血圧の上昇を抑制し 骨を丈夫にする
私たちが食べたものが自分の血となり、肉となる以上、食事の内容が体の健康に極めて重要であることは、今さらいうまでもありません。
私も日ごろから、食生活には注意しています。私の場合、かつて重い肝炎を患い、なんとか回復した後に、「もっと免疫力(病気に対する抵抗力)をアップさせなくてはいけない」と考えたことが、食生活を見直すきっかけでした。
なるべくこまめに摂取しようと心掛けている食材はいくつかありますが、そのうちの一つが干しシイタケです。
まず、シイタケに含まれる主な成分には、エリタデニン、βグルカン、レンチナン、ビタミンB₂、ビタミンD、食物繊維などがあります。
それぞれの効能を、簡単に説明していきましょう。
まず、エリタデニンは、肝臓で作られるコレステロールの量を調整する働きを持ちます。
コレステロールには動脈硬化を招く悪玉コレステロール(LDL)と、逆に動脈硬化を抑える善玉コレステロール(HDL)がありますが、エリタデニンは前者を抑制し、後者を増やすことから、動脈硬化予防にパワーを発揮します。あるいは、血圧の上昇を抑制する効果なども期待されています。
βグルカンは、キノコ類や酵母類などに含有される成分で、免疫力を高める作用があります。
シイタケの場合、βグルカンの一種であるレンチナンが、特に豊富に含まれます。レンチナンには抗腫瘍作用があり、ガンの発生・進行を抑えるリンパ細胞を活性化させる作用や、免疫力の強化作用を持ちます。
続いてビタミンB₂は、主に皮膚や粘膜の健康維持を助け、造血の工程でも欠かせません。
同じビタミンでも、ビタミンDは骨を丈夫にする働きを持ちます。日光の紫外線を浴びると、皮膚内でも作られます。
また、加齢によって起こりがちなひざなどの痛みにも効果がある、と唱えていらした医師もかつていたようです。これはシイタケのビタミンDによる造骨作用が、多少関係しているのかもしれません。
最後に食物繊維は、ご存じのとおり便秘の予防・改善につながるほか、ガンの予防にも効果が期待できます。
さて、ざっと挙げただけでも、シイタケにどれほど高い栄養価があるかが、ご理解いただけたことでしょう
シイタケ氷はこんなにいい!

簡単に作れる上に 保存性がよくなる
しかも、シイタケは干すことで、栄養価がさらにアップするというのも大きな特長の一つです。生シイタケを100g取ることと、干しシイタケを10g取ることとで、摂取できる栄養の分量は同じくらいともいわれるほどです。
先ほど挙げた成分のうち、ビタミンD以外はすべて水溶性なので、干しシイタケの戻し汁で摂取することも効果的。もちろん、一緒に戻したシイタケも食べると、なおよいでしょう。
わが家では、週に何度か干しシイタケを使った料理が食卓に並びます。といっても、変わったものではありません。
水で戻した干しシイタケと、その戻し汁を使って、野菜の煮物やみそ汁を作ることが多いのです。
そう頻繁に食べるわけではないものの、干しシイタケとその戻し汁には栄養が凝縮されているため、大量摂取する必要がありません。
現に、シイタケをはじめとして食生活のバランスを考えているおかげでもありますが、私は健康そのもの。コレステロール値も正常ですし、これといった持病もありません。
遺伝なのか、若いときから今に至るまで血圧が高めではありますが、極端に上がることもなく「標準よりやや高い」くらいのレベルで安定しています。
健康に不安を抱える人、今の元気を維持したい人は、おいしくて手軽に栄養を摂取できる干しシイタケを、ぜひ常食するようにしてほしいものです。
そのためにも、戻し汁を凍らせて作る「シイタケ氷」は非常によいアイディアだと思います(基本的な作り方は下記参照)。
簡単に作れる上に、保存性がよくなることで、いつでも、干しシイタケを取ることができるのでぜひお試しください。わが家でも、早速、取り入れ食生活にいかしています。
シイタケ氷の作り方


解説者のプロフィール

シイタケ氷を勧める蔵方先生
蔵方宏昌
1942年東京都生まれ。安方クリニック院長。
東洋医学と西洋医学、双方の視点から、部分的にではなく全身の診療を行っている。