MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
【お酢と牛乳】血圧が下がる効果 牛乳にリンゴ酢を入れて飲むのがお勧め

【お酢と牛乳】血圧が下がる効果 牛乳にリンゴ酢を入れて飲むのがお勧め

お酢には、血圧降下作用のほかにも、内臓脂肪の減少、血糖値上昇の緩和、疲労回復、便秘解消などの効果があります。私がお勧めしているのが「酢牛乳」です。牛乳と酢を混ぜると、酸によるたんぱく変性が起こり、ヨーグルトのようなドロッとした食感に変わります。【解説】小泉幸道(東京農業大学副学長・応用生物科学部醸造科学科教授)

飲み始めて2週間で血圧が下がり始めた

 お酢は、単なる調味料ではなく、健康に役立つ優れもの─。
 こうした見識が、ここ20年ほどで、広く知られるようになりました。もはや常識といってもいいでしょう。

 一般に市販されている食酢の酸の濃度は、約4〜5%。そのうちの95%を占める成分で、独特のツンとしたにおいのもとである「酢酸」が、酢の健康パワーの主役です。
 この酢酸には、多くの健康効果があることがわかっていますが、その中でも代表的といえるのが、血圧の降下作用です。
 酢酸には、「レニン・アンジオテンシン系」と呼ばれる、血圧上昇にかかわるホルモンの調節機構を、穏やかに抑制する働きがあります。このホルモン系が活性化すると、血圧が上がるしくみなので、それを抑制することが、血圧の安定につながるというわけです。

 ここで、下のグラフをご覧ください。高血圧の人に、毎日酢を含んだ飲料をとってもらい、血圧の推移を記録したものです。
 2週間ごとに血圧を測る実験で、飲用期間は8週間。ところが、最初の2週間で、早くも血圧の降下が見られます。
 それも、大さじ1杯(15mL)の酢をとった人よりも、大さじ2杯(30mL)とった人のほうが、さらに早期の段階で、顕著に効果が現れたのです。平均すると、最大血圧で15mmHg程度、最小血圧で6mmHg程度、血圧が下がりました。

 では、大さじ3杯なら、もっと効果が得られるかというと、さすがにそれはとりすぎです。1日の摂取量は、多くても大さじ2杯程度にとどめてください。
 そして、グラフのとおり、酢の摂取をやめると、血圧はまた上がります。とはいえ、実験終了から4週間たっても、開始2週間前に測定した値より、まだ低いままなのです。これもまた、注目すべき点でしょう。
 ちなみに、血圧が正常な人が酢をとることで、低血圧になる心配はありません。

カルシウムの吸収を促し骨粗鬆症を防ぐ

 ただし、こうした血圧降下作用も、酢を毎日摂取してこそ期待できるものです。継続しなければ効果は得られません。
 そこで、私がお勧めしているのが、「酢牛乳」。リンゴ酢大さじ1杯と、ハチミツ大さじ1杯に、牛乳を120mL加えて、よく混ぜたサワードリンクです。

 酢の種類はなんでもよいのですが、さわやかでフルーティーな香りのリンゴ酢が、特にお勧めです。
 1日に大さじ2杯の摂取を心がけるかたは、朝と晩にコップ1杯ずつ作って飲むのもよいでしょう。しかし、多く摂取しようとして、単に酢だけを倍量にしてはいけません。
 酢酸は、のどや胃の粘膜を傷めるおそれがあるので、必ず5倍以上に薄めてください。

 牛乳に酢を加えると、酸によるたんぱく変性が起こり、ヨーグルトのようなドロッとした食感に変わります。ハチミツの甘みも加わって、まるでデザートのようにおいしいのです。
 また、お酢にはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。牛乳と組み合わせることで、カルシウムを効率よく体内に吸収でき、骨粗鬆症の予防にもなるというわけです。

 酸っぱいものを口に含むと、唾液がたくさん出ますが、唾液に含まれる酵素は食物の消化を助けます。よって、酢牛乳を飲むタイミングは、食事といっしょがベストでしょう。
 私自身、酢牛乳を毎日愛飲しているおかげで、健康体で過ごせています。今年62歳になりますが、めったにカゼをひきません。肌ツヤがいいので、同年代の友人や、教え子たちから、「なぜそんなに若々しいのか」と、しばしば聞かれるほどです。

