MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
ジグリング(貧乏ゆすり)の効果的なやり方 変形性股関節症が改善した人多数

ジグリング(貧乏ゆすり)の効果的なやり方 変形性股関節症が改善した人多数

変形性股関節症とは、足の付け根にある大きな関節である「股関節」の関節軟骨がすり減り、痛みを起こす病気です。当院で、「貧乏ゆすり」を積極的に患者さんに実践してもらったところ、すり減った軟骨が再生した症例が続々と現れたのです。【解説】井上明生(柳川リハビリテーション病院名誉院長)

解説者のプロフィール

井上明生
 柳川リハビリテーション病院名誉院長。変形性股関節症治療の権威。1961年大阪大学医学部卒業、1966年同大学院修了。ロンドン大学留学を経て、大阪大学整形外科准教授、久留米大学整形外科教授を歴任。2000年4月より、柳川リハビリテーション学院学院長、2001年4月より柳川リハビリテーション病院院長に就任。2011年4月より現職。変形性股関節症に対する「貧乏ゆすり(ジグリング)」の効果の研究と啓蒙に努めている。

絶えず小刻みに動く関節は関節症にならない

 変形性股関節症とは、足の付け根にある大きな関節である「股関節」の関節軟骨がすり減り、痛みを起こす病気です。
 レントゲン写真で診断をつけ、進行の程度がわかる病気ですが、これまで、保存療法(手術に頼らない治療)で関節症が改善したことを、レントゲン写真で示したものは、世界的に見てもありません。

 ところが当院で、「貧乏ゆすり」を積極的に患者さんに実践してもらったところ、すり減った軟骨が再生した症例が続々と現れたのです。
 証拠のレントゲン写真を示しながら、この新療法をご紹介します。

 長い間、整形外科医の間では「すり減った軟骨は再生しない」と考えられていたので、「貧乏ゆすり」を初めて学会に発表したときは、結果を疑う否定的な意見も多くありました。

 貧乏ゆすりを始めたきっかけは、術後の成績向上を促すためでした。
 当院は、「キアリ骨盤骨切り術」という、関節温存手術を、かなり進行した変形性股関節症の患者さんに積極的に行っています。しかし術後、関節のすき間(太ももの骨の先端の丸い部分=大腿骨頭と、股関節の骨盤側のくぼみ=臼蓋の間)がうまく開かないケースがあります。

 関節のすき間が開くというのは「軟骨が形成された」ということを意味します。そうした患者さんに、貧乏ゆすりを勧めることを思いつきました。
 ヒントになったのは、カナダの整形外科医・ソルター博士が考案したCPMです。
 博士は、呼吸をするために24時間動いている肋骨と胸椎(背骨の胸の部分)、肋骨と胸骨(胸の前方にある縦長の骨)の間には関節症がないという事実に気付いて、動物実験を行います。
 その結果、関節に負担をかけない「小刻みな摩擦運動」は、軟骨の再生を促すことを証明しました。そして、股関節を持続的に動かす医療機器・CPMを開発したのです。

80代でも軟骨が再生した!

 CPMは高価で大きな器械ですので、家庭に備え付けて使用するものではありませんし、長時間、患者さんが使用するのは現実的ではありません。
 代わりに、同様の効果が得られる摩擦運動はないかと考えて思いついたのが、貧乏ゆすりでした。
 貧乏ゆすりの成果は予想以上でした。

 77歳の女性・Kさんは、ご本人も人工関節を入れる手術を希望されましたが、呼吸器に障害があり、麻酔科でリスクが高いと言われ、手術を受けることを断念されました(写真1)。
 そこで、貧乏ゆすりを勧めたところ、痛みはまもなく消失。7ヵ月後からは、再生した軟骨がレントゲンでも確認できるようになり、3年後の80歳のときには、関節のすき間も十分にできていました(写真2)。
 診察には元気に杖もつかずに歩いて来られ、本人いわく「貧乏ゆすりがクセになりました」とのこと。
 また、60歳の女性・Yさんは進行期の変形性股関節症(写真3)で、人工関節置換術の適応でしたが、ご本人がどうしても手術を避けたいとのことで、杖をつきながら生活し、貧乏ゆすりを開始しました。
 すると、年々改善が見られ、4年後には十分な軟骨が再生したのです(写真4)。

 貧乏ゆすりは、どれくらいの時間やったら軟骨は再生するのか?
 まだまだ研究段階ですが、現在までの結果から考えると、「クセになるまで」が一つの目標になっています。
 当院では、貧乏ゆすりが苦手な人のために、足を乗せるだけで自動的に貧乏ゆすりを行う器械を導入しています。

