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カカオが血圧を下げる!嗜好品外来医師おすすめのチョコレートの種類と食べ方

カカオが血圧を下げる!嗜好品外来医師おすすめのチョコレートの種類と食べ方

近年、カカオにはほかの食品に比べて多くのポリフェノール(色素成分)が含まれていることがわかり、健康効果が解明されつつあります。その効果の一つとして注目を集めているのが、血圧降下作用です。【解説】椎名一紀(戸田中央総合病院心臓血管センター内科・嗜好品外来医師)

解説者のプロフィール

椎名一紀
戸田中央総合病院心臓血管センター内科・嗜好品外来医師。東京医科大学循環器内科講師・医局長も務める。高血圧、動脈硬化、睡眠時呼吸障害を専門とする。
●戸田中央総合病院
https://www.chuobyoin.or.jp/

嗜好品を勧める日本初の外来

私は、循環器内科で心臓を中心に診療をしています。

心臓や血管に限った話ではないですが、「特定の食べ物が健康に効果的」といった話題がテレビや雑誌で過剰に報道されると、その食品だけを食べ続ける患者さんが、多く見られます。

しかし、何か一つの食品だけで健康になれる、それだけで病気を予防できるといったことはありえません。偏った食習慣がかえって逆効果を招く可能性も否定できないでしょう。

私の勤務する戸田中央総合病院の「嗜好品外来」は、こうした誤った知識が蔓延している現状を改め、医師が適切な指導をすることを目的として、2015年10月に、開設されました。

こちらの外来では、実際に体によいというエビデンス(科学的な根拠)があり、安全性が確認されている嗜好品を、患者さんの症状や必要性に応じて勧めています。

好きな物を食べて、確かな健康効果を得られれば、こんなにうれしいことはありません。もちろん、嗜好品を食べるだけではなく、運動や食生活の改善も併せて行っています。また、できるだけ、薬の投与に頼らない治療を目指しています。

嗜好品による健康効果について興味を持つ人は多く、外来が開設されると、早速、問い合わせが相次ぎました。また、こうした外来の開設は日本初の取り組みで、その点からも注目を集めました。メディアにもたびたび取り上げられるようになったことで、認知度も高まってきています。

嗜好品外来では、まず、問診票で患者さんの食習慣や、食の嗜好を確認します。それから、血液検査やレントゲン、心電図などで健康状態をチェック。それらの結果を受けて、適切な嗜好品をアドバイスします。

以後は、定期的に検査を行い、その患者さんに対する、嗜好品の効果を判定。3~6ヵ月でハッキリした効果が現れない場合には、ほかの嗜好品に替えることも検討します。

「好きだから続けられる」と好評なチョコレート

高血圧の場合、最大血圧が140~150mmHg程度の患者さんが、嗜好品外来の主な治療対象です。ふだんから最大血圧が160mmHgくらいと、やや高めの患者さんは、嗜好品だけで効果を出すのは難しく、降圧剤と併用するケースもあります。

私が高血圧改善のために勧めている嗜好品は、高カカオ含有のチョコレート、素焼きのクルミ、赤ワインなどです。なかでも、「好きだから続けられる」と患者さんに好評なのが、チョコレート。持ち歩きも可能で、気軽に口にできるのがいいようです。

世界じゅうで親しまれている、チョコレートをはじめとするカカオ製品は、食べておいしいだけでなく、古くから健康に役立つ妙薬として珍重されてきました。

そして近年、カカオにはほかの食品に比べて多くのポリフェノール(色素成分)が含まれていることがわかり、健康効果が解明されつつあります。

ポリフェノールには、老化や病気の原因物質である活性酸素を抑えたり、血管内部の炎症を鎮めたりといった作用があり、その効果の一つとして注目を集めているのが、血圧降下作用です。

海外において、多くの疫学調査や臨床研究が行われており、「チョコレートを食べると、血圧が下がる」ということを結論づけた論文が、約150もあるのです。では、その一部をご紹介しましょう。

ある研究では健常な人を2群に分け、一方にはポリフェノールを含むダークチョコレート(後述)を、もう一方にはポリフェノールを含まないホワイトチョコレートを、それぞれ15日間にわたって、1日100gずつ摂取してもらいました。

