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【医師監修】うつ病の予防・改善 効果的な食事療法のポイント

【医師監修】うつ病の予防・改善 効果的な食事療法のポイント

うつ病を防ぎ・治すためには、エネルギーをとりすぎないことが第一です。過度なカロリー制限は禁物ですし、やせている人はその限りではありません。太らない食事を心がけましょう。【解説】功刀浩(国立精神・神経医療研究センター・神経研究所疾病研究第三部部長)

摂取エネルギーのとりすぎに注意!

 うつ病になると、食欲がなくなり、やせ細ってしまうと思う人が、多いのではないでしょうか。もちろん、実際にやせてしまう人もいますが、総じてうつ病の人は、肥満傾向にある人が多いようです。個人差はありますが、うつ病の人は肥満しやすく、また肥満している人はうつ病になりやすいというように、うつ病と肥満には双方向の関係があることがわかっています。

 ですから、うつ病を防ぎ・治すためには、エネルギーをとりすぎないことが第一です。過度なカロリー制限は禁物ですし、やせている人はその限りではありません。太らない食事を心がけましょう。

 そして、たんぱく質、糖質、脂質、ビタミン・ミネラル類、食物繊維をバランスよく摂取してください。必要な栄養素を過不足なくとりましょう。

 そのためには、主食、主菜、副菜、汁物がそろった食事がお勧めです。一品だけで食事を済ませていると、栄養のバランスをくずしがちになるからです。主食、主菜、副菜、汁物がそろっていれば、摂取する食品もふえるので、比較的、栄養のバランスを整えやすいといえます。

主食は精製度の低いもの!

 主食は、できるだけ精製度の低い全粒の穀物をとるように心がけましょう。私たちは通常、収穫された米や小麦から、種皮や胚芽などを除去した穀物を食べることがほとんどです。しかし、取り除いた部分にも、貴重な食物繊維やビタミン・ミネラル類などが多く含まれています。これらを無駄なく摂取することで、うつ病の予防や改善が期待できます。
 つまり、精白された米よりも、玄米や胚芽米、麦や雑穀入りご飯を選ぶことで、ビタミン・ミネラル類の補給ができるのです。
 パンの場合も同様です。白いパンよりも、全粒粉で作った少し黒いパンや、ライ麦パン、麦胚芽入りのパンのほうが、必要な栄養を摂取できます。

主菜でたんぱく質をしっかりとる!

 主菜に魚や肉、豆腐などのダイズ製品を使って、たんぱく質をしっかり摂取しましょう。
 たんぱく質は、アミノ酸で構成されています。主に血液や筋肉になるうえ、多くの酵素や神経伝達物質の材料にもなるのです。なお、体内で合成されないために、必ず体外から摂取しなければならないアミノ酸もあります。

副菜でビタミン・ミネラル類、食物繊維をとる

 副菜では、野菜はもちろん、キノコや海藻、イモ類をたっぷり使います。これらはビタミン・ミネラル類の補給源となります。
 葉酸やビタミンD、鉄、亜鉛、マグネシウムなどが不足すると、うつ病のリスクが高まるため、要注意です。食物繊維が豊富なので、腸内環境の改善にも役立ちます。また、よくかむ必要があるので、満腹感を得やすくなります。そのため、肥満の予防にもつながります。

汁物はもう一品の副菜と位置づける

 汁物も、副菜と同様に、野菜やキノコ、海藻、イモ類を、ふんだんに使いましょう。もう一品の副菜のつもりで、具だくさんの汁物にしてください。具だくさんにすれば、ビタミンやミネラル類、食物繊維の貴重な補給源になります。
 汁物の場合、塩分のとりすぎには注意が必要です。だしをしっかりとって、塩分が少なくてもおいしく食べられるように工夫してください。だしと具だくさんで、塩分のとりすぎを防ぐことができます。

解説者のプロフィール

功刀浩
国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第三部部長。うつ病、躁うつ病、統合失調症に関する先端的脳科学検査と栄養学的検査に基づいて診断・治療を行う、日本の精神医学研究をリードする研究者の一人。日本では注目されてこなかった精神疾患の栄養学的側面に注目した臨床研究を精力的に進めている。※栄養学的検査を受けてみたい人(うつ病のかた、健康なかた)は、お問い合わせください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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