なぜ【パンと牛乳】をやめたほうがいいのか? 総合内科専門医がその理由を解説

なぜ【パンと牛乳】をやめたほうがいいのか? 総合内科専門医がその理由を解説

「パンと牛乳はやめてくださいね」私は、日ごろの診療で、ほとんどの患者さんにこう告げています。当院は、患者さんたちの症状が、できるだけ根本から治癒していくように、さまざまな方法で治療していますが、なかでも治療のベースと位置づけているのが、食事指導です。【解説】内山葉子(葉子クリニック院長)


「体にいい」と思って日常的にとっている食品によって、知らず知らずのうちに体に大きなダメージを受けている人が、とても多い

「食パンは悪くないのでは?」「牛乳は体にいいのでは?」

 「パンと牛乳はやめてくださいね」

 私は、日ごろの診療で、ほとんどの患者さんにこう告げています。
 当院には、通常の治療法では、症状がなかなか改善しない患者さんが、数多く訪れます。
 そういう患者さんたちの症状が、できるだけ根本から治癒していくように、私はさまざまな方法で治療しています。ケースに応じて、西洋医学や東洋医学、それら以外の各種の代替療法を用い、食事指導や生活指導も行います。

 なかでも、治療のベースと位置づけているのが食事指導です。いうまでもなく、体は食べたもので作られるからです。その食事指導のうち、最も重要な柱が、「パンと牛乳はやめてくださいね」という呼びかけなのです。

 しかし一般的には、「牛乳は体にいい」と思っている人が多いでしょう。パンにしても、「菓子パンならわかるが、食パンは悪くないのでは?」と思っている人が大部分です。
 実は、その感覚こそがクセモノです。「体にいい。何も悪くない」と思って日常的にとっているパンと牛乳によって、知らず知らずのうちに体に大きなダメージを受けている人が、とても多いのです。

 実は、パンと牛乳が、どんなメカニズムで体に害を与えるかは、現在ではかなり科学的にわかってきています。そして、実際にパンと牛乳をやめていただくと、さまざまな症状や病気が劇的に治ったり、改善したりする多くの実例を、私は見てきました。

パンと牛乳はいっしょに摂取することが多い

 先ほど、「牛乳は体にいいと思っている人が多い」といいましたが、それは「常識的」な話であって、現代日本の食の問題にくわしい人なら、以前から牛乳・乳製品の害がいわれてきたことはご存じでしょう。また、パンについても、小麦の害という観点から、近ごろ話題になっていることをご存じかと思います。

 しかし、牛乳・乳製品と、パンをはじめとした小麦製品という、いっしょに摂取しがちな2つを、同時にとり上げて論じられることはないようです。
 そこで、パンと牛乳の両方について科学的に解説し、日本人向けの具体的な改善法をお伝えしようと、『パンと牛乳は今すぐやめなさい』(マキノ出版)を上梓しました。

内山葉子著『パンと牛乳は今すぐやめなさい!』 (3週間で体が生まれ変わる)

リーキーガット症候群が原因のアレルギー疾患、自己免疫疾患、精神症状、感染症などが起こることも

 体のためなら小麦製品は全部やめるべきですが、なるべく実践しやすいよう、私は以下のように指導しています。

◆当然やめてもらうもの
 菓子パン、スナックパン、ケーキ、クッキー

◆優先的にやめてもらうもの
 食パン(精白していない全粒粉で作ったものも含む)、ロールパン、コッペパン、日本のフランスパン、ピザ、ナン、ホットケーキなど

◆とりあえずやめなくていいが、いつかやめるもの
 パスタ、うどん、ほうとう、ラーメン、そうめん、冷や麦、お好み焼き、タコ焼き

 最初から、小麦製品は全部やめるように指導すると、ハードルが上がります。しかし、「パンを3週間やめてください」というと、かなり実行しやすくなります。しかも、3週間たつころには、体になんらかの効果が出始めていることが多いのです。