 お酢には、血圧降下作用のほかにも、内臓脂肪の減少、血糖値上昇の緩和、疲労回復、便秘解消など、さまざまな効果があります。毎日続ければ、「一石五鳥」ほどの効果が得られるでしょう。ぜひお試しください。

解説者のプロフィール

小泉幸道
東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授。専門は発酵食品学。発酵食品の科学的な成分変化と機能性に関する研究を行う。1987年、日本缶詰協会逸見賞受賞。2001年および2009年に日本農芸化学会論文賞受賞。食と農の博物館館長。テレビや雑誌などで、「お酢博士」として活躍中。著書に、『NHKあさイチ 驚きの効果 ハチミツ&酢のパワー』(NHK出版)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この記事のエディター
関連記事
近年、カカオにはほかの食品に比べて多くのポリフェノール(色素成分)が含まれていることがわかり、健康効果が解明されつつあります。その効果の一つとして注目を集めているのが、血圧降下作用です。【解説】椎名一紀(戸田中央総合病院心臓血管センター内科・嗜好品外来医師)
酢に漬けることで干しブドウが軟らかくなるので、とても食べやすく感じました。 こうして干しブドウ酢を食べていたところ、すぐにお通じがよくなりました。このころには肌の調子もよくなり、化粧ののりがよくなりました。肝心の血圧が下がり始めたのは、干しブドウ酢を食べ始めて2ヵ月ほどたったころです。【体験談】小林玲子(主婦・76歳)
コンブには、フコイダンやアルギン酸といった多糖類が豊富です。これは海藻特有のヌルヌル成分で、水に溶ける性質を持ちます。これらの多糖類には、余分な脂質や糖、有害物質などを包み込んで、体外に排出する働きがあります。【解説】関太輔(セキひふ科クリニック院長・医学博士・富山大学医学部臨床教授)
生物は皆、酸化と糖化から逃れることはできません。酢は高い抗酸化力を持っていることから、生活習慣病や老化防止に役立つのです。ニンジンも、また同様です。ニンジンの強力な抗酸化力のもとは、主にβカロテンです。【解説】伊藤明子(赤坂ファミリークリニック院長・東京大学医学部附属病院医師)
先生からのアドバイスは「3食のどこかにキュウリを取り入れればいい、くらいの軽い気持ちで行うこと」「キュウリはひと口につき20回嚙んで食べること」でした。実践してみたところ、血圧は降圧剤を飲まなくても122/74mmHgで安定しています。【体験談】橋本真由美(仮名・パート・48歳)
最新記事
熱中症は7月8月の日中に最も多く見られます。熱中症は、乳幼児から高齢者まであらゆる年代で起こる病気です。なかでも高齢者は重症化する場合が多いのです。また服薬や持病のある方も熱中症にかかりやすいリスクがあるといえるでしょう。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
熱中症は私たちの日常生活の中での注意や工夫で予防することができます。たとえば、服装です。また、水分補給についても、実は「水分」だけを補給するのではいけません。そのほかに、エアコン等の空調の使い方のコツなどをご紹介します。【解説】大澤直人(高知大学医学附属病院老年病・循環器内科)
手洗いの時間の目安は、おおよそ30秒。次のような手順で洗っていくと、少なくともそれくらいの時間が必要であることが実感できるでしょう。
新型コロナウイルスには、まだ特効薬やワクチンはなく、感染しないための予防法を徹底することが重要です。自分一人ひとりができる感染症対策のポイントをチェックしてみましょう。
コンブを水に漬けて冷蔵庫で10日ほど発酵させ、乳酸菌と酵母を培養する「コンブ酵母」が話題になっています。コンブ特有のにおいが軽減し、旨みが濃くなるので、そのまま飲んでも、料理に使ってもよし!食生活に取り入れる人が急増中です。コンブ酵母の作り方と、コンブ酵母の活用レシピをご紹介します!【レシピ】COBOウエダ家

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt
get_app
ダウンロードする
キャンセル