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【抜け毛・薄毛対策の食事】男性ホルモンを減らすのはNG ステーキが効果的

【抜け毛・薄毛対策の食事】男性ホルモンを減らすのはNG ステーキが効果的

男性ホルモンの代表格である「テストステロン」は、一般に、薄毛の原因とされているため、その濃度が高いと、それが文字どおりハゲに直結するようなイメージを持っているかたも多いでしょう。しかし実は、テストステロン自体に、薄毛やハゲを引き起こす作用はないのです。【解説】藤田紘一郎(東京医科歯科大学名誉教授)

東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生

男性ホルモンが増えるとハゲるというのは間違い

 腸内環境をよくすれば、髪が若返るという話について解説しました。ここではもう一つ、私のフサフサ黒髪の秘訣をご紹介しましょう。
 それは、私が週に2回は必ず食べる「ステーキ」です。楽しみで食べている面もありますが、健康のため、髪の食養生にもなっているのです。
 残念ながら、いまだに、「肉が体に悪い」という誤解が蔓延しています。2015年現在、100歳を超えるいわゆる「百寿者」は6万人おられますが、その大半のかたが肉をよく食べているのです。

 私たちの体は、およそ37兆個の細胞からなり、細胞の1個1個は、膜によって包まれています。この膜が丈夫でなければ、細胞は正常に機能できません。肉から摂取されるコレステロールは、この大事な細胞膜の原料となるのです。
 髪の健康についても、同じことがいえます。コレステロールが不足すれば、頭皮や毛髪を生み出す、毛根の毛母細胞に悪影響を及ぼし、抜け毛が増えていくでしょう。

 ですから、良質の肉を食べて必要なコレステロールを補給することは、髪の健康を守るうえで大切です。同時に、それは、男性ホルモンを増やすという点からも、欠かすことができません。コレステロールは、性ホルモンの原料ともなる物質だからです。
 中高年以降、ヒトの性ホルモンは減っていきますが、このことは、健康にとってマイナス面しかありません。性ホルモンが激減すれば、生きる気力さえ萎えてしまいます。

 ヒトは、年齢に関係なく、性ホルモンを枯らしてはいけないのです!
 ここで、特に注目したいのが、男性ホルモンの代表格である「テストステロン」の働きです。このテストステロンは、一般に、薄毛の原因とされているため、その濃度が高いと、それが文字どおりハゲに直結するようなイメージを持っているかたも多いでしょう。
 しかし実は、テストステロン自体に、ハゲを引き起こす作用はありません! 毛髪が抜けるのは、毛根の毛母細胞の細胞膜にある酵素によって、テストステロンが、ジヒドロテストステロンという「脱毛ホルモン」に変換されたときです。
 ですから、薄毛を改善するためには、テストステロンの量を減らすのではなく、脱毛ホルモンを作り出す酵素の働きを抑制することのほうが、はるかに大事なのです。

 このために効果的なミネラルが亜鉛です。亜鉛を含む食材を積極的にとることによって、その酵素の働きを抑えることができます。そこで役に立つのが牛肉。牛肉には、この大事な亜鉛が豊富に含まれています。髪を若返らせるために、私がステーキをお勧めするのは、このような理由からです。

ステーキは天然の育毛剤だ!

あの日野原先生もステーキで髪がフサフサ

 肉は、確かに髪の若返りにいいのですが、定期的に摂取する場合、食べ方に気を遣う必要があります。
 高脂肪の食品を大量に摂取すると、腸内で腐敗菌である悪玉菌が増え、腸内環境を悪化させます。その結果、腸内細菌の抗酸化力が低下すれば、頭皮と毛髪にも悪影響を及ぼします。老化の原因物質である活性酸素の働きを抑える力が弱まり、頭皮や毛根は活性酸素によって攻撃され、薄毛が進行してしまうでしょう。

 やはり食べ過ぎは禁物です。私は、ステーキを食べるのは、週2〜3回程度がちょうどいいのではないかと考えています。
 摂取したコレステロールが体に害を与えるのは、それが活性酸素と結びついたときです。コレステロールなどの脂質が活性酸素と結びつくと、過酸化脂質となります。この過酸化脂質が血管や細胞を傷つけ、動脈硬化を進行させます。
 ステーキを食べる場合には、過酸化脂質を作り出さないよう、抗酸化力の強い野菜といっしょに食べるといいでしょう。野菜をたくさん摂取すれば、食物繊維の摂取量も増え、腸内環境が整います。

 また、良質のコレステロールを摂取するためには、国産和牛がお勧めです。ステーキの焼き方は、周囲に火を通し、中心部分は生の状態に近い「ミディアムレア」がいいでしょう。
 なぜなら、肉を焼き過ぎると、AGE(終末糖化産物)がより多く産生されてしまうからです。AGEは、たんぱく質が劣化した物質の総称で、これが蓄積した部位では老化が急速に進行します。活性酸素と並んで薄毛を進行させる物質です。
 高温で料理を行うと、AGEがより発生しやすくなります。このため、ステーキを焼き過ぎないことが一つのポイントとなるのです。

 ちなみに、今年7月に105歳でお亡くなりになられた聖路加国際病院名誉院長の日野原重明先生ですが、100歳を超えてなお、週に2回はステーキを食べておられたそうです。ふだんは粗食とのことですが、実際に食事をごいっしょすると、驚くほど大きなステーキをペロリと召し上がっていました。その日野原先生も、髪はフサフサでした。
 若々しく元気な髪を維持するため、ステーキを上手に活用してみてはいかがでしょうか。

解説者のプロフィール

藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)

感染免疫学者。医師。
1939年旧満州生まれ、三重県育ち。
東京医科歯科大学医学部卒業。
東京大学医学系大学院修了。
金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学大学院教授を歴任。
長年、腸内細菌の研究に取り組み、『腸内革命』(海竜社)、『脳はバカ、腸はかしこい』(三五館)、『腸の毒出しでやせる!病気が治る!』(マキノ出版)などベストセラー多数。
近著に『1000 兆匹の腸内細菌を使って10キロ楽にやせる方法』(KADOKAWA)、『腸で変わる! 病気にならない、50 代からの生活習慣』(世界文化社)など。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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