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【耳にカイロ】全身の血流をアップする「耳の温め方」 脳血栓や高血圧、糖尿病の改善に

【耳にカイロ】全身の血流をアップする「耳の温め方」 脳血栓や高血圧、糖尿病の改善に

私のクリニックでは温熱療法を取り入れています。体が温かくなると自律神経の働きがよくなり、内臓の機能が改善するからです。すると、免疫力が高まって生活習慣病であるガンはもとより、精神疾患、慢性疲労症候群や線維筋痛症などの難病に至るまで治療効果が現れます【解説】班目健夫(青山・まだらめクリニック 自律神経免疫治療研究所院長)

脳の血流がよくなり脳血栓を防ぐ

 私のクリニックでは、さまざまな病気の治療に温熱療法を取り入れています。体が温かくなると、自律神経の働きがよくなり、内臓の機能が改善するからです。すると、免疫力が高まって、生活習慣病であるガンはもとより、精神疾患、慢性疲労症候群(原因不明の強度の疲労が長期間、継続する病気)や線維筋痛症(全身に激しい痛みが生じる原因不明の病気)などの難病に至るまで治療効果が現れます。

 特に冬場は、日常的に体を温めて冷えを解消し、全身の血流をよくすることが大切です。その際、どの部位を温めたらいいのかは、その人の症状によって異なります。ただし、多くの症状に効果が現れやすい部位は、耳です。ですから、耳を温めるのがお勧めです。

 耳には、全身のあらゆるツボが集まっています。さらに、耳には脳神経である迷走神経(運動神経や知覚神経および、自律神経の副交感神経を含む混合神経)が走っています。そのため、耳を温めると迷走神経を介し、気管支や食道、心臓、胃、腸などの、内臓機能の働きが活性化するのです。
 これにより、便秘や下痢、頭痛や胃痛、心臓疾患や呼吸器疾患を予防することができます。さらに、内臓の働きがよくなれば、全身の血行も改善されて、全身に活力がみなぎり、疲れにくい体になります。

 耳を温めることは、うつ病や不眠症などの精神疾患にも、有効です。これらは、脳の血流障害が大きな原因ですが、耳を温めると脳全体の血液循環がよくなり、症状が改善するのです。
 実際、うつ病や不眠症の患者さんの耳を温めると、すぐに効果が現れます。それは、精神科で処方された抗うつ剤よりも、効きめが早いほどです。「気分が落ち着く」「不安感が軽減する」「眠りやすくなる」といった声を多く聞きます。

 また、耳鳴りや難聴、三半規管(内耳にある平衡感覚をつかさどる器官)の障害によるめまいといった、耳にまつわる疾患にも効果が期待できます。これらも、脳の血流がよくなることで改善するのです。
 そのほか、耳を温めて、脳の血流をよくしておくことは、脳血栓や高血圧、糖尿病などの予防や改善にもつながります。

気持ちいいと感じると免疫力が高まる

 ところで、私のクリニックでは、お灸で耳を温めています。耳にお灸をすると、ゆっくりと熱が体に入っていき、悩んでいた症状がびっくりするほど早く改善するのです。しかし、この方法を家庭で行うのは、難しいことでしょう。

 そこで、家庭でも簡単に実行できる耳の温め方を、いくつかご紹介することにしましょう。
 まず、湯たんぽ、またはホットパット(電子レンジで温める温熱器具)を使って温める方法です。耳を中心に顔の側面に当て、じっと温めてください。両耳で5~10分も温めると、全身が温まり、快適になります。熱すぎたり、熱いのを我慢したりすることで、ヤケドしないように、注意してください。

 次に、使い捨てカイロを用いる方法です。カイロで、耳の表側と裏側の両方を温めます。これを両耳で行ってください。時間は、片耳で2~3分当てるのが目安です。こちらもヤケドに注意してください。
 さらに、ドライヤーで温めてもいいでしょう。ドライヤーの温度を弱から中に設定し、耳から10cmくらい離して温風を当てます。耳が「アチチッ」と感じたら終了です。時間にすると、10秒ほどでしょうか。反対側の耳も温めます。

 また、耳をマッサージするのも効果的です。両手で両耳のあちこちを、グニャグニャと折りたたむようにして刺激します。耳が温かくなって、気持ちよく感じるまで続けてください。

 これらの方法のうち、どれをやってもけっこうです。いちばん気持ちいいものを習慣にするといいでしょう。首の血流もよくなり、首のこり、頭痛も楽になるはずです。
 特に、就寝前に温めると、昼間の冷えが取れて眠りやすくなります。翌朝には、顔の血流もよくなって、美肌効果も得られるでしょう。

 冬場は、外出時に耳を冷やさないことも重要です。耳当てや毛糸の帽子をかぶるなどして、防寒に努めましょう。
 体が温まって、「気持ちいい」と感じると、内臓の働きを支配する自律神経のうち、副交感神経が優位になります。すると免疫力が高まるので、ぜひ自分に合った温め方で、しっかりと冷えを撃退してください。

班目健夫
1954年、山形県生まれ。岩手医科大学大学院にて、医学博士号取得。現在、青山・まだらめクリニック自律神経免疫治療研究所院長。著書に『「湯たんぽを使う」と美人になる』(マキノ出版)などがある。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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