16歳から現在まで、ずっとサングラスを愛用
私は50代の今も、裸眼視力は左右とも1・5を維持しています。眼精疲労やドライアイなどのトラブル、白内障や緑内障といった病気とも無縁です。この「目の若さ」の秘訣は、16歳からしているサングラス。目の老化を防ぐには、紫外線から目を守るサングラスが必須です。
私は子どもの頃から遠視ぎみで、日光をまぶしく感じていたので、サングラスはファッションとしてだけではなく、実用的な意味でも手放せないアイテムでした。結果的に、それが私の目を守ってくれたのです。
紫外線は眼精疲労や痛みの原因となるほか、白内障や加齢黄斑変性などの目の病気を引き起こします。
特に白内障は80代以上のほとんどの人に起こる病気で、水晶体が白く濁ることで視界がぼやけたり、極端なまぶしさを感じたりします。この水晶体の濁りの主な原因となるのが、紫外線なのです。
また、白内障の手術では濁った水晶体を削り、水晶体の厚みがなくなるので、術後は紫外線がよりダイレクトに入ってきて、目のダメージも大きくなります。サングラスはその防止にも役立ちます。
薄曇りの日でもサングラスは必携
紫外線は、年齢が現れる目の周りのシミ、シワの原因になりますし、実は白目にもシミを作ります。年とともに白目が濁ってくるのは、紫外線の影響が大きいのです。目の健康のためにはもちろん、美容のためにもサングラスは有効です。
日本人はどうもサングラスをかけることに抵抗があるようで、特にお年を召したかたは気恥ずかしいのか敬遠しがち。ですが、現在のサングラスはタイプもさまざまで、色が薄く、おしゃれ感覚で気軽にかけられるものもたくさんあります。
お勧めは、UVカット効果が高く、目をしっかり覆うもの。色の濃さとUVカット効果には関連性がないので、真っ黒ではなく、薄い茶色など自然な色を選ぶと取り入れやすいでしょう。
晴れの日はもちろん、薄曇りの日も紫外線は降り注いでいます。「外出のときはいつでもサングラス」を習慣とし、ベランダなどに出るときもこまめにかけましょう。
ピント調整力は簡単に鍛えられる
もう1つ、私が目のためにしているのが「指先ストレッチ」です。ピント調整力を鍛え、外斜視(片方の目は目標物を向くが、もう片方の目が外側を向く状態)を矯正する方法で、眼精疲労や近視に悩むかたにお勧めです。
まず、建物や山など、いちばん遠くに見えるものを遠景のポイントに決めます。
次に、腕を伸ばして人さし指を立て、その指先にピントを合わせたとき、人さし指と遠景のポイントが一直線上になるようにします。
遠景のポイントに焦点を合わせ、次に指先を見つめながら、少しずつ指を顔に近づけます。指先にピントが合わせられなくなるまで近づけましょう。これで1セットです。
5セットを1日2回ほど行うのが目安ですが、極端に疲れなければ何回でもかまいません。
さて、指先を顔に近づけながら見ると、自然に寄り目となります。寄り目が苦手な人、すなわち軽い外斜視の人は少なくありません。
外斜視が見えづらさの原因となることもあるのですが、指先ストレッチである程度の改善が期待できます。
気をつけてほしいのは、若い頃と視力が変わらないからといって安心しないこと。
私の病院には、「目が疲れる」「頭がボーッとする」と訴える患者さんが少なからずいます。たいてい40代以上でメガネをしておらず、視力も悪くありません。
ところが調べてみると、老眼が進んでいて、近くが非常に見えづらいのです。本人は遠くのものが見えるので、肝心の周囲があまり見えていないことに気づきません。そのため、無理に焦点を合わせようとして、目や頭が疲れてしまうのです。
コンタクトレンズの人も要注意です。矯正視力が変わらないからと度数を変えずにいると、いつの間にか老眼になっていることもあります。その場合、度数を下げないと過矯正になり、ますます近くが見えづらくなります。
指先ストレッチで、自分の視界がどの程度見えているか、確認してください。また、40代になったら、半年に1度は眼科で視力のチェックをしてもらうといいでしょう。
指先ストレッチのやり方

解説者のプロフィール

杉本由佳(すぎもと・ゆか)
東京都出身。医療法人社団映光会理事長。1982年、埼玉医科大学卒業後、同大学附属病院眼科学教室で研修医となる。1993年、かわごえ眼科開業。1999年に現在の「中目黒眼科」を開業する。白内障の日帰り手術のほか、オルソケラトロジー(角膜矯正法)の普及に力を注ぐ。年中無休で地域医療に取り組む姿に、患者さんからの信頼もあつい。
雑誌やテレビでも活躍中。
●中目黒眼科
http://www.eikoukai.jp/