【コーヒーの効能】「2型糖尿病」リスクを下げる研究結果 飲み方のコツは?

【コーヒーの効能】「2型糖尿病」リスクを下げる研究結果 飲み方のコツは?

かつて、コーヒーは多飲すると体に悪いという印象がありましたが、最近の疫学研究で、コーヒーの健康にいい点が指摘されています。アメリカ、スウェーデン、日本などで、コーヒーが2型糖尿病に効果があるという研究結果が次々と報告されているのです。【解説】古野純典(九州大学名誉教授 )


1日に3〜4杯くらいのコーヒーは健康によい!

2型糖尿病に効くと各国で次々発表!

 かつて、コーヒーは多飲すると体に悪いという印象がありましたが、最近の疫学研究(健康に関する事柄の頻度や分布を調べ、その要因を明確にする科学的研究)で、コーヒーの健康にいい点が指摘されています。
 私も、コーヒーの健康効果に着目し、1990年代には、肝臓疾患への影響について疫学研究を行いました。通常、飲酒をすると肝機能値であるγ–GTPが上昇します。しかし、コーヒーを飲むと、γ–GTPの上昇がおさえられることが判明。肝臓疾患の予防によい影響を与えることが、明らかになったのです。

 ところで、2000年以降になると、コーヒーの糖尿病への影響に関する研究が、相次いで世界各国で行われました。生活習慣に起因する糖尿病は、2型糖尿病といわれるもので、この2型糖尿病への予防効果が注目されるようになったのです。
 最初に大規模な調査結果を発表したのは、オランダのバン・ダン博士らです。1万7000人の男女を対象に、平均で約7年間にわたって追跡調査したところ、「1日に7杯以上コーヒーを飲む人では、2杯以下の人に比べ、2型糖尿病の危険度が2分の1になる」という報告がなされたのです。

 また、フィンランドの国立公衆衛生研究所が行った調査で、
①1日3〜4杯のコーヒーを飲んだ場合、飲まない人に比べて女性で29%、男性で27%糖尿病にかかる率が減少する。
②1日10杯以上飲んだ場合には、女性で79%、男性で55%減少する。
という結果が出ています。

 このほかにも、アメリカ、スウェーデン、日本などで、コーヒーが2型糖尿病に効果があるという研究結果が次々と報告されているのです。

確実に悪影響はなく糖尿病の予防になる

 まず行った調査は、コーヒーの耐糖能(食事によって上がった血糖値を下げて正常に保つ働き)異常(いわゆる糖尿病予備群)への予防効果です。1997〜2002年に職域健診を受けた成人男性約5000名を対象にした研究です。75gのブドウ糖を飲んだ後の血糖値を比較しました。

 その結果、耐糖能異常(140〜199㎎/㎗)になる危険度が、コーヒーを飲まない人を1とすると、1日に1〜2杯飲むのを習慣とする人は0・72、3〜4杯では0・67、5杯以上では0・64となりました。
 つまり、コーヒーを多く飲む人ほど、正常な血糖値を保ちやすくなり、コーヒー5杯で4割近く糖尿病になるリスクが低くなるとわかったのです。

 ところで、これまで各国で報告されてきた「コーヒーを習慣的に飲んでいる人は、飲まない人と比べて糖尿病のリスクが少ない」という研究は、コーヒーを長期間飲んでもらったら、血糖値がよくなるか(糖尿病になりにくいか)どうかを見たものではありません。
 そこで、コーヒーと糖尿病予防効果を推し量るために、40〜64歳までの男性で、BMI(体重を身長の2乗で割った数字で、肥満を検証する値)が25〜30の中等度肥満の人たちに協力してもらい、コーヒーを長期間飲むことによって、糖代謝に与える影響を調べることにしました。

 その実験では、20人ずつのグループに分け、①インスタントのブラックコーヒー、②カフェインの入っていないコーヒー、③水、をそれぞれ1日5杯、16週にわたって飲んでもらい、定期的に採血をして、血糖値の上がり方や、ブドウ糖を飲んだときの2時間後の血糖値を調べて比較しました。
 すると、①のブラックコーヒーを飲んでいたグループの、75gのブドウ糖負荷後の血糖値が上がりにくくなり、2時間後の数値も減少する傾向にありました。また、②のカフェイン抜きのコーヒーでも、2時間後の血糖値が若干減少する傾向が見られました。
 以上の実験から、コーヒーを常飲することは、血糖値が上がるのを抑制する効果があると考えられるのです。

 さて、最近、コーヒー摂取と2型糖尿病との関係についての20の報告をまとめた解析結果が公表されました。それによれば、全体では1日3〜4杯のコーヒーを飲むことにより、糖尿病発症リスクが約25%減少するとされています。
 コーヒーのどのような成分がこうした効果をもたらすのかは、まだはっきりとは確認されていません。ただし、カフェインだけだと、食後血糖値が跳ね上がるので、コーヒーに含まれているほかの成分の作用だと考えられます。現在のところでは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やマグネシウムなどの成分が、血糖値の上昇をおさえるのではないかと推定されているのです。

 まだまだコーヒーの成分については、研究の余地がありますが、とりあえず「コーヒーを飲んでも悪影響はなく、むしろ糖尿病の予防になる」ということは確かです。
 そこで、1日に3〜4杯くらいのコーヒーは健康によいのではないかと思われます。飲むタイミングは、朝と昼の食前に飲むといいでしょう。食後血糖値をおさえる効果が期待できます。そのほか、10時や3時のおやつの時間もお勧めです。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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