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大学の研究で判明!タマネギに含まれるケルセチンが動脈硬化・がんを抑制する

大学の研究で判明!タマネギに含まれるケルセチンが動脈硬化・がんを抑制する

実験の結果から、タマネギのケルセチンを継続的にとっていると血管内皮細胞の機能が健全に働き、NO(一酸化窒素)と活性酸素の結合を防ぎ高血圧や動脈硬化の抑制につながると考えられます。血管年齢に換算すると10〜20歳若返った状態に相当します。【解説】東幸仁(広島大学病院未来医療センター長・広島大学原爆放射線医科学研究所教授)

解説者のプロフィール

東幸仁(ひがし・ゆきひと)
広島大学病院未来医療センター長。広島大学原爆放射線医科学研究所教授。
広島大学医学部卒業。専門分野は、血管再生医学、血管機能、高血圧、循環器内科一般。医学部研修後、総合病院福島生協病院循環器内科医師として3年間勤務。その後、広島大学循環器内科へ着任。高血圧グループに所属して、一貫して血管とかかわっている。

活性酸素の抑制効果を実験で確認!

身近な野菜の中でも、季節を問わず入手でき、幅広い料理に使える「タマネギ」。
タマネギは、血圧、血糖値の降下、動脈硬化の抑制、がん予防など、さまざまな薬効をもつことでも知られています。その中心となる成分が「ケルセチン」という抗酸化物質(酸化を防止する物質)です。

私たちの体内では、生活環境や食事の影響などで、有害物質である活性酸素(体内で増えすぎると細胞を傷つけ老化の一因となる物質)が、絶えず発生しています。活性酸素は、細胞を傷つけて、動脈硬化やがんのリスクを高めたりと、体内でさまざまな悪さをします。

その活性酸素を抑制する効果が、タマネギに豊富に含まれるケルセチンにあることを、私たちは実験で確かめました。その実験内容と結果について、ご紹介しましょう。

今回、私たちが着目したのは、血管のいちばん内側の細胞である、血管内皮細胞に対して、タマネギのケルセチンがどのような効果をもたらすかということでした。

血管内皮細胞は、たった1層の薄い層ですが、全身の血管内皮細胞を集めるとテニスコート6面分、1列につなげると10万㎞にもなる、かなり大きな臓器です。
単に血管の内側を覆っているだけではなく、体内に作用する化学物質を分泌し、血管の状態を正常にコントロールしています。

血管内皮細胞から分泌される物質の中でも、特に重要なのが、NO(一酸化窒素)です。 血液が血管内をスムーズに流れているときは、血管内皮細胞から順調にNOが分泌されます。すると、血管が拡張され、血流がよい状態に保たれるので、むやみに血圧が上がることはありません。

ところが、ここで悪さをするのが活性酸素です。食事をして血糖が上がったときや、血中コレステロールが増えたときなどは、血液中に大量の活性酸素が発生します。すると、その活性酸素は分泌されたNOと結合し、本来の作用である血管の拡張をせず、逆に血管を収縮させ、血圧が上がりやすくなるのです。

そのうえ、NOと結合した活性酸素は、超悪玉である「ペルオキシナイトライト」という物質に変わります。これは毒性の強い物質で、血管内皮細胞を傷つけて、動脈硬化を加速度的に進めてしまうのです。こうした状態を防ぐために、タマネギのケルセチンがどのように役立つか、私たちはハウス食品と共同研究を行って調べました。実験の方法は、以下のとおりです。

血管年齢が10~20歳若返った

22人の健康な男性(平均年齢44歳)に、1ヵ月間、毎日、ケルセチン51㎎を含む濃縮タマネギエキスをとってもらいました。そして、摂取前と1ヵ月後に、血管内皮細胞の機能を測定する検査を行い、数値を比較したのです。

血管内皮細胞の機能は、FMDという数値で表され、正常値の目安は6%以上です。この数値が高いほど、血管内皮細胞の機能は健全であり、血管がしなやかに拡張して、高血圧や動脈硬化が進みにくいことを意味します。

