下がり腸【大腸下垂】は下腹ぽっこりの原因 お腹が張る ガス腹は逆立ち体操で解消

下がり腸【大腸下垂】は下腹ぽっこりの原因 お腹が張る ガス腹は逆立ち体操で解消

「いつもおなかが張って苦しい」「下腹がポッコリ出ている」という人は、「大腸下垂」の可能性が非常に高いと言えます。便秘やガス腹を引き起こす大腸下垂の予防・改善には、腹筋、骨盤底筋を鍛えましょう。私がお勧めするのは、雑巾がけやおしりの上げ下げなどです。【解説】金子実里(金子病院副院長) 


構造的に大腸は垂れ下がりやすい

 「いつもおなかが張って苦しい」「下腹がポッコリ出ている」という人は、「大腸下垂」の可能性が非常に高いと言えます。

 大腸下垂とは、大腸が本来の位置からかなり下がっていることです。運動不足や加齢によって腹筋力が衰えると、重力に負けて、大腸の位置が下がってしまうのです。

 大腸は、直径が5〜7㎝、長さが1・5〜2mの長い管です。図のように、大腸は盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に区分けされます。横行結腸とS状結腸は腸間膜という膜でつるされ、おなかの中でぶら下がっています。こうした構造のため、横行結腸が垂れ下がることがあるのです。

 大腸を外側から押さえて支えているのが、腹筋です。女性は、男性と比べてもともと筋力が弱いので、大腸下垂になりやすいと言えます。大腸下垂になると、便やガスなどの内容物が大腸に滞ります。そのため、便秘やガス腹が引き起こされ、下腹がポッコリと出てしまいます。

逆立ちをすると大腸が元に戻る

 大腸下垂を防ぐには、腹筋、骨盤底筋を鍛えましょう。

 私がお勧めするのは、雑巾がけです。腕を肩よりも高く上げて窓を拭いたり、足腰の筋肉を使って床を拭いたりすると、腹筋だけでなく、加齢とともに衰えやすい筋肉を使います。また、部屋が美しくなるという達成感も得られるので、長く続けられるでしょう。

 大腸下垂による便秘やガス腹の解消には、10秒間の逆立ちが効果的です。逆立ちと言っても、両手だけで体を支えるポーズを取る必要はなく、壁などを使って足を高くするだけでかまいません。

 こうすると、垂れ下がっていた大腸が元の位置に戻り刺激となって、便とガスが出やすくなります。また、下半身の血液・リンパの滞りも解消されるので、冷えやむくみも消えるでしょう。

 頭と手で体を支える3点倒立を、私はときどき行いますが、やった後は体がスッキリします。軽い頭痛でしたら、治ってしまいます。

食事も生活も1つだけに偏らないことが大事

 大腸にガスがたまると、おなかの張りだけでなく、背中やわき腹に差し込むような痛みが生じることがあります。ガスが周囲の器官を圧迫するためです。

 こうした症状を早く解消させるには、おなかやおしりを温めることが効果的です。カイロや湯たんぽ、電気あんかなどを利用しましょう。お湯を入れたペットボトルでもいいのですが、やけどに注意してください。

 大腸は温めることで、動きが活発になります。そして、ガスが移動し、周囲の器官への圧迫が解消して、痛みも消えます。

 ガス腹によく悩まされる人は、1回の食事量を少なめにし、回数を増やすといいでしょう。例えば、これまで1日3回食べていた量を、5回に分けて食べるのです。

 繊維質の多いものも、かえってガスを停滞させます。やせたいからと、油脂類をほとんど口にせず、サラダなどで一度に大量の食物繊維をとる人に、便秘やガス腹が多く見られます。

 必要な油分はとりましょう。油脂類は、便の滑りをよくして排便しやすくするために必要だからです。また、腸内に大量の食物繊維が入ってくると、中で停滞してガスが発生するのです。食物繊維をはじめ「腸に効く食品」にはいろいろなものがありますが、「これさえとればいい」と1種類に偏るのは避けてください。

 同様に、座って行う仕事ばかりやるのではなく、ときどき雑巾がけや逆立ちを取り入れるようにしましょう。運動不足とストレスの解消につながります。

 食事も日常生活も、1つだけに偏らずまんべんなく行うことが、大腸の健康を保つために、なによりも大事です。

金子実里(かねこみさと)
1956年、東京都生まれ。85年、帝京大学医学部卒業後、東京慈恵会医科大学麻酔科を経て、88年より現職。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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