すると、ホワイトチョコレートの群では血圧が変化しませんでしたが、ダークチョコレートの群では、顕著な血圧の低下が認められたのです。

1日に1片でも効果が期待できる

ただし、これまでの食生活に新たに1品を加えるわけですから、この研究のように、1日100gのチョコレートを摂取していては、カロリーの過剰摂取が懸念されます。

実際、日本で行われた大規模な臨床研究では、1日20g程度で血圧を下げる働きがあることが報告されています。私も、これまでの治療実績から、その程度で十分だと思います。

さらに、1日にチョコレート1片程度を食べるだけでも、血圧が下がることを証明した研究もあるのです。

これは、ドイツのケルン大学が行った実験ですが、56〜73歳の血圧が高い44人を、1日にダークチョコレートを6.3g食べてもらう群と、ホワイトチョコレートを同量食べてもらう群に分けて、18週間観察しました。

その結果、ダークチョコレートを食べた群は、平均で最大血圧が2.9mmHg、最小血圧が1.9mmHgほど下がりました。その際、体重、コレステロール、血糖などに変化はなかったそうです。一方、ホワイトチョコレートの群は、血圧に変化はありませんでした。

ダークチョコレートを食べた群で血圧が下がるのは、ダークチョコレートはカカオの含有量が高く、ポリフェノールを多く摂取できるからでしょう。

コレステロールの酸化をおさえ動脈硬化を防ぐ

テレビのある健康番組で、日本の大手製菓メーカーを調査したところ、興味深い事実がわかったそうです。工場などで、毎日チョコレートやココアの試食や試飲をしている社員の血圧だけでなく、本社勤務の社員の血圧も正常だったというのです。

これは、社内に無料のココアサーバーが置かれていたり、自社製品のチョコレートが食べ放題だったりと、ふだんカカオを摂取する機会に恵まれているためでした。

カカオに含まれるポリフェノールのうち、血圧降下を促すのは、エピカテキンの作用だと考えられます。エピカテキンは、ブドウやリンゴ、緑茶などにも含まれていますが、食品の中では、ダントツでカカオに多く含まれているのです。

チョコレートを食べると、小腸でエピカテキンが吸収され、血液中に流れ込みます。すると、血管の収縮をつかさどる血管の内皮細胞に取り込まれ、その活動を活性化します。そのため、血管が拡張し、血圧の上昇をおさえることができるのです。

また、エピカテキンは、悪玉コレステロールの酸化をおさえ、動脈をしなやかに保つ働きがあることもわかっています。これにより、動脈硬化を防ぐ効果も期待できるのです。

実際、チョコレートを食べることで、早期の動脈硬化の指標となる、FMD(血管拡張反応)の数値が改善するという報告があります。FMDの改善は、動脈がしなやかになったということを表しているのです。

時間をおいて、少量をちょこちょこ食べるのが良い

チョコレートの食べ方ですが、甘さ(砂糖)をおさえたカカオの含有量の多いダークチョコレートを選んでください。ダークチョコレートは、ビターチョコレートやブラックチョコレートともいわれ、ミルク(乳製品)の入らない、低糖でカカオマスが40〜90%含まれるものを指します。

中でも、私はカカオ分が70%以上のチョコレートをお勧めしています。最近は、さまざまなメーカーから、高カカオ含有のチョコレートが発売されているので、スーパーなどで手軽に入手できます。

チョコレートの食べ方は、一度にたくさん食べるよりも、時間をおいて、少量のチョコレートをちょこちょこ食べるほうがいいでしょう。

こうした方法で摂取すると、血中のエピカテキンの濃度を常に高い状態で保つことができ、高血圧の予防・改善に役立つと考えられます。

ただし、チョコレートの血圧降下作用を得るためには、まずタバコや塩分、脂っこい食事などを控え、基本的な生活習慣を改めてください。そうでないと、その効果を得ることは難しいでしょう。

薬ではなく、あくまで嗜好品ですから、誰にでも効くというわけではありません。それでも、チョコレートを摂取した患者さんのうち、5割程度に血圧改善の効果が見られました。改善値は、平均して5~10mmHgといったところです。軽い降圧剤と同程度といえます。

また、現在治療中の人や、アレルギーがある人は、医師と相談のうえでチョコレートを常食するようにしてください。

中には、「チョコレートは太る」と思われるかたもいると思いますが、すでにメタボと診断されているケースを除けば、その心配はないでしょう。先述の臨床研究でも、高カカオのチョコレートであれば、体重やBMI(肥満度を示す指数)に変化がないことが確認されています。

皆さんも、毎日の食生活に、高カカオチョコレートを上手に取り入れてみてください。

時間をおいて少しずつ食べると効果的

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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