MENU
医療情報を、分かりやすく。健康寿命を、もっと長く。医療メディアのパイオニア・マキノ出版が運営
人間の体はいくつになっても筋トレが必要!簡単「ふくらはぎストレッチ」

人間の体はいくつになっても筋トレが必要!簡単「ふくらはぎストレッチ」

人間の体は、精密機械のようなものです。どんなによい機械でも、使い続ければ調子が悪くなり、壊れやすくなります。同様に、人間の体も年齢を重ねると、あちこちに具合の悪いところが出てきます。しかし、定期的にメンテナンスをすれば、悪くなる度合いをゆるやかにできます。【解説】久野信彦(久野接骨院院長)

高齢者でも筋肉は鍛えられる

人間の体は、精密機械のようなものです。どんなによい機械でも、使い続ければ調子が悪くなり、壊れやすくなります。

同様に、人間の体も年齢を重ねると、あちこちに具合の悪いところが出てきます。しかし、定期的にメンテナンスをすれば、悪くなる度合いをゆるやかにできます。油をさしたり、部品を修理したりしながら使えば機械が長持ちするように、人間も定期的なケアをすれば、生涯元気に暮らせるのです。

人間の体にとってメンテナンスとは、「筋肉トレーニングをする」ことです。筋肉を鍛えれば、いつまでも自分の足で歩けますし、どこかが痛くなっても、薬に頼らず痛みを取ることができます。自立した生活を送るには、いくつになっても筋肉トレーニングが必要なのです。

ここで、「筋肉トレーニングは年だから無理」と言う人がいるかもしれません。実際、高齢者の筋トレは、危険を伴うとしてタブー視されてきました。

筋肉は、細い筋線維がたくさん集まってできています。細い繊維で織った布のようなものです。古い布は、ちょっと引っ張っただけで簡単に破けますね。高齢者の筋トレは、古い布を繕うようなもので、かえって危険だと思われてきました。ところが、それは間違いなのです。高齢者にも筋トレができますし、むしろ、高齢者にこそ、筋トレが必要なのです。

「100歳の双子姉妹」で、一躍国民的アイドルになった故・成田きんさんも、100歳を過ぎてから筋トレを始めました。妹のぎんさんが一人で歩くのを見て、当時、車イスだったきんさんは、「どうしても自力で歩きたい」と、私のところに通うようになったのです。

そして3ヵ月後には、院内を杖なしでスタスタ歩いていました。そればかりか、軽度の認知症も改善したのです。

ですから、やり方さえ間違えなければ、お年寄りでも筋トレはできるのです。そのとき大事なことは、「今から鍛えるよ」とあらかじめ脳に知らせておき、筋肉をゆっくり動かすことです。不意に、瞬間的に力を入れることが、危険なのです。

久野先生は成田きんさんの筋トレも指導

腰やひざの痛みも取れる!

筋トレで、私が必ず皆さんに指導しているものの一つに、「ふくらはぎストレッチ」があります。

これは、ストレッチボードという角度のついた板に乗るだけの、高齢者にも無理なくできる運動です。ストレッチボードがなくても、米袋を風呂敷や枕カバーで包んだ「おもり」で代用できます。

おもりの作り方や、ふくらはぎストレッチのやり方は下の図で紹介しますが、これをするとふくらはぎが伸びます。そしてボードから降りると、ふくらはぎがゆるみます。

この、「伸ばす・ゆるめる」という動きによって、質のよい筋肉をつくることができるのです。

質のよい筋肉とは、柔らかい、弾力のある筋肉です。筋肉が硬くなると、血管が圧迫されて血行が悪くなります。すると、痛み物質の乳酸や老廃物がたまって筋肉がよけい硬くなり、痛みが出てきます。ですから、まず筋肉を柔軟にすることが大事です。

特に足は、「第二の心臓」といわれるくらい重要な筋肉です。動脈は心臓の拍動で血液が流れますが、末端から心臓に戻る静脈は、筋肉の動きによって流れます。筋肉に力を入れると、静脈の血管が圧迫されて血液が上に押し流され、筋肉をゆるめると、逆流弁によって流れが止まります。

