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腸が老いると全身が老いる!腸の老化を防ぐ4つのポイント

腸が老いると全身が老いる!腸の老化を防ぐ4つのポイント

私たちの体は、年とともに老化していきます。しかし、体の中の臓器がそれぞれ同じペースで老いていくかというと、決してそうではありません。実は、老化のペースメーカーとなる臓器が存在するのです。それが「腸」です。【解説】藤田紘一郎(東京医科歯科大学名誉教授・人間総合科学大学人間科学部教授)

「腸」は全身の老化を司るペースメーカー

 私たちの体は、年とともに老化していきます。しかし、体の中の臓器がそれぞれ同じペースで老いていくかというと、決してそうではありません。実は、老化のペースメーカーとなる臓器が存在するのです。

 最近、p16というたんぱくの発現を、マウス(実験用のネズミ)で長期間観察した研究が報告されました。p16は、ガンの抑制遺伝子で、これが発現すると、細胞が老化してきた目安になるのです。その結果、p16が最も早く発現したのが、腸と腎臓でした。臓器のうちでも、腸と腎臓が最も早く老いるのです。

 これは、腸と腎臓が最も多く血液を使う臓器であることが関係しています。心臓から送り出される血液の分配量を調べると、腸が1位で全体の30%、腎臓が2位で20%、3位が脳と骨格筋で15%でした。多くの血管で養われている臓器ほど、老いやすいのです。
 しかも、ペースメーカーである腸が老いてきた場合、腸だけの老化が進んでいるのではありません。腸が早く老いると、それとともに、ほかの臓器の老いも促進されてしまいます。つまり、腸が早く老いると、全身の老いも加速するのです。

 内臓にはそれぞれ、その人の一生分の仕事を、最適のペースでこなすための時間が設計されています。この臓器固有の寿命、いわば臓器の賞味期限が、それぞれの「臓器の時間」です。その中でも、腸は、最も臓器の時間の流れが早い臓器です。

 ただ、生活習慣やその人の心がけによって、臓器の時間の進み方を早くすることも遅くすることも可能です。私たちは老化予防のためにも、ペースメーカーである「腸の時間」の進み方をゆっくりさせる配慮と工夫が必要になります。

腸の老化を防ぐ4つのポイント

その1 過食を慎む

 では、腸の時間をゆっくりさせるために、どんなことに気をつければいいでしょうか。

 まず第1に、過食を慎むことが肝心です。腹8分めが長寿の秘訣といってもいいでしょう。
 過食は内臓にとって大きなストレスです。過食をくり返すと、体に栄養が余っているところに、さらに栄養が取り込まれます。このよけいな栄養分を、体は「外敵」と見なし、強いストレスを感じ、対抗しようとします。交感神経(内臓や血管を支配している自律神経の1つで、体を活動状態にする神経)が緊張し、これ以上の栄養を取り込まないようにするのです。

 同時に、血圧も血糖値も高くなります。こうした交感神経のがんばりが続いた結果、人はメタボになるのです。この際、腸の老化も加速することになります。

その2 時計遺伝子の働きを整えよ

 また、食事は、できるかぎり規則正しくとったほうがいいでしょう。忙しい現代人は、「仕事の合間に食事をしがち」ですが、「食事の合間に仕事をする」ことが理想です。
 近年の時計遺伝子研究の進展により、私たちの臓器も、時計遺伝子がもたらす周期性によって、それぞれリズムを刻みながら働いていることがわかってきました。時計遺伝子に異常が生じると、腸の時間の流れが早くなり、メタボにもなりやすくなります。これは、マウスの実験でも確かめられています。
 時計遺伝子の働きを整えるためには、朝、太陽の光を浴びることが重要ですが、もう1つ規則正しい食事も重要です。それが刺激となって、時計遺伝子の周期性を調整してくれます。

その3 早食いは控えよ

 ゆっくりと食べることや、よくかむことも大切です。
 食事をストレス解消の手段として考えている人がいますが、早食いは決してストレス解消になりません。逆に、腸にはストレスとなり、腸の時間をどんどん加速してしまいます。

 目の前の食事を、ストレス解消のターゲットとして見なすのではなく、生きるために自然が与えてくれたものとして、心静かに向かい合ってみてください。食前にひと呼吸おき、「いただきます」といって食べ始める習慣をつけてみましょう。これだけでも、ただの食事が健康食になる契機になるはずです。

 そして、ゆっくりと食べ、よくかむと、咀嚼の刺激が腸に、「これから食べ物が入っていきますよ」というメッセージを送ります。すると、脳がホルモンや消化液の分泌を速やかに促し、腸はストレスを感じることなく消化吸収を行えます。これによって、腸の時間が非常に効率的に使われることになります。こうした毎日の積み重ねが、腸の時間をゆったりしたものにしてくれるのです。

その4 発酵食品を取り入れて「快便」になるべし

 食事の内容については、発酵食品を食事に上手に取り入れる工夫などが大事ですが、腸にとっていい食生活ができているかどうか、1つわかりやすい目安を挙げましょう。それは、毎日の便の状態で判断する方法です。「快便」なら、いい食事ができていると考えていいのです。
 逆に、便秘が続いたり、下痢ぎみであったり、便秘と下痢をくり返したりしているようでしたら、日ごろの食事内容や生活ぶりを1度見直してみてください。

 なお、私は忙しく不規則な生活を送っていた5年ほど前、このような腸の時間を意識した生活に変えてみました。その結果、腸の調子がよくなり、体重は10㎏へり、腹囲は10㎝も細くなりました。

解説者のプロフィール

藤田紘一郎
1939年、旧満州ハルビン生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学医学系大学院博士課程修了。医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学大学院教授を経て現職。
免疫や腸内細菌、伝染病の研究の第一人者。著
書に『50歳からは肉を食べ始めなさい』(フォレスト出版)など多数。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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