【耳の悩み】耳鳴り、難聴、めまいに効く食事―その原因と症状から考える

【耳の悩み】耳鳴り、難聴、めまいに効く食事―その原因と症状から考える

私が勤務する「りゅうえい治療院」には、耳鼻科にかかっても、なかなか改善しないことが多い耳鳴り・難聴・めまいといった症状で来院される患者様がたくさんいます。鍼灸師として、かつ、管理栄養士としてどんな食べ物が耳の悩みの改善に役立つかお話ししましょう。【解説】立花愛子(りゅうえい治療院副院長・鍼灸師・管理栄養士)


老化や過労が「腎」を低下させる

 私が勤務する「りゅうえい治療院」には、耳鳴り・難聴・めまいといった、耳のさまざまな症状にお悩みの患者さんが、たくさんいらっしゃいます。
 これらの耳の症状は、耳鼻科にかかっても、なかなか改善しないことが多い病気です。「年のせいだから治らない」と思っているかたも少なくないかもしれません。

 そこで、ここでは、鍼灸師として、かつ、管理栄養士として、耳の悩みを改善するために、日ごろどんなものを食べたら役立つかお話ししましょう。
 東洋医学では、耳鳴り・難聴・めまいといった耳の症状は、「腎」が深く関係していると考えられています。
 この場合、腎といっても、西洋医学でいうところの腎臓の機能のみを指すわけではありません。東洋医学における腎とは、腎臓の機能を含んだうえで、さらにもっと広い機能を表す概念です。
 それは、いわば、生命エネルギーの根源のようなものを指しています。

 腎の機能が落ちてくると、体内のホルモン調整や生殖機能、また、西洋医学における腎臓の機能である体内の水分代謝などの機能低下が起こります。
 この腎の機能低下を引き起こす有力な要因が、老化や過労です。加齢や、疲労がたまることによって、白髪や脱毛がふえたり、骨がもろくなったりします。これと同様に起こってくるのが、耳の諸症状と考えられます。その代表的なものとしては、老人性難聴が挙げられるでしょう。

滋養強壮作用の強い五つの要素を紹介

 では、腎が弱っているとき、どんなものを食べればよいでしょうか。
 老化や過労がその症状を引き起こしている主たる原因ですから、対策としては、滋養強壮作用の強いものを食べることが勧められます。

 目安となるのは、次の五つの要素です。
❶黒いもの
❷実・種の性質を有するもの
❸ネバネバしたもの
❹苦いもの
❺鹹いもの

 次に、それぞれについて、具体例を挙げて説明してみましょう。

 ❶の黒いものとは、食材の色が黒いものです。黒いものは、昔から漢方では、滋養強壮作用が強いと考えられてきました。
 例えば、黒ゴマ、黒豆、ヒジキ、ノリ、ワカメなどです。

 次に、❷の実や種の性質を有するものとは、その名のとおり、実や種を指しますが、これも滋養強壮作用があるとされています。
 ダイズ、クルミ、クリ、松の実、桑の実、ヒマワリの種など、各種のナッツ類が挙げられます。

 ❸のネバネバしたものについても、滋養強壮作用が強いと考えられています。
 代表的なものは、納豆やオクラが挙げられます。また、海藻類なども、黒くて、ネバネバしています。

 ❹の苦いものについては、胆の仲間とお考えください。レバーが代表ですが、その種類にはあまりこだわる必要はありません。お好みで、ご自分の食べやすいものを食べるようにするといいでしょう。

 ❺が鹹いものです。これは、塩辛いものを指します。昔から、鹹いものは、腎を養う作用があるとされてきました。
 例としては、しょうゆなどが挙げられます。ただし、現代医学の観点から、とりすぎは禁物です。塩分は、人間の生命活動には不可欠です。しかし、食養として鹹いものが勧められたのは、そうしたものを食べる機会が少なかった昔の時代だからこそ、通用した話です。

 現代の豊かな食生活で同じことを行うと、たちまち塩分のとりすぎになってしまうでしょう。

消化器に負担をかけないよう注意

 この項では、日ごろ常備菜としてとれるよう、クルミ黒ゴマペースト、黒豆の黒砂糖煮、ナガイモの漬物をご紹介します。作り置きして冷蔵庫に入れておけば、毎日の食生活に上手に取り入れることができると思います。

 ちなみに、それぞれの食材を調理する際、特別な注意はありません。
 ただ、お勧めの食材というと、なかには、毎日そればかりを食べるかたがいらっしゃいます。こうした偏った栄養の摂取のしかたは、けっきょく、体のためになりません。
 一つのメニューだけにこだわらずに、栄養学的なバランスを考えながら、紹介したレシピを参考に、バラエティに富んだ食事をとることを目指してください。

 もう1点、注意していただきたいのは、食材は冷えた状態ではなく、できるだけ温かい状態で食べることです。少なくとも、常温以上の温度がいいでしょう。
 なぜなら、冷たいものをとりすぎると、消化器に負担がかかります。消化器が弱ると、てきめんに水分代謝が悪くなります。

 耳の症状はいずれも、水分代謝と関連があります。水分代謝が悪くなり、体内に余分な水分がたまると、耳の症状が出やすくなる傾向があるのです。
 西洋医学の場合、めまいなどの治療薬として、水分代謝を促す利尿剤が処方されるくらいです。体内の水分代謝を悪化させないためにも、冷たいものの食べすぎは禁物です。また、あまりに辛いものや酸味の強いものも胃を荒らしますから、控えたほうがいいでしょう。

 同様の意味合いから、甘いものも要注意です。甘いものも消化器に負担となるからです。
 特に現代は、お菓子やケーキ類など、おいしそうな甘いものであふれています。おいしそうな見映えにつられ、ケーキやお菓子をたくさん食べてしまいがちです。

 しかし、耳鳴りや難聴、めまいのつらい症状が出ているときは、甘いものはできるだけ避けるようにしたほうがいいのです。
 さらに、日常生活においては、睡眠不足も耳の症状に悪影響を及ぼすので、睡眠をじゅうぶんに取るようにしましょう。

 東洋医学では、体全体の状態を見ながら、病気を治していこうとします。そこで、耳の状態を緩和するために体質改善を行っていたら、腰痛までなくなったというケースもしばしばあります。
 根気よく続けていくことで、治りにくい耳の症状も、薄いベールをはぐように、少しずつ改善されていくでしょう。

クルミ黒ゴマ ペースト

❶刻んだクルミ30gと、黒ゴマ30gを、いっしょにすり鉢でする。

❷これにハチミツをお好みの量加える。ヨーグルトに入れたり、パンに塗ったりして食べる。

黒豆の黒砂糖煮

❶黒豆を水につけて一晩おく。

❷そのまま火にかけ、黒豆がやわらかくなったら黒砂糖を加える。

❸水気がなくなるまで煮詰めたら完成。

ナガイモの漬物

❶しょうゆとみりんを大さじ6ずつ、お酒大さじ1、砂糖大さじ1を保存容器に入れる。

❷ナガイモは皮をむいて縦半分に切り、①の合わせ調味料に漬け込む。

❸冷蔵庫で一晩置いたら完成。

立花愛子
りゅうえい治療院副院長。日本大学卒業。東洋医学と栄養学を学び、鍼灸師免許および栄養士免許を取得。鍼灸治療とともに、東洋医学の薬膳を取り入れた栄養指導を行う。平成21年、管理栄養士国家資格取得。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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