解説者のプロフィール

南雲吉則
ナグモクリニック総院長。
医学博士。乳腺専門医。1955年生まれ。
東京慈恵会医科大学卒業後、東京女子医科大学で形成外科を、癌研究会附属病院外科でガン治療を学び、東京慈恵会医科大学第一外科乳腺外来医長を経て、ナグモクリニックを開業。
現在、医療法人社団ナグモ会理事長。
また、総院長として全国5つの院でガン手術、乳房再建手術に日々邁進している。
近年はガンから命を救う食事と生活の指導・講演にも力を注ぐ。
東京慈恵会医科大学外科学講座非常勤講師。近畿大学医学部形成外科非常勤講師。
韓国東亜医科大学客員教授。
中国大連医科大学客員教授。
人気テレビ番組に多数出演。『Dr.ナグモが大変身! 奇跡の家トレ』(マキノ出版)ほか、著書多数。
●ナグモクリニック
https://www.nagumo.or.jp/
髪はフサフサで60代には見られない!
私はこれまで、「50代なのに30代に見える医師」として多くの著書を出してきましたが、ついに還暦を迎えました。しかし、老化するどころか、体調は非常に良好で、元気はつらつです。髪もフサフサで、60代には見られない自信があります。
こんな私ですが、以前は頭髪のことで悩んでいました。フケ症で、地肌は常にかゆく、赤く炎症を起こしていたので、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)を塗って対処していたのです。40代のときは抜け毛や薄毛にも悩み、いろいろ試しましたが、症状は改善しませんでした。
しかしあるとき、「洗い過ぎ」がよくないと気づき、ぬるま湯で洗髪して水のシャワーを浴びるようにしたら、頭髪の状態がみるみるよくなったのです。
それに加えて最近、育毛効果を実感しているのが、私がここ半年ほど継続して飲んでいる「甘酒酵素水」です。これは、米とこうじ菌から作った甘酒に、有用な菌をさらに加えて、発酵させた物です。
腸内環境をいい状態に保つことが、ガン予防やアンチエイジングに有効という観点から、私は常に、腸の健康を意識しています。良好な腸内環境のためには、腸内の善玉菌を優勢に保つ必要があり、それには、発酵食品の摂取が欠かせません。納豆やヨーグルトなどを、積極的にとるようにしています。
甘酒は、「飲む点滴」といわれるほど栄養価の高い発酵食品ですから、当然私も注目してきました。ただ、一つだけ懸念がありました。甘酒は、糖分の塊なのです。
甘酒の甘みは、こうじ菌が増殖するときにできるアミラーゼという酵素が、米のでんぷんをブドウ糖に変えることで生じます。甘酒の主成分は、ブドウ糖です。
過剰に摂取したブドウ糖は、体内でたんぱく質や脂肪と結びつき、糖化産物を生成します。体内の糖化産物は、皮膚の老化をはじめ、動脈硬化や糖尿病、認知症、ガンなど、あらゆる病気の元になるのです。
甘酒酵素水の作り方


南雲先生が発酵させている、さまざまな甘酒酵素水
頭頂部や生え際の髪がしっかり生えてきた!
そこで私は、甘酒にほかの菌を加え、さらに発酵させることで、ブドウ糖を分解すればいいのではないかと考えました。
甘酒にヨーグルトを入れると、乳酸菌の作用でブドウ糖から乳酸が生成され、甘酒ヨーグルトができます。
甘酒に入れるヨーグルトに、ビフィズス菌が多ければ、乳酸のほかに酢酸ができ、ヨーグルト風味の甘酒酢になります。
また、甘酒にイースト菌を入れると、ブドウ糖がエチルアルコールと二酸化炭素に分解されます。つまり、微炭酸のアルコール飲料になるのです。
私はこうして作った発酵飲料を総称して、甘酒酵素水と呼んでいます。うまく発酵できれば糖質は分解されるので、糖を過剰摂取する心配はありません。
甘酒酵素水は、菌の作用で腸内環境を整え、健康づくりに大きく寄与します。また、栄養面からいえば、各種のミネラルやアミノ酸に加え、米こうじ由来のビタミンB群が含まれています。ビタミンB群は、代謝を促進し、皮膚や粘膜を健やかに保ちます。なかでも、ビタミンBとも呼ばれるビオチンは、育毛や発毛に働きかけ、髪を豊かにしてくれるのです。
私はさまざまな甘酒酵素水を作り、毎日、朝晩コップ1杯ずつ飲んでいます。料理に使うこともよくあります。
甘酒酵素水を飲んだら、腸内環境が改善され、翌日から変化を感じるでしょう。髪に関しては、1ヵ月ほどで変化に気づき、2〜3ヵ月で効果を実感できると思います。
私の場合は、最近増えてきていた抜け毛が減り、髪にコシが出てきました。1本1本が太くなり、頭頂部や生え際の髪も、しっかり生えてきて、よりフサフサになったのです。もちろん便通もさらによくなり、便臭やおならの臭いもほとんどなくなりました。
菌は生き物なので、そのときにより出来が異なりますが、プクプクと発酵している様子はかわいいものです。甘酒酵素水が元気なら、それを飲んでいる自分も元気。効果を実感しつつ、毎日楽しく続けています。

ヨーグルトで乳酸菌発酵させた甘酒酵素水