この筋肉の収縮・弛緩というポンプ運動によって、血液は心臓に送り返されています。なかでも、心臓から遠い下肢(足)の血液を流すのが、ふくらはぎや太ももの筋肉です。

ですから、ふくらはぎの筋肉が質のよい筋肉になると、全身の血流がよくなっていきます。すると新陳代謝が活発になり、体が引き締まってきます。

血流がよくなれば、乳酸などが速やかに回収されるので、腰痛、ひざ痛などの痛みも取れ、こむら返りもなくなります。下肢にたまった血液や水分(組織液)も戻されるので、むくみも解消するのです。

ふくらはぎストレッチは、おなかを引っ込め、お尻が後ろに出ないようにしないと、まっすぐ立てません。ですから、これをしていると背すじが伸びて、姿勢がよくなります。そして続けていると、体のバランスが整って、スッキリした体形になってくるでしょう。

かかとの高い靴をはく女性は、ふくらはぎが縮んで硬くなっています。ですから、お年寄りだけでなく、女性も年齢を問わず、ふくらはぎストレッチを習慣にして、筋肉の質を高めていただきたいと思います。

おもりや台を使ってふくらはぎを伸ばす

ふくらはぎストレッチのやり方

【おもりの作り方】
2kg入りの米袋を、風呂敷(ふくさなどでもよい)で包み、両サイドをしっかり結べば出来上がり。

【やり方】
床におもりを置き、おもりの上に両足のつま先を乗せる。
そのまま、かかとに重心がかかるようにして、まっすぐ立つ。ふくらはぎの筋肉が伸びているのを意識しながら、3分間立つ。
※最低朝晩1回ずつ行う。

ストレッチボードを使う場合は、10〜15度の傾斜から始めるとよい。

毎日続けて行うことが大切

「ふくらはぎストレッチ」は、ストレッチボードに乗ってふくらはぎを伸ばすという、簡単なストレッチですが、ストレッチボードがなくても、身近にあるさまざまな物で代用できます。

私は米袋を利用した手作りの「おもり」を勧めていますが、足踏み用の竹や、電話帳などを利用してもいいでしょう。要は、つま先がかかとより上に向く姿勢で立てればいいのです。

まず、米袋を使ったおもりの作り方を説明します。2kgの袋入りの米と、風呂敷(ふくさなどでもよい)、または米袋が入る大きさの枕カバーを用意します。

①広げた風呂敷の中央に米袋を置き、中身が均等になるようにならす。
②風呂敷を対角に折って米袋を包み、両サイドをしっかり結ぶ。
枕カバーの場合は、枕を入れる要領で米袋を入れ、余った部分を折って使います。
このおもりは、角度を調整するために、二つ作っておくと便利です。

《ストレッチのやり方》
①床におもりを置き、おもりの上につま先を乗せる。足の幅は、おもりの幅以内で、立ちやすいように開いてよい。
②そのまま、かかとに重心がかかるようにしてまっすぐ立つ。ふくらはぎの筋肉が伸びているのを意識しながら、3分間立つ。

これを最低、朝晩1回ずつ行います。気を付けてほしいのは、ひざや背中をなるべくまっすぐ伸ばし、お尻が後ろに出ないようにして立つことです。ひざが曲がったり、背中がゆるんだりすると、ふくらはぎが伸びず、効果が半減します。

足腰が弱ってまっすぐ立てない人は、テーブルなどにつかまりながら立つと、それが支えになって立ちやすくなります。また、転倒の防止にもなります。

初めのうちは、ふくらはぎが痛いかもしれませんが、ある程度痛くないと効果はありません。「イタ気持ちいい」ぐらいの角度で行ってください。

おもりの場合は、まず一つで試してみて、慣れてきたら、二つ重ねて角度を高くします。角度を変えられるストレッチボードを使う場合は、初めは15度程度でやってみましょう。それでも痛くてがまんできないようなら、10度からでも構いません。慣れるとだんだんふくらはぎが伸びるようになり、痛くなくなります。

また、ひざや腰の痛い人は、できる範囲で行ってください。あまり無理する必要はありませんが、痛くても続けるうちに、ひざや腰の痛みもらくになってきます。

これをすると、太ももの裏側からふくらはぎ、アキレス腱までを気持ちよく伸ばせます。また、血流がよくなるので、体がポカポカしてくるのが感じられるでしょう。

ふくらはぎストレッチは、テレビを見ながらでもできますから、1日2回といわず、気が付いたときにこまめに行うことをお勧めします。筋トレやストレッチは、何よりも続けることが大事なので、ぜひ毎日続けてください。

