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【人体の不思議】細胞が持つ「時計遺伝子」と高血圧の関係とは?

【人体の不思議】細胞が持つ「時計遺伝子」と高血圧の関係とは?

心筋梗塞などの心臓病が最も起こりやすいのは「冬の第1月曜日の朝」といわれています。体の中で24時間の時を刻む時計遺伝子があることが知られています。最新の研究で高血圧にも、この遺伝子が深く関わっているとわかってきました。時計遺伝子に関する新しい知識をぜひ生かしてみてください。【解説】大塚邦明(東京女子医科大学名誉教授 )

解説者のプロフィール

大塚邦明
東京女子医科大学名誉教授。1972年、九州大学医学部卒業後、九州大学温泉治療研究所助手、高知医科大学老年病学教室助手、東京女子医科大学東医療センター病院長・同大学内科教授を経て、2013年より東京女子医科大学名誉教授。
医学博士。日本循環器学会認定循環器専門医。時間医学・老年医学が専門。
著書に『「もっと時間を見る」と健康になる』(マキノ出版)など多数。

退職者でも月曜に心筋梗塞が多い

心筋梗塞などの心臓病が最も起こりやすいのは、「冬の第1月曜日の朝」といわれています。この場合の冬とは、11月から2月のことですが、皆さんは、これをどこまで信頼できる話だと思われるでしょう?

「朝」は血液が固まりやすい時間帯で、「冬」は、寒さによって血管が収縮し、血行が悪くなり、血圧が急上昇しやすくなります。高血圧の人は、確かに心筋梗塞になるリスクが高いのですが、なぜ、「月曜」なのでしょうか。

昔から、心臓病や脳卒中は土曜・日曜に少なく、月曜に多いことが知られています。理由としては、休み明けの月曜の仕事を考えて憂うつになる「ブルーマンデー症候群」のようなストレスが原因といわれてきました。

しかし、大阪医科大学の村上省吾医師と私たちが共同で行った研究から、血圧そのものが月曜の朝に上がりやすいことがわかりました。

朝、起床後の血圧が急激に上昇することをモーニングサージといいます。1週間を通じて、その度合いの変化を調べると、モーニングサージは、土曜・日曜に小さく、月曜に最も大きくなるのです。

また、いくつかの調査結果から、すでに退職した人たちにも、月曜に心筋梗塞の発症が多いとわかりました。曜日を気にしないはずの人にも、月曜が影響するのです。

こうした時間の周期が、体内時計の研究から、私たちの体のリズムと関係していることがわかってきました。

私たちの体の中で24時間の時を刻む時計遺伝子が、脳の視床下部の「視交叉上核」というところにあることがわかっています。これが、時を刻む親時計です。朝、太陽の光が目を通して視交叉上核に伝わると、約25時間周期で動いている体内時計がリセットされ、時刻合わせが行われます。

しかも、私たちの体じゅうの細胞それぞれにも、時計遺伝子、いわば子時計があることがわかっています。親時計が合わせた時刻情報は、全身の末端組織にある子時計へと伝えられ、こうして体が活動モードへと切り替わります。

心筋梗塞になるリスクは、「冬の第1月曜日の朝」が最も高い!

時計遺伝子を正しく働かせる3原則

さらに最新の研究では、高血圧にも、時計遺伝子の働きが深くかかわっていることがわかってきました。

血圧は、昼間に高く、夜に低くなりますが、この血圧の日内変動も時計遺伝子が主導しています。血圧の日内変動は、人によって個性があり、一人一人違うのです。そのパターンは、いくつかありますが、中でも注意を要するのが、夜の血圧と朝の血圧の差が大きい人です。

高血圧の人は、ご家庭でも血圧を朝晩計測し、自分の血圧の日内変動や週内変化の傾向を把握しておくといいでしょう。

具体的にいえば、夜に比べ朝の血圧が15mmHg以上上昇する人は、冬場の朝は要注意です。そうした人は、朝起きたときの室温が低すぎると、それが心筋梗塞などの引き金になります。ですから、起床時の室温は、ある程度以上の高さに保っておいたほうがよいのです。

寒い時期はエアコンのタイマーなどをセットしておき、起床時の室温が少なくとも12度以下にならないようにしておくといいでしょう。降圧剤を飲み忘れないようにすることも、特に冬場は大事です。

一般的にいって、生活リズムの乱れは、高血圧を引き起こす要因の一つとされています。いい換えれば、生活リズムを整え、体内時計を正しく働かせることは、高血圧の予防・改善のためにも役立つのです。

時計遺伝子を正しく働かせるための大きな原則は、三つあります。
①朝起きたら、太陽の光を浴びる。
②朝食をきちんと食べる。
③夜、寝室を真っ暗にして眠る。


この3原則は、高血圧の予防・改善のために、あるいは冬場の朝の心筋梗塞の予防のためにも、ぜひお勧めしたいと思います。

また、夜、ラベンダーの香りをかぐと、交感神経(自律神経の一つで体を活動的にする神経)が抑制され、血圧が下がります。このため、ラベンダーの入浴剤を使ったり、入浴後のスキンケア用品にラベンダーの香り入りを利用したりすることなども、血圧をコントロールする工夫の一つとして取り入れてみてください。

冒頭の話に戻れば、なぜ「月の第1週の月曜」が危険なのでしょうか。その理由は、実はまだ、よくわかっていません。

時計遺伝子は、季節の移り変わりを感じ取り、体の微調整を行っています。まだ発見されていませんが、7日というリズム(正確にいえば、3.5日)を感じる時計遺伝子があるといわれています。月曜や第1週といった要素についても、未発見の時計遺伝子がそれに合わせて調整している可能性もあります。

時計遺伝子に関する新しい知識を、皆さんもぜひ健康維持のために生かしてみてください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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