「パスタとピザ」「コロッケとトンカツ」血糖値を上げにくいのはどっち?

「パスタとピザ」「コロッケとトンカツ」血糖値を上げにくいのはどっち?

「さて、では問題です。パスタとピザなら、どちらが血糖値を上げにくいでしょう。コロッケとトンカツでは、どちらでしょう。」糖質の少ないものを選んで食べれば、糖尿病でもおいしい料理を楽しめます。つらい食事制限もなく糖尿病が改善し、おまけに、無理なく痩せられる方法をご紹介します。【解説】渡辺信幸(こくらクリニック院長)


良質のたんぱく質をゆっくり食べよう!

 糖尿病は、血糖値の上がった状態が続く病気です。血糖値とは、血液中の糖分量を示す値で、空腹時の基準値は110㎎/㎗未満とされています。
 血糖値を上げる食品は、ご飯、パン、めん類などに代表される炭水化物(糖質)です。ですから、糖尿病の予防・改善には、糖分のとりすぎに注意しなければなりません。
 同じ食品でも、食べ方によって、血糖値の上がり方が変わります。最も血糖値を上げる食べ方が、「早食い」です。

 早食いをすると、血糖値が一気に上昇します。すると、膵臓から血糖値を下げるホルモンのインスリンが大量に分泌されるため、今度は急激に血糖値が下がります。
 この状態になると激しい空腹感を覚えるため、早食いをし、血糖値が上がるという悪循環になります。
 これをくり返すうちに膵臓が疲弊し、インスリンの分泌ができなくなるのです。すると血管が糖によって傷つき、切れたり詰まったりしてきます。

 糖尿病対策として、私が第一に指導するのが、「一口30回かむ」という食事法です。30回かむことで、ゆっくり食べられるので血糖値の上昇が緩やかになり、膵臓への負担も減少して機能が回復してきます。
 第二の指導は、「血糖値が上がらないものを食べる」ということです。
 食物の中で、血糖値を上げるものは、糖質だけです。肉などのたんぱく質や脂肪は、血糖値を上げません。そこで、私が推奨するのが、肉・卵・チーズといった良質のたんぱく質を、食事の最初にとる方法です。

 一口30回かめば、いくら食べてもかまいません。よくかんでゆっくり食べることで、満腹中枢が刺激されて、おなかがいっぱいになるはずです。しかも、血糖値は上がりません。それでも空腹感が満たされないなら、野菜、糖質という順番で食べましょう。
 肉・卵・チーズで満たされれば、ほかのものを無理に食べる必要はありません。良質のたんぱく質には、体に必要な栄養素が含まれているからです。

 魚も、糖分を含まない良質のたんぱく質ですが、肉のほうが人間の体の組成に近いのでお勧めです。また、魚は肉よりも満腹感を得にくく、ご飯を食べたくなったり、おやつに手が出たりする傾向があります。
 とはいえ、食事は豊富な食材をそろえたほうが楽しいし、おいしく食べられるでしょう。そこで、患者さんには次のように指導しています。

●食べ物はすべて一口30回かむ
●最初に肉・卵・チーズなどを食べ、満腹感を得る
●糖質の多いものを、なるべく避ける

 これだけなら、実践できる人も多いのではないでしょうか。

たっぷりのチーズが決め手!

脂肪たっぷりのケーキやアイスクリームも◎

さて、では問題です。
 
 パスタとピザなら、どちらが血糖値を上げにくいでしょう。
 答えはピザです。生地は糖質ですが、パスタに比べれば少量です。ポイントは、たっぷりのチーズです。チーズは血糖値を上げません。また、チーズで満腹感が得られるので、食べすぎる心配がありません。

 では、コロッケとトンカツでは、どちらでしょうか。
 コロッケの中身は糖質の多いジャガイモなので、血糖値を上げます。トンカツは、衣以外はたんぱく質や脂肪なので、血糖値が上がりにくいのです。

 和菓子と洋菓子では、どうでしょうか。
 意外かもしれませんが、洋菓子です。両方とも、小麦粉や米粉などの糖質を使っているので、血糖値は上がります。しかし、そのほかの材料を見ると、洋菓子に軍配が上がるのです。
 生クリームやバターは脂肪なので、血糖値を上げません。小麦粉の含有量が少なく、卵やチーズを多く使ったケーキや、脂肪分が8%以上のアイスクリームもお勧めです。
 一方、和菓子のアズキや白インゲン豆は糖質なので、血糖値が急激に上がります。

 このように、糖質の少ないものを選んで食べれば、糖尿病でもおいしい料理を楽しめます。

 40代の男性Aさんは、ヘモグロビンA1cが10%あり、インスリン注射を打っていました。ヘモグロビンA1cとは、過去1〜2ヵ月の血糖状態を示す値で、基準値は4・6〜6・2%です。Aさんはかなり太っており、自分なりにダイエットに励んでいましたが、血糖値も体重も全然へりませんでした。
 そこで、肉・卵・チーズをよくかんで食べるように勧めたところ、3ヵ月でヘモグロビンA1cが6・8%に大改善。インスリン注射も薬も中止でき、体重が20㎏もへったのです。

 30代の女性Bさんは、血糖値が300㎎/㎗、ヘモグロビンA1cが11%もありました。
 主食を肉・卵・チーズにしたところ、なんと3ヵ月で血糖値が263㎎/㎗、ヘモグロビンA1cが8・8%に改善しました。そして半年後には、基準値になったのです。
 体重は、半年で14㎏もへり、99㎏から85㎏になりました。急におしゃれになり、その後結婚が決まったそうです。

 このように、良質のたんぱく質を主食にし、よくかんで食べることで、つらい食事制限もなく糖尿病が改善します。おまけに、無理なくやせられるのです。ぜひ、お試しください。

渡辺信幸(こくらクリニック院長)
1963年、愛知県生まれ。名古屋大学医学部卒業後、沖縄の離島医療に携わるなかで、予防医学の重要性を実感する。病気にならない健康法の普及のため、こくらクリニックにおいてダイエット外来を開設し、診療に当たっている。みずから考案した食事法で、3000人以上をダイエットに導き、病気を改善した実績を持つ。著書に、『日本人だからこそ「ご飯」を食べるな』(講談社)、『一生太らない体をつくる「噛むだけ」ダイエット』(東京書店)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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