筋トレを勧める久野先生

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連記事
慢性腰痛は、さまざまな原因によって生じます。なかでも最大の原因と考えられるのが、普段の姿勢の悪さです。加齢や運動不足、パソコンやスマホなどの習慣によって、私たちの姿勢はひどく悪いものになっています。これが、腰に負担をかけているのです。【解説】岩間良充(鍼灸整骨院ホスピスト院長)
更新: 2019-06-15 18:00:00
「腰が痛い!」幅広い年齢層に蔓延する腰痛。しかし、病院に駆け込んで、骨や神経に異常が見つからない場合は「非特異的腰痛症」と診断されます。非特異的、つまり、原因不明の腰痛という意味。なんとも不思議な病名です。「腰が痛い」という異常があるから病院に来ているのに……。【解説】戸田佳孝(戸田リウマチ科クリニック院長)
更新: 2019-05-24 18:00:00
腰、ひざ、股関節の痛みに悩む患者さんは、後を絶ちません。痛みのきっかけはさまざまですが、原因はただ一つ、「体のねじれ」です。では、ねじれはどこから起こるのでしょうか。人間が立つとき、地面に唯一接しているのは足底(足の裏)だけです。【解説】内田泰文(豊中愛鍼灸整骨院院長)
更新: 2019-05-13 18:00:00
言われるがままバンドを巻き体を動かしてみたところ、腰とお尻の下の鈍い痛みがその場でスッと消えたのです。心底びっくりし「これはなんですか?」と関口先生に聞いたところ、43円療法と教えられました。私の体に43円療法は合っていると思います。体の痛みを自分で調整できるのはありがたいです。【体験談】奥田弘毅(仮名・無職・69歳)
更新: 2019-03-17 18:00:00
私は腰痛や座骨神経痛の痛みをもっとすっきり取る方法はないかと考えていました。これらの痛みは背骨や骨盤を矯正しても、多少改善されるだけで劇的にはよくなりません。試行錯誤を続けているうち、「大腿直筋」という筋肉が、硬くこわばっているために、腰痛などが起こっていることがわかったのです。【解説】関口志行(ツバサ整骨院院長)
更新: 2019-03-03 18:00:00
最新記事
玉ねぎが体によいのはよく知られたことですが、なかでも、血糖値を降下させる作用が注目されています。しかし、玉ねぎを毎日食べたくても、あのツンとする刺激臭が嫌で、玉ねぎ料理は苦手という人も多いでしょう。そこでお勧めなのが、玉ねぎドレッシングです。【解説】里見英子(里見英子クリニック院長)
更新: 2019-06-16 18:00:00
慢性腰痛は、さまざまな原因によって生じます。なかでも最大の原因と考えられるのが、普段の姿勢の悪さです。加齢や運動不足、パソコンやスマホなどの習慣によって、私たちの姿勢はひどく悪いものになっています。これが、腰に負担をかけているのです。【解説】岩間良充(鍼灸整骨院ホスピスト院長)
更新: 2019-06-15 18:00:00
手足の指は経絡の多く集まる重要なポイントです。なかでも見過ごせないのが、指の股です。ところが、年齢を重ねると、手足の指の股の皮膚がかたくなり、指が開きにくくなってきます。すると、気の流れが滞り、体にさまざまな障害が生じるようになるのです。【解説】留目昌明(和楽堂治療院院長)
更新: 2019-06-14 18:00:00
パンパンに張ったガス腹、何日たっても出ない便、つらいものですよね。気になって、仕事も家事も集中できない、という人も多いのでは。ここでは、簡単にでき、試したとたんに腸が動き出すストレッチを紹介します。【監修】市野さおり(看護師・米国SWIHA承認トウティーチャー)
更新: 2019-06-13 18:00:00
キウイフルーツに優れた血圧降下効果があることが、最近の研究でわかってきました。最大血圧だけでなく、最小血圧の改善にも有効です。「下が高い」という人は、ぜひ積極的にとってみてはいかがでしょうか。【解説】本橋登(元明治薬科大学理事・教授・薬学博士)
更新: 2019-06-12 18:00:00

ランキング

総合ランキングarrow_right_alt