便のタイプで便秘の解消法が違う
皆さんは、ふだん、どのような便をしていますか? 便を大きく分けると、次の3つのタイプがあります。
❶コロコロタイプ・・・便の水分が少なくて硬い
❷ゆるゆるタイプ・・・便が軟らかくて形にならない
❸ねっとりタイプ・・・便がねっとりとして重い
食物繊維をとる、冷たい水を飲むなど、一般に「便秘に効く」と言われている方法はたくさんあります。しかし、便のタイプに合わない方法を続けていれば、腸の調子がよくならなかったり、たとえ便通はあってもスッキリしなかったりするものです。例えば、コロコロタイプの人は、冷たい水をたくさん飲むと、便秘がひどくなる場合があります。
便は健康のバロメータと言います。インドの伝承医学「アーユルヴェーダ」でも、便の出方を重視し、便秘は万病のもとと考えられてきました。
腸は、便を形作って排泄する器官ですが、アーユルヴェーダでは、全身にたまった毒素を集めて体の外に出す働きがあるとも考えられています。
私たちの体では、食べ物をとり、消化して、エネルギーとして使う過程で、毒素が生み出されています。便とともに排泄される毒素は、便秘が続くと、どんどんと体内にたまっていくことになるのです。
その結果、頭や肩が痛くなったり、すぐに疲れたり、暗い考え方になったりしがちです。
理想的なのは、毎朝、切れのよい便がスキッと出ること。形はバナナ状で、色が薄くてべたつかず、においもありません。そして、肛門の周囲が汚れず、おしりを拭く紙も少なくて済むので、環境に優しいエコな便です。
今回は、便のタイプ別に、腸の状態を改善して、気持ちよく便を出す方法を紹介しましょう。
便はその人の体質が大きく関係する
便秘になりやすいかどうか、そして、どのような便が出やすいかは、その人が生まれ持った体質が大いに関係します。
❶コロコロタイプ
「1〜2週間、出ないことも珍しくない」というコロコロタイプの人は、体が乾燥しやすい傾向があります。アーユルヴェーダで言うところの「ヴァータ」体質です。生活が不規則になると、便秘になりがちです。
❷ゆるゆるタイプ
ゆるゆるタイプの場合、どちらかというと下痢ぎみで、便が出た後に肛門がひりひりと痛くなることがよくあります。
時間に追われて、勢いよくがつがつと食べると便通が乱れるこのタイプは、「ピッタ」体質とされています。
❸ねっとりタイプ
ねっとりタイプは、便が出てもスッキリしません。爽快感がないうえ、便をした後でおしりを紙でごしごしと拭きたくなることもよくあります。甘い物や脂肪が多いこってりした物が好きではありませんか? 体が重くなる傾向がある「カパ」体質です。
便のタイプチェックリスト

便をスキッと出すと毎日が明るく楽しい
こうした体質は、生まれつきのものなので、人生を通して本質的には変わりません。しかし、年齢や生活習慣、季節などで、違う体質の傾向が出てくることもあります。
私たちの人生では、生まれてから25歳くらいまでは、カパが優勢で、体がみずみずしい時期です。25歳から50歳までの間はピッタが優勢で、行動力・知力にあふれ、エネルギッシュです。50歳以降はヴァータが優勢で、全身に乾燥感や軽さがもたらされます。
生まれつきの体質や、年齢・季節による体質の変化を知っておくことは、便をスキッと出して、毎日を明るく、楽しく過ごすためにたいへん役立ちます。
アーユルヴェーダは、5000年にわたって伝えられてきた、長い歴史を持つ自然医学です。私自身、胃痛や湿疹に悩まされていた30歳の頃にアーユルヴェーダの本と巡り合い、その生活術を実践しました。
そして、体調が回復したばかりか、約80㎏あった体重が60㎏まで減り、便通も安定しました。すがすがしく起きることができて、朝いちばんに便がスキッと出て、気持ちにも余裕が生まれてきたのです。
解説者のプロフィール

蓮村 誠
1961年、神奈川県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業、医学博士。
東京慈恵会医科大学病理学教室および神経病理研究室勤務の後、92年、オランダマハリシ・ヴェーダ大学、マハリシ・アーユルヴェーダ医師養成コースに参加。
現在、診療に当たる傍ら全国各地での講演活動、書籍執筆、テレビ出演、雑誌の連載などマハリシ・アーユルヴェーダの普及に努める。
『毒を出す食ためる食』(PHP文庫)など著書多数。
●マハリシ南青山プライムクリニック
http://www.hoyurishikai.com/