【医師監修】今ある「うつ」が改善する食事 素材選びのポイント

【医師監修】今ある「うつ」が改善する食事 素材選びのポイント

ストレスに強くなり、うつを防ぎ・治す食事とは、特別なものがあるわけではありません。あたりまえのことですが、栄養バランスのよい食事を、1日3食きちんと食べることです。【解説】功刀浩(国立精神・神経医療研究センター神経研究所)


 ストレスに強くなり、うつを防ぎ・治す食事とは、特別なものがあるわけではありません。あたりまえのことですが、栄養バランスのよい食事を、1日3食きちんと食べることです。

 食事だけではなく、適度な運動、じゅうぶんな睡眠も大事です。また、ストレスを上手に受け流す心の柔軟性も必要でしょう。それら、すべてを含めた総合力で、うつを防ぎ・治すのです。
 ただし、うつを防ぎ・治す食事には、いくつかのポイントがあるのも事実です。それをポイントごとに説明しましょう。

穀類

 主食となる穀類ですが、できるだけ精製度の低いものを食べましょう。お米なら、精白米ではなく、玄米や胚芽米、麦入りご飯、雑穀入りご飯を選びたいものです。また、パンなら、精製度の高い白いパンより、全粒粉のパン、ライ麦パンなど、少し黒いパンにしましょう。栄養価の違いはもちろんですが、慣れれば深い味わいが楽しめます。

魚類

 欧米では、地中海式食事が、うつ病を含む多くの生活習慣病になりにくいというデータがあります。地中海式食事の特徴の一つは、魚の摂取量が多いことです。魚の脂には、エイコサペンタエン酸(EPA)や、ドコサヘキサエン酸(DHA)といった、うつに有効な不飽和脂肪酸が豊富です。そのうえ、魚を食べると、うつ病予防に役立つ良質なたんぱく質も摂取できます。
 日本の伝統的な食事も魚を多く食べますが、魚嫌いの人は注意が必要です。週に3回くらいは、魚料理を食べるようにしてください。

肉類

 肉は、良質なたんぱく源として、しっかり食べたい食材です。肉に豊富なたんぱく質は、アミノ酸で構成されています。このアミノ酸が、神経伝達物質の原料となるのです。セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンといった、元気を出すために重要な神経伝達物質だけでなく、グルタミン酸、γ―アミノ酪酸、アスパラギン酸といった脳内の主要な神経伝達物質も、アミノ酸でできています。お勧めは、レバー、赤身肉、鶏胸肉です。また、豚肉にはビタミンB1が豊富で、疲労回復に役立ちます。

野菜

 野菜は、毎食、たっぷり食べましょう。ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含んでいますし、低カロリーなので、たっぷり食べて食欲を満足させることができるからです。また、うつ病の人は、葉酸などのビタミンB群が不足していることがわかっています。特に、血液中の葉酸濃度が低いと、うつのリスクが高くなります。葉酸の補充療法は、うつの治療に効果的という報告が少なくないのです。
 ホウレンソウやシュンギク、モロヘイヤ、パセリなど、緑の野菜をしっかり食べてください。

乳酸菌

 腸内細菌は、ストレスに対して大きな影響力をもっています。腸と脳とは密接に関連していて、良好な腸内環境を保つことが、ストレスに強くなる方法なのです。乳酸菌やビフィズス菌の摂取は、うつ、不安、身体症状などのストレス症状をへらします。ストレスホルモン(糖質コルチコイド)が減少したという報告もあります。乳酸菌やビフィズス菌を含んだヨーグルトなどの食品や飲料をプロバイオティクスといい、腸内細菌が喜ぶオリゴ糖や食物繊維をプレバイオティクスといいます。この二つを組み合わせると、さらに効果的です。毎日欠かさず摂取することが大事です。

緑茶

 食後には緑茶を1杯飲みましょう。緑茶は、単なる嗜好品としてではなく、重要な健康増進効果をもつ飲料と考えるべきです。緑茶の味は、渋みのカテキン、苦みのカフェイン、うまみのテアニンで左右されます。カテキンは種々の生活習慣病を予防する効果があります。テアニンはリラックス効果だけでなく、近年、睡眠を改善する働きや、認知機能を改善する効果が報告されています。玉露や抹茶といった高級茶に多く含まれ、比較的低温でいれるとよく出ます。食後は1杯の緑茶を楽しみましょう。

「うつ」が消えていく「主菜」レシピ
「うつ」が消えていく「副菜」レシピ

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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