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【朝の血糖値を下げる】気功スクワットの効果とやり方を医師が解説

【朝の血糖値を下げる】気功スクワットの効果とやり方を医師が解説

私が患者さんにお勧めしているのは、家の中で簡単に行うことができる「気功スクワット」です。夕食後に気功スクワットを行っておくと、血液中のブドウ糖が消費され、朝には血糖値が下がります。気功スクワットのやり方を説明しましょう。【解説】梶山靜夫(梶山内科クリニック院長)

なぜスクワットが糖尿病に効果的なのか

 糖尿病の改善のためには、食事の際に野菜を先に食べることが大切です。それとともに欠かせないのが、運動です。

 運動には、血液中の糖分を消費して血糖値を下げる効果と、血糖値が上がりにくい体質に改善する効果があります。

「運動」というと、つらい筋力トレーニングや長時間のウォーキングを想像するかもしれません。それが苦にならず、継続できれば問題ありませんが、現実的には難しいでしょう。

 私が患者さんにお勧めしているのは、家の中で簡単に行うことができる「気功スクワット」です。

 スクワットというと、スポーツ選手が行うハードな筋力トレーニングのイメージがありますが、気功スクワットは、ゆったりとした動きで、体に負担をかけません。

 脈拍や血圧を上昇させることなく、血液中のブドウ糖を消費し、血糖値を下げることができます。ひざを深く曲げることもないので、関節にも優しい運動です。

 なぜ、スクワットが効果的なのでしょうか。

 ひと言でいうと、太ももの筋肉を効率的に刺激できるからです。

 血液中のブドウ糖の約75%は、筋肉で消費されます。なかでも、赤筋と呼ばれる筋肉を刺激すると、糖質の消費が促されることがわかっています。

 赤筋には、グルット4というたんぱく質があります。ふだんは筋肉細胞の中に隠れていますが、運動などで刺激を与えると、細胞の表面に出てきて、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むのです。

 人間の筋肉の約70%は下半身にあり、特に太ももの筋肉は赤筋で占められています。

 気功スクワットの目的は、太ももの赤筋を刺激し、グルット4を働かせることです。ですから、激しくひざを曲げ伸ばしする必要はありません。

アルツハイマー病の予防にも役立つ!

 また、夕食後に運動をしたいが、夜に外出するのは気が進まないという声もあります。

 そこで、家の中でできる運動として、気功スクワットを考案したのです。

 例えば、夕食の時間が遅くなり、運動をせずにそのまま寝ると、高血糖のまま朝を迎えることになります。そんなときは、夕食後に気功スクワットを行っておくと、血液中のブドウ糖が消費され、朝には血糖値が下がります。

気功スクワットのやり方

 気功スクワットのやり方を説明しましょう。

❶ 足を肩幅に開いて立ち、全身の力を抜きます。つま先は正面に向けてください。へそから指の横幅3〜4本分下にある下丹田に、両手のひらを上に向けて軽く当てます。
❷ 背すじを伸ばし、口から息を吐きながら、5秒ほどかけて、ひざをゆっくり曲げます。深く曲げる必要はありません。お尻を突き出したり、上体が前のめりになったりしないところまでで、けっこうです。ひざを曲げるのと同時に、両手を左右に開き、息を吐き切りましょう。
❸ 鼻から息を吸いながら、5秒ほどかけて、ひざをゆっくり伸ばします。同時に、両手のひらで気(生命エネルギー)を下丹田に取り込むように戻しましょう。

 これを20回くり返します。
 1日2回、朝食と夕食の30分後に行うのが理想です。

 最初は、10回程度から始めてもいいでしょう。手の動きは気にせず、テーブルやいすの背などに手を添えると、ひざの負担が軽くなります。

「糖尿病患者は、アルツハイマー病になるリスクが、そうでない人より高い」というデータがあります。気功スクワットは、アルツハイマー病の予防にも活用できます。

 愛知県の国立長寿医療研究センターの研究によると、脳を使いながら運動することで、認知症の予防・改善が期待できることがわかりました。

 同センターでは、認知症のおそれがある高齢者に、しりとりをしながら階段昇降を行うプログラムを、1年間実践してもらいました。すると、認知症の程度を示す数値が改善し、海馬という記憶をつかさどる脳の部位の萎縮まで改善したのです。

 そこで、私のクリニックでも、しりとりをしながら行う気功スクワットを勧めています。

 しりとりは複数の人で行うもの、と思いがちですが、一人でもできます。やってみると、意外と難しいものです。

 糖尿病患者さんはもちろん、アルツハイマー病を予防したい人も、ぜひ習慣にしてください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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