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【うつ病を改善】不足しがちな栄養素 葉酸・トリプトファン・鉄分を補うと良い

【うつ病を改善】不足しがちな栄養素 葉酸・トリプトファン・鉄分を補うと良い

うつ病の患者が、増えています。この10年間で倍増して100万人を超え、潜在患者を含めると、20人に1人はいるといわれています。これだけうつ病がふえたのは、ストレスの多い社会環境のせいだけではありません。【解説】功刀浩(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)

うつ病患者は痩せていない 肥満でメタボが多い

 うつ病の患者が、ふえています。この10年間で倍増して100万人を超え、潜在患者を含めると、20人に1人はいるといわれています。
 これだけうつ病がふえたのは、ストレスの多い社会環境のせいだけではありません。現在、行われているうつ病の治療が、必ずしもじゅうぶんではないということもあります。

 日本では、うつ病の治療は抗うつ剤の投与、心身の休息、心理療法などが中心です。これまで、食事や運動などの生活習慣については、ほとんど考慮されませんでした。しかし、海外の研究では、うつ病の発症に食生活や運動が関係していることが、数多く報告されています。

 例えば、地中海式食事に代表される野菜、魚介、穀物の多い食事をとっている人は、心臓病やガンなどの生活習慣病だけでなく、アルツハイマー型認知症や、手足が震えるパーキンソン病、うつ病といった精神・神経系の病気も少ないことがわかっているのです。

 日本の伝統的な和食は、この地中海式食事に通じるところがありました。しかし、時代とともに食事が変わり、現代では肉やその加工食品、砂糖や白米のような精製食品が多くなり、伝統食とかけ離れてしまっています。それが、うつ病の発症に少なからず影響を及ぼしていると考えられます。

 一般に、うつ病患者はやせていると思われがちですが、必ずしもそうではありません。むしろ、肥満ぎみで中性脂肪値や血糖値が高く、メタボリック症候群の人が多い傾向があります。
 その理由として、先ほど書いた食事の変化や、不規則な生活、運動不足などが挙げられるでしょう。つまり、うつ病も生活習慣病の一つといえるのです。

 また、うつ病になると肥満になりやすく、肥満はさらにうつ病を悪化させるという、負の連鎖を招きます。この双方向の関係は、うつとメタボリック症候群、うつと糖尿病の間にも見られます。食生活の見直しは、うつ病だけでなく合併する生活習慣病改善のためにも必要です。

うつ病は「栄養補充」で症状が改善

 ところで、うつ病患者には、一部の栄養の不足が指摘されています。それは、ビタミンB1、B2、B6、B 12、葉酸、必須アミノ酸のトリプトファン、メチオニン、チロシン。また、魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)、さらに鉄分、亜鉛などのミネラルです。これらの栄養を補充すると、うつ病が改善することもわかってきています。

 こうしたことから、私たちはうつ病の患者さんの食事や栄養を調べ、栄養学的に問題のある患者さんには個別に栄養指導を行い、成果を上げています。

 日本人の場合、魚をよく食べるので、EPAとDHAの不足はあまり見られません。多いのは、葉酸、トリプトファン、鉄分の不足です。

 葉酸は緑黄色野菜に多いビタミンで、体内でいろいろなものの生合成に使われるため、必要量の多い栄養素です。そのうえ、たんぱく質や、遺伝子情報を担うDNA、血液、神経系で働くカテコールアミンなどの生成に必要です。カテコールアミンは、ドーパミン、ノルアドレナリンといった、ストレス反応やうつに関係する神経伝達物質です。不足すると意欲が低下し、抑うつ状態を招きます。
 もしも葉酸が不足して、たんぱく質や血液がじゅうぶんにつくられなくなると、それだけで元気がなくなってしまいます。それなのに、うつの人は野菜をあまり食べないので、特に不足しがちになるのです。

うつ病は朝食をとったほうが良い

 トリプトファンは、セロトニンの材料になるアミノ酸です。うつ気分や不安感には、セロトニンが関与しています。このセロトニンから、睡眠物質であるメラトニンがつくられるため、トリプトファンが足りないと、セロトニンもメラトニンも不足して、うつや不眠の原因になります。

 鉄分が不足すると、疲労、焦燥感、無関心、集中力低下などのうつ症状が現れることが知られています。鉄分の欠乏は女性に多く、特に、出産すると多量の血液を失い、鉄分不足がひどくなります。産後うつは、この鉄分不足と無関係ではありません。

 実際に海外では、うつの治療に、こうした栄養の不足を補う薬やサプリメントが使われています。
 しかし、まずは食事で、足りない栄養を補いましょう。野菜や魚など、上記の栄養が足りていないという自覚がある人は、ふだんから積極的にとるように心がけてください。なお、不足している栄養素は、血液検査で調べることもできます。

 また、うつ病を予防するためにも、栄養の偏りがないように、バランスよく、1日3食きちんと食べましょう。そうすれば、大きな栄養の過不足は生まれません。特に朝食は、生活リズムをつくるうえで重要なので、必ず食べるようにしてください。

 きちんと食事をして、体をできるだけ動かし、じゅうぶんな睡眠をとれば、うつ病は予防・改善できます。生活習慣病であるうつ病を治すには、生活習慣の見直しが基本なのです。

うつ病にかかわる主な栄養素と食品

解説者のプロフィール

功刀 浩先生
国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第三部部長。うつ病、躁うつ病、統合失調症に関する先端的脳科学検査と栄養学的検査に基づいて診断・治療を行う、日本の精神医学研究をリードする研究者の一人。日本では注目されてこなかった精神疾患の栄養学的側面に注目した臨床研究を精力的に進めている。※栄養学的検査を受けてみたい人(うつ病のかた、健康なかた)は、お問い合わせください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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