野菜スープに多い「ファイトケミカル」と5大栄養素の違いはここ

野菜スープに多い「ファイトケミカル」と5大栄養素の違いはここ

ファイトケミカルは、植物が作り出す天然の成分です。紫外線により発生する活性酸素や、害虫などによる危害から、植物が身を守るために自ら作り出す成分です。植物しか作ることができないので、我々動物は、植物を食べることによってしかファイトケミカルを取ることができません。【解説】髙橋 弘(麻布医院院長・医学博士 ハーバード大学)


ファイトケミカルは植物にしか作れない

 ファイトケミカルは、植物が作り出す天然の成分です。紫外線により発生する活性酸素や、害虫などによる危害から、植物が身を守るために自ら作り出す成分です。植物しか作ることができないので、我々動物は、植物を食べることによってしかファイトケミカルを取ることができません。

 ファイトケミカルが注目されるようになったのは、最近のことです。
 これまで私たちが学んできた栄養学は、「5大栄養素」が中心でした。5大栄養素とは、ご存じのように糖質(炭水化物)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルのことです。

 5大栄養素、そして第6の栄養素と言われる食物繊維についで、ファイトケミカルを第7の栄養素と言う人もいますが、ファイトケミカルは栄養素ではありません。
 なぜなら、5大栄養素のように、体を構成する成分になったり、エネルギーを作ったりしないからです。
 しかし、5大栄養素に勝るとも劣らない、非常に重要な機能を担っています。

ファイトケミカルが担う病気を予防する機能性

 私たちがモノを食べるのは、なんのためでしょうか。それは、次の3つの機能のためだと、私は考えています。
①栄養としての機能
体の構成成分になったり、生きるためのエネルギーを作ったりする機能です。
②嗜好面での機能
おいしい、よい香りがするといった、食事を楽しくさせる機能です。
③生活習慣病などの病気を予防する機能
食事によって作られる病気は、食事によって防ぎ、治すことができます。

 ①は、言うまでもなく、5大栄養素が担っています。
②は5大栄養素とファイトケミカルの両方が担っています。食品の色、香り、苦み、渋みなどは、ファイトケミカルによって醸し出されます。
③は、ファイトケミカルにしかできない機能です。そしてこれが、特筆すべきファイトケミカルの働きなのです。

 どういうことなのか、わかりやすい例でお話ししましょう。

 自動車は、ガソリンを燃やして走ります。すると排気ガスが出て、大気を汚染します。
人間も、同じようにエネルギーを燃やして生きています。そのとき、排気ガスと同じように、ゴミがたくさん出ます。そもそも人間は、呼吸するだけで活性酸素というゴミを排出し続けているのです。活性酸素とは体をサビさせる物質です。

 車なら、排気ガスを外に捨てればいいでしょうが、人間の体はそうはいきません。ゴミをどんどん体の中にため込んでいきます。すると、体のあちこちで不都合が生じてきます。その結果生まれたのが、がん、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満などの現代病である生活習慣病です。

体にたまった毒を無毒化する

 5大栄養素は、病気を作っても治すことはできません。かわりに病気を予防し治すのが、ファイトケミカルです。ファイトケミカルは、5大栄養素の出すゴミを、無毒化しているのです。

 ファイトケミカルの機能は多様です。抗酸化力のあるもの、免疫を高めるもの、血管の老化を防ぐもの、がんを予防するもの、アレルギーを抑えるもの、美容によいもの、目を健康にするもの……。

 機能が多岐にわたるだけでなく、ファイトケミカルは種類も豊富です。
 ファイトケミカルは、現在見つかっているだけでも数千種類ありますが、おそらく1万5000種くらいあるだろうと推定されています。

 一方、5大栄養素の種類は、数えるほどしかありません。ビタミンや微量ミネラルを入れても、全部で50にも満たないでしょう。
 現代の生活習慣病を予防し、健康で長生きするためのカギは、ファイトケミカルが握っているのです。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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