脱毛部分に毛が生え完全に元どおり!
今回ご紹介する「割りばしリラックス」は、あおむけになった姿勢で割りばしを口に乗せるという、とても簡単な健康法です。歯や口だけでなく、その他多くの症状に対して有効です。なかでも、ぜひ知っていただきたいのが、薄毛などの頭髪トラブルの改善効果です。
なぜ、口に割りばしを乗せるだけで、髪のトラブルが改善するのでしょうか。その理由を理解していただくために、私の父の例を取り上げましょう。
父は64歳のとき、それまでふさふさに生えていた頭部の右側の髪の毛が、ごっそりと抜け落ちてしまいました。
その原因となったのが、当時我々が新たに作って使用した入れ歯の不具合でした。その新しい入れ歯のかみ合わせのバランスがよくなかったのです。しかし父は、息子が作った入れ歯なので文句もいえず、そのまま使い続けました。そのせいで、健康だった歯までボロボロになってしまい、食べ物をろくに噛めなくなったのです。
ものをかむときには、口周りの筋肉である「咬筋」をはじめとした、複数のそしゃく筋が使われます。そのなかでも注目したいのが、側頭筋です。
側頭筋は、側頭部と下あごの骨をつなぐ筋肉で、ものをかむときに、いちばん大きな力を出す筋肉です。
かみ合わせのバランスが悪くなると、この側頭筋にストレスがかかり、血行も悪化し、頭皮の細胞の働きまで大きく低下してしまいます。その結果、父の側頭部の毛髪が、ごっそりと抜けてしまったのです。
そこで、入れ歯を作り直してかみ合わせのバランスをよくし、きちんとかめるようにしたところ、なんと脱毛部分に白い毛が生え始めたのです。白い毛はやがて黒くなり、8ヵ月後には完全に元どおりの状態にまで回復しました。
割りばしリラックスのやり方

割りばしリラックスのやり方は、次のとおりです。
割りばしは、割って1本だけを使用してください。
あおむけになり、口をほんの少しだけ開け、口の上に割りばしを横にして乗せます。このとき、割りばしをかまないようにしてください。
そして、全身の力を抜いてください。手は、手のひらを上に向け横に置き、足は伸ばしたままにします。腰痛などがあるかたは、ひざを立ててもよいでしょう。頭には低い枕かタオルを置いてもかまいません。
この姿勢のまま、30分間そのまま過ごしてみましょう。もし30分が長いと感じられるかたは、最初は5分でも10分でもかまいません。徐々に時間を延ばしましょう。
これを1日1回以上、少なくとも2週間は続けてみてください。
体から力が抜け、しんからリラックスできるようになったら、就寝時に行ってもかまいません。そのまま眠っても、割りばしは口の外に落ちるだけなので、危なくありません。
健康な状態の人は、口を閉じたときに、上下の歯の間に2〜4㎜程度のすきまができます。このとき上下の歯はどこにもふれていません。これが、口を閉じているときの最適な状態です。
専門的な用語では、この状態を、下あごの「安静空隙」といいます。口に割りばしを乗せると、側頭筋などそしゃく筋の緊張が自然と緩み、この下あごの「安静空隙」を無意識に作り出すことができます。
この状態が身につくことで、常に頭部へのストレスが少なくなり、頭皮の血行不良などを防げるのです。
側頭筋が緩み栄養が行き渡る

脱毛や薄毛を引き起こす原因は、大きく分けると、二つあります。一つは遺伝的要因です。もう一つが、頭部へのストレスで起こる頭皮の血行不良です。後者は、かみ合わせのバランスの乱れをはじめとする、さまざまな要因によって起こります。
父の場合は、かみ合わせのバランスの悪化による血行不良が原因でした。
一方、現代社会に生きる私たちは、日々のストレスによって、知らず知らず歯を食いしばることが多くなり、そのせいで側頭筋が緊張して、頭皮の血行が悪くなりがちです。
今回ご紹介する割りばしリラックスは、そうしたそしゃく筋や頭皮にかかる過度のストレスの解消に、大きな効果を発揮します。
割りばしリラックスを行うと、側頭筋を含んだ口の周囲の筋肉、さらに頭全体や首周りの筋肉群の緊張までが解きほぐされて、コリや血行が改善されます。
それによって全身の血行が促進されて、頭皮に栄養が行き渡り、髪にいい影響を及ぼすのです。脱毛をへらしたり、発毛を促したりする効果が望めます。
解説者のプロフィール
林晋哉(林歯科院長)
●林歯科
東京都中野区弥生町2-3-13川本ビル3F
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