを勉強するようになりました。その歴史は意外に古く、古代エジプト時代から行われていたようです。ドイツや台湾では、今も足の裏もみと同じように、手のひらを押す健康法が人気です。
幸運だったのは、中医学に詳しい中国人の知り合いがいたことです。そのかたから、反射区や中医学の知識を学びながら、手のひら押しを研究しました。
私のお茶の教室は、いつしか手のひら押しの教室を兼ねるようになっていました。毎回、みんなで手を見比べ合い、反射区を押してその効果を確認するうちに、私独自の手のひらメソッドが構築されていきました。
手のひら押しは1ヵ所7秒
手のひら押しのよいところは、いつでもどこでも自分でできて、効果がその場でわかることです。悪いところは手のひらに表れており、そこを押せば、その刺激が手から末梢神経を通り、脊椎を介して、対応する器官や臓器に届きます。それが、全身の回復につながります。
手のひら押しのポイントは、反射区を7秒間押すことです。
リンパ液(※)の流れはゆっくりで、滞っているときはほぼ動きません。そこで、7秒間押してその流れをせき止めます。7秒後にパッと指を離すと、せき止めたリンパ液が一気に流れ、老廃物を押し流します。
同じことが、反射区に対応する臓器でも起きています。老廃物が流れれば、血液に新鮮な酸素や栄養が取り込まれやすくなり、臓器が活性化するのです。
※ 体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液

「手のひら7秒押し」基本の押し方
手のひらを押す方法は全部で4種類。下記の症状別の押し方は、この4つの方法を用います。また、押した後にとるとよいお勧めの飲み物も紹介します。

押し方❶ 親指の先プッシュ
親指の各部で、ピンポイントで反射区を押す方法。
A 内側:親指の内側の角で押す。
B 外側:親指の外側の角で押す。
C 親指の先:親指の先端で押す。爪で押し込まないのがポイント。
Point『反射区とは?』
手の反射区は、体の臓器や肩、腰などの部位と対応していて、押すといい効果がある

押し方❷ 親指の腹プッシュ
親指の腹を使って、垂直にグーッと押し込む。範囲の広い反射区を押すのに適している。
Point『手のお湯洗い』
手のひらを押す前に、お湯で手を洗うと、手が温まって、リンパ液と血液の流れがよくなります。反射区に対応した内臓や部位が弱っていると、押すと痛みがありますが、お湯洗いをすると痛みも緩和されます。お湯の温度は、お風呂程度の40〜42℃が最適で、ごく普通の洗い方でOKです。

押し方❸ OKペンチ
人さし指と親指で「OK」の形を作り、指の先端の反射区を挟んで押す。指の腹ではなく、側面ではさみこんで反射区を押して刺激するのがコツ。
Point『押し方の注意』
●基本は両手 ●片手にしか反射区がない場合は左右どちらか ●各反射区を押して、ビリビリするところや痛いところを1ヵ所につき7秒間押す ●1日に1~3回程度、時間があるときに行う

押し方❹ 人さし指押しつけ
人さし指を曲げて第2関節をとがらせ、その先に反射区を押しつける。

■老廃物は7秒でスッキリ!
手のひらを押してゴリゴリしているところには老廃物が多くたまっています。老廃物はおもにリンパ液に乗って流されますが、心臓のポンプ機能で押し出される血液と違って、リンパ液は、体調がよくても1分間に30㎝程度とゆっくり流れます。しかし体調が悪いと、1分間に2〜3㎝しか流れません。手のひらを押すとき、グーッと押していったんリンパ液の流れをせき止めてから、パッと離すと、流れが遅いリンパでもスッと流れます。そのために7秒間、手のひらを押すのです。

■終わったら血液型別ドリンクを
異なる血液型を輸血してしまうと、それが凝固して生命を脅かすのと同様に、飲み物も血液型によって相性があります。血液型ごとに相性のいいDNAをもった飲み物を選ぶと、スムーズに老廃物が流れます。手のひらを押した後にコップ1〜2杯分、飲みましょう。
「手のひら7秒押し」症状別の押し方
高血圧

『腰を伸ばすと気持ちいい』
リラックスしていると血圧が上がりにくいもの。そのリラックス状態をつくるのが、自律神経の一種である副交感神経です。副交感神経は背骨の首付近と腰付近から全身に延び、全身に張り巡らされています。副交感神経の起点である腰がこって、付近の筋肉が硬くなると、副交感神経が圧迫されてリラックスできず、イライラして血圧も上がりやすくなります。「腰を伸ばすと気持ちいい」のは、一見当たり前のようですが、その分、普段は副交感神経が圧迫されていることを意味します。腰を伸ばすと気持ちいい人は、高血圧の黄色信号が灯っているかもしれないので、手のひら押しで血圧の上昇を防ぎましょう。

❶間脳の反射区
反射区の場所:親指の腹の真ん中。指紋の中央
押し方:反射区を人さし指の第2関節に当て、グーッと7秒間、強く押しつける。

❷腎臓の反射区
反射区の場所:手のひらの中指のつけ根から親指の幅3本分下
押し方:反射区に親指の腹を置き、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押す。

❸背骨(下部)の反射区
反射区の場所:親指と手のひらの境目のシワから親指3本分下のボコッとした骨の真上
押し方:ボコッとした骨の真上にあるすき間が反射区。そこに親指の先を入れ込むようにして、グーッと7秒間押す。
糖尿病

『水を飲んでいるのにのどが渇く』
水分をとっていても、のどが渇くことはありませんか。水を飲んでいるのにもかかわらず、のどが渇く人は、体に「余分なもの」がたまっている可能性があります。これを尿や汗などで体外に排泄するために、体が水分を欲するからです。このとき、体内にたまっているのは、多くの場合、とりすぎた糖です。実際、糖尿病では「のどが渇く」「水をよく飲む」という症状が出ることが知られています。水を飲んでいるのにのどが渇くというのは、糖を排出しようとする体の反応で、糖尿病の発症前から見られることも多いです。そんな現象に気づいたら、反射区を押して、糖尿病を予防しましょう。

❶小腸の反射区
反射区の場所:中指と薬指の間の指の股から親指の幅4本分下で、押すとビリビリするところ
押し方:親指の腹で反射区をグーッと手のひらに向けて垂直に7秒間押す。

❷膵臓の反射区
反射区の場所:親指のつけ根の筋肉がプクッとふくらんでもっとも高くなっているところのすぐ上
押し方:反射区に親指を立てるように置き、手のひらに向けて垂直に7秒間押す。

❸副腎の反射区
反射区の場所:中指の真下にあるボコッと飛び出た骨のすぐ下
押し方:中指の真下の骨の下から指を入れ込むような向きで親指の先を当て、若干中指側に向かって7秒間押す。
めまい

『右の肩だけがやけに痛い』
右肩だけが痛くなったことはありませんか。こんなときは、小腸と大腸のつなぎめにある回盲弁(下腹部右側にある)が弱っているかもしれません。正座の姿勢は、回盲弁を圧迫して弱くします。長く正座を続けてきた日本人には、回盲弁の弱い体質が受け継がれていることが多いのです。回盲弁が弱ると、大腸の内容物が小腸に逆流しやすくなり、免疫に重要な役割を持つ小腸の働きが衰えます。すると疲労感、倦怠感などが現れ、やがてめまいが起こるケースが多くみられます。右肩だけの痛みは、その始まりなのです。回盲弁の反射区を中心に押しましょう。

❶回盲弁の反射区
反射区の場所:右手の薬指下の延長線上にある。手首と手のひらの境界線のシワから親指の幅2本分上
押し方:親指の先を反射区に置き、手のひらに向けて垂直に力を入れ、7秒間押す。

❷首(頸椎)の反射区
反射区の場所:親指の爪のつけ根の外側のところ
押し方:反射区のある親指を、逆の手の人さし指を内側、親指を外側に当てて挟む(OKペンチ)。押す方の手の親指に力を入れて7秒間押す。

❸耳・鼻の反射区
反射区の場所:薬指と小指の爪のつけ根のすぐ横。左右にある
押し方:薬指の反射区を親指と人さし指でグーッと7秒間、挟み込むようにして押す。小指でも同様に行う。
耳鳴り

『いつもの食事がおいしくない』
いつもと同じ食事をとっているのに、なぜかおいしくない。こういうことは、胃腸の不調などさまざまな原因から起こります。その中で見逃されやすいのが「鼻の不調」です。食物の味は舌の味蕾という器官で感じますが、ご飯がおいしくないときは、味蕾より鼻の不調によることが多いのです。カゼで鼻がつまると、ご飯がおいしくないのもそのためです。鼻と耳の奥は耳管という管でつながっており、鼻の不調は、やがて耳の不調を招きます。その結果として耳鳴りが起こることもあります。いつもの食事が味気なく感じたら、耳・鼻の反射区を中心に手のひら押しをしてみましょう。耳鳴りの発症防止に役立ちます。