しかし、5%未満になると、血管内皮細胞の機能の障害により、高血圧や動脈硬化のリスクが高まると考えられます。

実験の結果、被験者のFMDの平均値は、空腹時で6.4%から1ヵ月後は7.2%。食後(食事の1時間後)では5.1%から1ヵ月後は6.7%へと、いずれも正常値内に改善しました。

この結果から、タマネギのケルセチンを継続的にとっていると、血管内皮細胞の機能が健全に働き、NOと活性酸素の結合を防ぎ、高血圧や動脈硬化の抑制につながると考えられるのです。

この実験で見られた改善の度合いは、薬と同程度であり、血管年齢に換算すると、10〜20歳若返った状態に相当します。

これは健康な被験者による実験結果ですが、高血圧や高血糖で、もともと血管内皮細胞の機能が低下している人なら、さらに大きく改善する可能性があるでしょう。

特に、糖尿病の人は、高血糖の状態が続くことで、血管内で活性酸素が発生しやすい状態にあります。その結果として動脈硬化が進み、合併症を起こしやすくなるのですが、それを抑えるために、タマネギのケルセチンが役立ちます。

また、前述したように、活性酸素は細胞の遺伝子を傷つけるため、発がんの大きな要因にもなります。強い抗酸化作用を持つケルセチンは、その抑制にも力を発揮するのです。

以上のことからわかるように、がんの予防、高血圧、糖尿病、動脈硬化の改善などを目指す人にとって、日頃からタマネギを食べることは、たいへん手軽で、効果的な方法と言えるでしょう。

摂取量は1日200g、水にさらさないこと

では、健康効果を期待してとる場合、どのくらいのタマネギを、どのようにとればよいでしょうか。
私たちの行った実験で、被験者が1日にとったタマネギエキスには約50㎎のケルセチンが含まれていました。これは、200g程度のタマネギに含まれる量に相当します。ケルセチンの含有量は、タマネギの品種などによって多少異なりますが、目安としては、1日に180〜200g(中サイズ1個程度)のタマネギを食べればよいでしょう。毎日食べるのがベストですが、週3〜4日、1日おきくらいのペースでとっても、十分と考えられます。

タマネギのケルセチンは、調理法によって量が変化します。無駄なくとるために、最も注意しなければならないのは、「水にさらさないこと」です。ケルセチンは水に溶けやすいため、タマネギを切った後に水にさらすと、その水に溶け出してしまうからです。

辛味などを緩和するためにどうしても水にさらしたいときは、その水を捨てずに、汁物などに有効利用するとよいでしょう。タマネギをみそ汁やスープなどの具にすれば、ケルセチンの溶け出した汁ごととれるので、お勧めです。

また、タマネギを切った後、水にさらさないで、15分ほど放置して、空気に触れさせておくと、ケルセチンが5%ほど増えることがわかっています。 
さらに、ケルセチンは、加熱には強い成分です。特に油で炒めたり、揚げたりすると、こちらも5%ほど増えることがわかっています。揚げものはカロリーのとりすぎになる恐れがありますが、少量の油で炒めるのは、タマネギの甘味も引き出せて、よい調理法です。

じつは、タマネギは、茶色い皮にもケルセチンが豊富に含まれています。皮は食べられませんが、皮を煮出して飲むいわゆる「タマネギの皮茶」は、ケルセチンを無駄なくとれる方法です(分量は水1ℓに対しタマネギ2個分)。タマネギ茶は、1日に2~3杯を、食事の前か後に飲むとよいでしょう。

また、タマネギのケルセチンによる健康効果を期待する場合、通常の食事の中でとることをお勧めします。私たちが食事をとるたびに、体内で活性酸素が増えるので、それを効率よく抑えることができるからです。

身近なタマネギが、皆さんの健康の大きな手助けとなるはずです。ぜひ上手にお役立てください。

この記事のエディター

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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