 まだ症例は多くないのですが、この器械を使い、かつ車イスや松葉杖を使用して、股関節に負担をかけなかった場合、1日2時間行うと、数ヵ月で関節のすき間の開大がレントゲン写真で確認できます。痛みだけなら、それよりも早く、消失しています。
 ただし、貧乏ゆすりで改善が見込めないと思われる患者さんもいます。それは、臼蓋形成不全の程度が高い人です。軟骨を作る土台がないのです。
 その場合は、人工関節置換術を避けようとすれば、まず、手術で臼蓋形成不全を改善させてから、貧乏ゆすりを指導しています。

 貧乏ゆすりは、以前に自骨手術をし、再び悪化してきた人にも有効です。また、臼蓋形成不全の程度が軽い人なら、関節症への進行が食い止められます。ぜひお試しください。

貧乏ゆすりのやり方

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
時間にして、だいたい10~15分やっているでしょうか。はっきりした時間がわからないのは、へそさすりをやっているうちに、いつの間にか眠っているからです。自然と眠れるほど、へそさすりは気持ちがいいのです。昼間や夕方にストレッチをするときや、湯船につかっているときに行うこともあります。【体験談】今井千恵子(会社員・60歳)
更新: 2019-03-12 18:00:00
すぐに効果を感じたのは、寝て行う体操です。起床時に行うと、起きてから股関節がらくに動かせることを実感しました。半年ほどたった頃、以前はつらくてしかたなかった家の前の坂を苦もなく上っている自分に気がつきました。スーパーでも、カートに寄りかからずに買い物ができるようになっていたのです。【体験談】石原幸(仮名・主婦・60歳)
更新: 2019-03-04 18:00:00
期待と覚悟を持って受けたキアリ手術は、当初、期待したほど臼蓋と大腿骨頭との間があかなかったと報告を受けました。CPMをやりながら、貧乏ゆすりも行っていたところ、それからは急激に軟骨が再生していったのです。股関節の痛みがなくなると、人生が変わる。それを実感した1年だったと思います。【体験談】白川尚子(仮名・主婦・61歳)
更新: 2019-03-02 18:00:00
思った以上に病状は悪いものでしたが、それでも私は手術を避けたいと思いました。効果が確認できたのは3年後でした。井上先生が驚きつつ、私にレントゲンを見せてくださったときのことは、今もはっきり覚えています。その写真には、軟骨の再生が推察できる黒い線が映っていました。【体験談】田中泰子(主婦・72歳)
更新: 2019-02-02 18:00:00
体がねじれると動かせる範囲が狭くなるため、同じところばかりを使わざるを得なくなり負担が1ヵ所に集中するようになります。そして痛みが出るようになると、今度はそれをかばってほかの部位に負担が行くようになります。その結果、骨の変形が起こり、さらに痛みへとつながっていき負の連鎖が起こるのです。【解説】横井伸幸(横井接骨院院長)
更新: 2019-01-20 18:00:00
最新記事
歩くとひざが痛くなる、腰が重くなる、どっと疲れが出る。私なら、まず「浮き指」を疑います。詳しく調査した結果、現代日本人男性の6割、女性の7割が浮き指であることがわかったのです。浮き指とは、文字どおり「足の指が浮いている」状態を指します。【解説】阿久根英昭(桜美林大学健康福祉学群教授)
更新: 2019-06-18 18:00:00
鍼灸師の私がおすすめして、皆さんにご好評をいただいている「温熱ツボ刺激」のやり方をご紹介しましょう。この温熱ツボ刺激は、男女を問わず効果があるものです。ですから、女性だけでなく、薄毛や白髪で悩む男性のかたにもぜひ試してほしいのです。【解説】横内稚乃(稚乃針灸整骨院院長)
更新: 2019-06-17 18:00:00
玉ねぎが体によいのはよく知られたことですが、なかでも、血糖値を降下させる作用が注目されています。しかし、玉ねぎを毎日食べたくても、あのツンとする刺激臭が嫌で、玉ねぎ料理は苦手という人も多いでしょう。そこでお勧めなのが、玉ねぎドレッシングです。【解説】里見英子(里見英子クリニック院長)
更新: 2019-06-16 18:00:00
慢性腰痛は、さまざまな原因によって生じます。なかでも最大の原因と考えられるのが、普段の姿勢の悪さです。加齢や運動不足、パソコンやスマホなどの習慣によって、私たちの姿勢はひどく悪いものになっています。これが、腰に負担をかけているのです。【解説】岩間良充(鍼灸整骨院ホスピスト院長)
更新: 2019-06-15 18:00:00
手足の指は経絡の多く集まる重要なポイントです。なかでも見過ごせないのが、指の股です。ところが、年齢を重ねると、手足の指の股の皮膚がかたくなり、指が開きにくくなってきます。すると、気の流れが滞り、体にさまざまな障害が生じるようになるのです。【解説】留目昌明(和楽堂治療院院長)
更新: 2019-06-14 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt