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【脊柱管狭窄症が改善】腰痛を治す方法は安静ではなく「歩き方」を変えること

【脊柱管狭窄症が改善】腰痛を治す方法は安静ではなく「歩き方」を変えること

腰痛は、安静にしているとよけい悪くなります。大事なことは、局部を安静にしながら、全身を活動的にすることです。つまり、ふだんの生活で腰に負担をかけないように気をつけながら、大股歩きをするのです。【解説】西條一止(筑波技術短期大学元学長・名誉教授)

鎮痛剤を使わずに痛みが治まった

 腰痛を初めて発症したのは、10年前のことです。年末に母が亡くなり、慌ただしく葬儀を済ませた直後から、腰が痛くなりました。腰の右側から下半身にかけて痛みとけいれんがあり、階段の上り下りができなくなったのです。当時、私が学長を務めていた大学の診療所で検査を受けると、脊柱管狭窄症(脊髄などの神経の入った、背骨を通る管が狭くなる病気)と診断されました。

 私は鍼灸治療で教鞭を執っていますから、病名がわかれば自分なりの治療ができます。このときは家庭用低周波治療器で、最も症状の強い患部(腰の右側とすねの外側)を通電治療し、1ヵ月半ほどで症状は治まりました。

 その後、何事もなく過ごしていましたが、一昨年の正月、突然腰痛が再発しました。今度は左足です。痛くて左足を前に出すことができず、引きずるように歩いていました。そこで、自分でできる治療を全部試みましたが、あまり効果がなく、消炎鎮痛剤の世話になりました。
 これを皮切りに、その年の9月までの間に5回も再発をくり返しました。症状は、いずれも同じです。9月の再発時は、大学の実習指導の際に無理な姿勢をとったのが災いし、ほとんど歩けなくなってしまいました。

 こんなに再発するのはおかしいと思い、4回目の再発の後、診療所で再度検査を受けました。MRI(核磁気共鳴画像装置)で見ると、腰椎(背骨の腰の部分)の4番と5番の間の椎間板が完全につぶれていました。これでは、痛いわけです。おそらく、以前に診断された脊柱管狭窄症が徐々に悪化し、8年たって椎間板がつぶれてしまったのでしょう。

 私の腰痛は炎症が強かったため、再発のたびに消炎鎮痛剤に頼っていましたが、4回目の再発の少し前に、ある靴と出会い、大股歩きをするようになりました。大股歩きをしていると、痛みが再発しても、鎮痛剤を使わずに2週間くらいで痛みが治まります。
 痛みで歩けなくなってしまった9月の再発時も、それで乗り越えられました。その再発を最後に、痛みは一度も出ていません。それどころか、以前より健脚になり、74歳になる今も、かなりのスピードで歩けます。

筋肉のバランスが整い痛みが自然に消える

 私がしている大股歩きは、天に向かってまっすぐ背すじを伸ばし、股関節もひざも伸ばして、腰を前に出すように歩くというものです。かかとから着地し、親指のつけ根で地面をけります。体が前後左右に揺れないように気をつけながら、ふだんより少し大股で歩きます。
 正しい姿勢で、大股で歩く。この歩き方をすると、腰周りの筋肉群がいちばんいいバランスに整うのではないかと私は考えています。

 鍼灸の腰痛治療のポイントは、立位バランスを整えることです。そのとき鍼治療をするのは、主に大腰筋(上半身と下半身をつなぐ深部筋)、中殿筋(骨盤と大腿骨をつなぐお尻の筋肉)、足底筋(足の裏の筋肉)です。

 大腰筋は体の前後のバランス、中殿筋は左右のバランス、足底筋は微妙な重心バランスを調整しています。これらの鍼治療で立位バランスが整うと、痛みが自然に消えるのです。
 大股歩きもそれと同じように、正しい姿勢のまま歩くことで、大腰筋や中殿筋、足底筋をまんべんなく使い、立位や歩行のバランスを整えます。

 腰痛がある人は、痛くて歩けないかもしれません。もし神経を刺激するようなピリピリした痛みがあるなら、痛みが治まってから歩いたほうがいいでしょう。筋肉疲労のような慢性痛なら、むしろ歩いたほうがいいと思います。

 腰痛は、安静にしているとよけい悪くなります。大事なことは、局部を安静にしながら、全身を活動的にすることです。つまり、ふだんの生活で腰に負担をかけないように気をつけながら、大股歩きをするのです。

 私の場合、中腰になったり、重いものを持ったりすると痛みがひどくなったので、そういう動作を極力避けたうえで、1日1時間くらい大股歩きをしています。そのおかげで、1年半以上、腰痛の再発を防げています。

 歩く時間は、いつでもかまいません。気持ちのよい時間帯に、気持ちよく歩くことが大事です。初めは無理をせず、10分、20分から始めてください。私は、姿勢を矯正して歩行を助ける靴をはいていますが、そういう靴を利用すると歩行がさらに楽しくなります。

大股歩きのやり方

解説者のプロフィール

西條一止
1938年、新潟県生まれ。65年、東京教育大学教育学部理療科教員養成施設卒業。
71年、同大学同学部同学科教員養成施設助手。76年、筑波大学講師。77年、医学博士(東京大学)。86年、筑波大学教授。87年、筑波技術短期大学教授。学長。
2003年、同大学名誉教授。06年、日本伝統医療科学大学院大学長。
08年に退職。主な専攻分野は「自律神経機能からの鍼灸の科学化」。
自然鍼灸治療の権威として、多くの治療家を育てている。

●自然鍼灸学・自律神経臨床研究所
http://nishijokazushi.com/

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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