 小麦が悪い主な理由は、腸などにダメージを与える「グルテン(小麦などから生成されるたんぱく質の一種で、以下、グリアジン、グルテニンも含める)」を多く含むことです。パン作りに使われる強力粉には、薄力粉、中力粉よりもグルテンが多く含まれています。
 パンを食べると幸せな気分になりますが、これはグルテンによる中毒症状の一種です。また、小麦のグルテンは消化されにくいため、体内で異物とみなされて「抗体」がつくられ、アレルギーの原因物質となります。小麦は、卵、牛乳と並ぶ、「アレルギーを起こしやすい3大食品」の1つです。

 またグルテンは、私たちの神経細胞や、肝臓、脳、甲状腺、卵巣、精巣、膵臓、心臓、骨などと、アミノ酸配列が似ています。そのため、グルテンを攻撃目標としてつくられた抗体が、これらの臓器・組織を攻撃してしまいます。
 現在の小麦は、品種改良によっておいしくなっている半面、消化しにくくなっているのも問題です。そして、市販の食パンの多くには、添加物がたくさん含まれていることはご存じでしょう。

 それらの影響で、腸で消化できない物質(未消化物)がふえて、腸に悪玉菌が棲みやすくなり、炎症が起こりやすいとわかっています。すると、腸が持つ防御機能が低下し、体内に入れるべきではない異物を通してしまい、その異物に対する抗体がつくられます。その結果、全身を攻撃する抗体ができ、さまざまな組織が攻撃されてしまうのです。これをリーキーガット(漏れる腸)症候群といいます。これによって、アレルギー疾患、自己免疫疾患、精神症状、感染症などが起こりやすくなります。
 パンには、代謝に欠かせない酵素の働きを阻害する、おなかまわりに内臓脂肪をつきやすくする、反応性の低血糖を起こすなど、ほかにも多くの害があります。

なぜ、牛乳をやめたほうがいいのか?

 牛乳の最大の問題は、「カルシウムたっぷりで健康にいい」と思って飲んでいることです。経口免疫療法といって、牛乳アレルギーのある子供に対して、少しずつ牛乳を与え、即時型のアレルギー反応を出なくさせる臨床研究も行われています。ただし2017年11月15日の新聞では、この研究の際に、一時心肺停止になった子供が出たことが報道されました。そうまでして、牛乳を飲ませなくてはならないのでしょうか。

 カルシウムの補給という点から見ても、牛乳のカルシウムは人体でうまく利用できないうえ、現在ある骨のカルシウムを溶け出させるという指摘があります。日本の少人数のデータですが、ほぼ毎日、牛乳・乳製品をとる人に比べて、ほとんどとらない人のほうが、体内のカルシウム量が高い傾向にあるという研究報告があります。また、牛乳の摂取量がふえるにつれ、日本では骨粗鬆症の発症率が上がっています。アメリカでは、牛乳の摂取量がへるにつれ、骨粗鬆症がへっているのと対称的です。

 それに加えて、現在の牛乳は市場に流通をさせるために、どうしても殺菌が必要なので、人体での消化に必要な酵素の活性が失われているという問題もあります。また、多くの乳牛には、遺伝子組み換えの作物を与えられていると考えられますが、その影響がどれほど出るのかは、まだわかっていません。

 そのほか、人は牛乳に含まれる乳たんぱく質の80%を占める「カゼイン」を分解できない問題や、よくいわれるように日本人の80%には、牛乳の糖質である乳糖を分解できない問題などもあります。
 もう一つ、乳ガンの発症に牛乳が関係しているとの指摘もあり、一部では研究が始まっています。

まずは3週間やめてみよう!

 不調や病気の原因はさまざまで、もちろん、すべてがパンと牛乳のせいとはいえません。パンと牛乳をとっていても元気でいられるなら、それでもいいと思います。

 しかしあなたが、「通常の治療法では、病気や不調がなかなか改善しない」とお悩みでしたら、まずは3週間、パンと牛乳をやめてみてはいかがでしょうか? すると、大部分の例で効果が見られます。その後は「パンと牛乳は、嗜好品として、たまに楽しむ」程度にすればいいと私は思います。

「体に不調を抱えている人は、まず、パンと牛乳を3週間だけでもやめてみてほしい」と訴える内山葉子先生

→【牛乳】は健康にいいのか悪いのか

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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