❶腎臓の反射区
反射区の場所:手のひらの中指のつけ根から親指の幅3本分下
押し方:反射区に親指の腹を置き、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押す。

❷大脳の反射区
反射区の場所:親指の先端。左手は右脳、右手は左脳に対応する
押し方:反射区がある親指を、反対の手の人さし指を曲げた第2関節の先端に、グーッと7秒間、押しつける。

❸耳・鼻の反射区
反射区の場所:薬指と小指の爪のつけ根のすぐ横。左右にある
押し方:薬指の反射区を親指と人さし指でグーッと7秒間、挟み込むようにして押す。小指でも同様に行う。
もの忘れ

『息を吸っても吸っている気がしない』
激しい運動をしたわけでもないのに、大きく息を吸わないと息苦しく感じることはありませんか。そんなときは、肺をはじめとする呼吸器の機能低下を疑う必要がありますが、同時に警戒しなければならないところが脳です。肺の機能低下が、脳からの神経伝達が弱いために起きている場合もあるからです。いずれにしても、脳は多量の酸素を要求する器官なので、肺の機能が落ちると、たちまち脳もダメージを受けます。すると、もの忘れも起こりやすくなってしまいます。息苦しさを感じるときは、肺などに病気がないことを確かめるとともに、手のひら押しで脳のケアを心がけましょう。

❶間脳の反射区
反射区の場所:親指の腹の真ん中。指紋の中央
押し方:反射区を人さし指の第2関節に当て、グーッと7秒間、強く押しつける。

❷大脳の反射区
反射区の場所:親指の先端。左手は右脳、右手は左脳に対応する
押し方:反射区がある親指を、反対の手の人さし指を曲げた第2関節の先端に、グーッと7秒間、押しつける。

❸副腎の反射区
反射区の場所:中指の真下にあるボコッと飛び出た骨のすぐ下
押し方:中指の真下の骨の下から指を入れ込むような向きで親指の先を当て、若干中指側に向かって7秒間押す。
甲状腺の不調

『足や顔がパンパンにむくむ』
甲状腺は、体の代謝全般を調節するホルモンを分泌しています。それが過剰に出るのが甲状腺の病気として有名なバセドウ病で、反対に不足するのが橋本病です。不足した場合に出やすいのがひどいむくみです。甲状腺機能の不調によって出るむくみの特徴は、指で押してもへこまないこと。これは、水がたまる通常のむくみとは違って、もともと皮膚に含まれるヒアルロン酸という成分が増えているからです。また、足でも顔でもパンパンにむくむのも特徴です。このようなむくみがみられたら、甲状腺の不調を疑う必要があります。手のひら押しを行って、本格的な甲状腺の病気を予防しましょう。

❶甲状腺の反射区
反射区の場所:親指外側にあり、第1関節の膨らみのすぐ上
押し方:反射区のある側の親指を、逆の手の人さし指を内側、親指を外側にして挟む(OKペンチ)。押すほうの手の親指に力を入れて7秒間押す。

❷全身のリンパ
反射区の場所:手首のシワ中央からやや親指よりの触るとグリグリする関節の横にあるくぼみ
押し方:親指の先を関節の横にあるグリグリしたくぼみに当てて、手のひらに向けて垂直に7秒間押す。

❸脾臓の反射区
反射区の場所:左手の薬指と小指の股から親指の幅3本分下
押し方:反射区に親指の先を置き、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押す。
老眼・近視・白内障

『なんにでもしょうゆをかけるようになった』
「最近、なんにでもしょうゆをかけてしまう」。それは、目が弱る前兆かもしれません。味覚のうち、人がもっとも変化を自覚しやすいのが塩味です。それが変わる原因としては、加齢や偏食などがありますが、中医学的には、「肝臓の不調」が挙げられます。中医学では、目は肝臓のエネルギーによってものを見ていると考えています。ですから、濃い味が好きになったら肝臓の不調が疑われ、それが目の症状を招くことを警戒しなければなりません。最近、しょうゆをよく使うようになった人は、手のひら押しで、肝臓の健康を保つとともに目の不調を防ぎましょう。

❶肝臓の反射区
反射区の場所:右手の薬指から下の延長上にあるボコッと出た骨のすぐ下
押し方:親指の先を反射区に当てて、手のひら側に向かって 垂直に7秒間押す。

❷首(頸椎)の反射区
反射区の場所:親指の爪のつけ根の外側のところ
押し方:反射区のある親指を、逆の手の人さし指を内側、親指を外側に当てて挟む(OKペンチ)。押すほうの手の親指に力を入れて7秒間押す。

❸腎臓の反射区
反射区の場所:手のひらの中指のつけ根から親指の幅3本分下
押し方:反射区に親指の腹を置き、手のひらに向けて垂直にグーッと7秒間押す。

❹目の反射区
反射区の場所:人さし指と中指の爪の両側。左手は右目、右手は左目に対応
押し方:中指の爪の両側にある反射区を、逆の手の人さし指、親指で挟む(OKペンチ)。そのままグーッと7秒間、挟むようにして押す。人さ し指でも同様に行う。
眼瞼下垂

『眉間のシワが左右どちらかに寄っている』
眼球を動かす神経を動眼神経といいますが、これは動くのをよくサボる神経です。動眼神経をあまり使わないでいると、その働きが目の周囲の筋肉とともに衰え、眼瞼下垂が起こりやすくなります。その前兆の1つが「おでこのシワ」です。動眼神経をよく使うと、目に近い額の張りも保たれますが、使わないでいると額を動かしてものを見るためにシワが寄りやすいのです。もう1つの前兆は「眉間の左右のどちらかに偏ったシワ」です。これは、左右で使いやすい側の目はよく使うものの、逆側は使わずに頭ごと動かすというクセによってシワになるのです。心当たりがある人は、手のひら押しをして眼瞼下垂を予防しましょう。

❶間脳の反射区
反射区の場所:親指の腹の真ん中。指紋の中央
押し方:反射区を人さし指の第2関節に当て、グーッと7秒間、強く押しつける。

❷首(頸椎)の反射区
反射区の場所:親指の爪のつけ根の外側のところ
押し方:反射区のある親指を、逆の手の人さし指を内側、親指を外側に当てて挟む(OKペンチ)。押すほうの親指に力を入れて7秒間押す。

❸目の反射区
反射区の場所:人さし指と中指の爪の両側。左手は右目、右手は左目に対応
押し方:中指の爪の両側にある反射区を、逆の手の人さし指、親指で挟む(OKペンチ)。そのままグーッと7秒間、挟むようにして押す。人さし指でも同様に行う。
頻尿

『いつも漠然とした不安がある』
頻尿は精神的な緊張や不安と深く関係します。ですから、特に理由もなく不安がある人は、頻尿を起こしやすい体質です。漠然とした不安は、本来は協調するべき脳の各部の働きが、アンバランスになっているときに起こります。体はそれをストレスと捉え、対応するために全身を緊張させます。実質的な危険がないとわかれば、再び体は緩みますが、このとき真っ先に緩むのが膀胱です。膀胱が緩んだものの、全身の筋肉がまだ緊張しているとき、膀胱が押されて頻尿や尿もれが起こりやすくなるのです。こうして起こる頻尿を防ぐには、ここに挙げた手のひら押しが効果的です。

❶間脳の反射区
反射区の場所:親指の腹の真ん中。指紋の中央
押し方:反射区を人さし指の第2関節に当て、グーッと7秒間強く押しつける。

❷背骨(下部)の反射区
反射区の場所:親指と手のひらの境目のシワから親指3本分下のボコッとした骨の真上
押し方:ボコッとした骨の真上にあるすき間が反射区。そこに親指の先を入れ込むようにして、グーッと7秒間押す。

❸膀胱の反射区
反射区の場所:人さし指の下、延長線上にある。手首と手のひらの境界線のシワから親指の幅2本分上
押し方:反射区に親指の腹を置き、手のひらに向けて垂直に7秒間押す。
痔

『普段から朝ご飯を食べない』
人間の生理的なリズムとして、朝は排便に絶好のタイミングです。なぜなら朝、空っぽの胃に食べ物が入ると、大腸も動いて排便のスイッチが入るからです。ですから朝食をとらないと、排便リズムがくずれます。いちばん多いのが便秘ですが、便秘で便が硬くなり、それをいきんで出すと、痔を招きやすくなります。排便リズムの乱れから、下痢が起こる人もいます。この場合、直腸(肛門の手前)まで来ている便を肛門の力で止めるため、肛門に負担がかかるうえ、炎症を招いてやはり痔が起こりやすくなります。朝食を食べる習慣がない人は、手のひら押しで痔を防ぎましょう。

❶下行結腸の反射区
反射区の場所:左手の薬指と小指の股から親指の幅4本分下のところ。押すとビリビリする
押し方:親指の先を反射区に当て、手のひらに向けて垂直に7秒間押す。

❷肛門の反射区
反射区の場所:左手の人さし指と中指の股の下の延長線上にある。手首と手のひらの境界線上のシワから親指の幅2本分上
押し方:親指の先を当て、手のひらに向けて垂直に7秒間押す。

❸直腸の反射区
反射区の場所:左手中指下の延長上にある。手首と手のひらの境界線上にあるシワから親指の幅2本分上
押し方:親指の先を反射区に当て、手のひらから垂直方向に7秒グーッと押す。
膵臓の反射区を押すと痛い!
私はこれまで10年以上にわたって「手のひら押し」を行い、6000人以上のかたの手のひらを見てきました。
その中には、今回ご紹介しためまいや耳鳴り、糖尿病、高血圧などが改善されたかただけでなく、アトピーを克服されたかた、不眠症や冷え症が改善されたかた、原因不明の体調不良がよくなったかたなど、手のひら押しで健康を取り戻されたかたが大勢いらっしゃいます。
不調がよくなれば、気持ちも前向きになって、人生が変わってきます。そういう症例を2例、ご紹介しましょう。
お一人は、急性膵炎(膵臓が炎症を起こして、胸やおなかに激痛を引き起こす)のかたです。このかたは、私の手のひらセラピーの生徒さんであるTさんのお父さま(70代)です。
Tさんのお父さまは、以前から原因不明の発作によく見舞われていました。談笑中などに、突然胸のあたりが苦しくなって、息ができなくなってしまうそうです。発作が起きると、「これはおかしい」とTさんが心配になるほど、顔面が蒼白になって苦しがります。でも、3分もすると治まるそうです。
病院に行っても、そのときは何ともないので、検査もしないままでした。
あるとき、知り合いの医師の前でたまたま発作が起きたことがありました。医師は驚いて、「この発作は命にかかわるから、すぐに病院で診てもらいなさい」と言ったそうです。
そこで、今度は大きな病院で検査を受けましたが、原因はわかりませんでした。そんなお父さまを心配して、Tさんから相談の電話がかかってきました。
私はTさんに、まず手のひらをじっくり見て、悪いところを探すようにアドバイスしました。実家に帰ってお父さまの手のひらを見たTさんから、「親指の付け根の下あたりがえぐれるようにへこんでいて、そこを押すととても痛がる」と電話がありました。その辺りは、膵臓の反射区です。
膵臓の病気を疑った私は、そこを重点的に押すように、Tさんに伝えました。同時に、膵臓の病気は見つけにくいので、病院で膵臓の検査をお願いするように伝えました。
その検査で急性膵炎が長引いていることがわかり、すぐ治療に入りました。治療と並行して、Tさんもお父さまの手を一生懸命に押したところ、すっかりお元気になられたと聞きました。
このように、手のひら押しは、自分で手のひらを見て診断できることが最大の特徴です。

膵臓の反射区がへこんでいる人は要注意
両手を見比べると体の状態がわかる
両手を見比べて、片方の指がむくんでいたり、シワが多かったりしたら、それは何かの兆候を表しています。それを見てどこが悪いかわかれば、自分で治したり、病気を予防することもできるのです。
もう一人は、お茶の教室の生徒さんのMさん(40代半ば・女性)です。あるとき、お茶の教室に来たMさんから、「1週間後に卵巣嚢腫の手術をしますから、1ヵ月間教室をお休みします」と伝えられました。血液検査の数値が高く、卵巣を摘出するということでしたので、手の甲側の手首の下にある卵巣の反射区を押してあげました。
反射区を押すと、それに対応する臓器のリンパ液(※)や毛細血管が活性化しますから、術後の傷の治りが早くなります。
Mさんも、「これならいつでも押せる」と言って、熱心に卵巣の反射区を押していたようです。
手術の2日前に、Mさんから電話がありました。術前の検査をしたら、数値が下がって安定しているので、卵巣を取らなくてもよくなったというのです。
それを聞いて、驚きました。通常、多少数値がよくなっても、手術が決まっていたら、予定どおりに手術をします。ですから、「取らなくてもよい」と判断した医師の決断と、一生懸命に手を押した彼女の頑張りに、頭が下がる思いでした。
Tさんのお父さまは手のひら押しが診断に役立った例、Mさんは治療に役立った例です。このように、診断にも治療にも使えるのが、手のひら押しのよいところです。
※体内の老廃物や毒素、余分な水分を運び出す体液