タマネギの硫黄化合成分・イソアリインのパワー
タマネギの成分が健康にもたらす効果は、さまざまな研究により明らかです。特に、血液や血管系の病気、糖尿病には絶大な力を発揮し、「食べる薬」といっても過言ではありません。
タマネギを生のまま切ると、ツーンとした刺激で、涙が出てきますね。これは、硫黄化合成分の、イソアリインなどによる仕業です。このイソアリインには、実はすごいパワーがあるので、タマネギを水にさらして流さないようにしてください。
そのパワーとは、血流をよくして血栓を防ぐので、高血圧予防になる。血糖値を下げるので糖尿病に効く。血中脂質をへらし、胃の消化液の分泌を促すので肥満の予防・改善にも役立つのです。
また、ポリフェノールの1種であるグルタチオン酸やケルセチンが、タマネギには豊富に含まれています。これらの特長は、強い抗酸化作用です。
先に述べたイソアリインなどと相乗的に作用し、有害な活性酸素を防ぎます。血管の内壁を守り、細胞を活性化させ、体の「さび」による「体さび病」(=体の酸化)を予防するのです。
タマネギを食べるお勧めの量は1日50g
さらに、これらの成分は、血液中のインスリン作用を高め、糖の代謝を活発にします。このため、血糖値が下がります。
注目すべきは、タマネギの成分が、インスリンの分泌を直接促すわけではない点です。インスリンの分泌を調整しているインクレチンを増すため、それを介してインスリン量が増加するのです。
よって、タマネギがインスリンを過剰に分泌させることはありません。つまり、食べすぎても、インスリン過多で低血糖を起こす心配は全くないのです。ちなみに、日本人の糖尿病患者の約9割は、体内のインスリンの分泌量の調整がうまくいかないか、インスリンの働きが悪くなる、Ⅱ型糖尿病です。糖尿病の患者にとって、タマネギを用いた食事療法は、有用な治療手段といえるでしょう。
健康効果を得るために摂取する量は、1日当たり50g以上が目安です。タマネギ氷でしたら、めんどうな手間もなく、必要量を継続してとることができます。ちなみに、タマネギを加熱しても、有効成分である硫黄化合成分は化学的に安定しているため、破壊されません。
現在、私のクリニックでも、患者にタマネギ氷を試してもらい、詳しいデータを取っています。そのうち、9割以上のかたに血糖値の改善が見られました。すばらしい成果です。
ほかにもタマネギの効能は、便秘解消、疲労回復、精神鎮静など、きりがありません。体に不調があるかたは、タマネギ氷を毎日続けることで、きっと変化を実感できるでしょう。
解説者のプロフィール

周東 寛
南越谷健身会クリニック院長。専門はガンとアレルギー。食事や運動の指導を自ら実践し、心身医学療法なども加え、トータルヘルスの確立に注力している。テレビや新聞、雑誌などのメディアでも活躍。著書多数。
タマネギ氷の完成写真