上下にさするだけで 耳全体の機能が高まる!
昨今、耳鳴りや難聴の症状にお悩みのかたが多くなっています。私の治療院にも、連日、耳の不調を抱えた多くの患者さんが来院されますが、その大半が病院で診てもらったものの改善しなかったかたがたです。
私の治療院では、反応点治療を用いた方法を実践し、病院やほかの治療院でよくならなかった人たちの症状に対しても大きな成果を上げています。
反応点といっても、皆さんご存じないかと思います。これは、私の師である反応点治療研究会の河村廣定先生が確立した概念であり、治療法です。
反応点治療の考え方によると、血管や臓器、筋肉といった体のあらゆる器官は、自律神経を介して皮膚に情報が現れるとされています。自律神経とは、私たちの生命活動の根幹を担っている最も中枢的な神経だとお考えください。
例えば、あなたが消化不良でお困りで、胃腸の働きが悪くなっているとしましょう。すると、胃腸の状態が自律神経を介して、胃と腸に適応した皮膚上に反応として現れます。そこだけ皮膚の弾力が低下し、触れると指が皮膚に吸い込まれるようになるのです。これが、反応点です。反応点とは、東洋医学の一般的なツボとは異なり、自律神経の働きによって生じる生理的な反応といえます。
簡単!耳たぶさすって耳鳴りやめまいが改善
耳鳴りやめまいなどの多くは、耳の内部にある組織の不調が根本的な原因です。耳の反応点はどこかというと、それは、耳の周辺部に点在しています。耳たぶと呼ばれる場所のつけ根辺りに、内耳点、中耳点、外耳点があります(次項画像参照)。
内耳、中耳、外耳とは、それぞれ耳の組織の名称です。
反応点は、刺激を加えることで、適応する器官の働きを高めることができます。つまり、内耳点、中耳点、外耳点を刺激すれば、耳全体の機能が高まり、耳鳴りやめまいといった症状の改善につながるのです。
その方法として、最も簡単で高い効果を上げているのが、「耳たぶさすり」です。人差し指と中指で耳たぶのつけ根辺りを軽くはさんで、上下にさするだけ。誰でもどこでも行える、とても簡単なセルフケア法です。
耳たぶさすりは、あまり力を入れ過ぎないようにしてください。軽く触れる程度の力で、20秒ほど上下にさすりましょう。
これを1日に数回行うことで、内耳、中耳、外耳それぞれの働きが高まり、耳鳴りやめまいの改善が期待できます。
もし、片方の耳にしか症状がなかったとしても、必ず両耳を同時に刺激しましょう。
耳たぶさすりのやり方

2週間のハワイ旅行にも 行けるようになった!
私は患者さんに対し、耳たぶさすりを必ず指導するようにしていますが、やはり改善効果が高いのは、毎日根気よく続けるかたです。
例えば、50代後半の女性Aさんです。Aさんはメニエール病を患い、一度病院に入院されました。しかし症状はよくならず、退院後もめまいがひどくて日常生活もままならなかったといいます。仕事にも復帰できずに、そのまま引きこもり状態になってしまったそうです。
当院に来たのは、そのあとです。めまいのせいで車を運転することができなかったので、家族が運転する車で来院されました。
通院治療に加え、耳たぶさすりを指導し、自宅で毎日行ってもらいました。毎日熱心に続けたことが功を奏したのでしょう。徐々に症状は快方へと向かい、3ヵ月ほどで職場に復帰できるまでに回復。めまいの症状はほとんど起こらなくなっていました。
治療開始から5ヵ月後には、全くめまいは起こらなくなり、みごとに完治したのです。2週間にわたる長期のハワイ旅行にも出かけられるようになったと喜んでおり、そのときのうれしそうな顔が印象的でした。
耳鳴り、頭痛、吐き気が改善!
耳鳴りやめまいは、中高年がかかる病気だと思われがちですが、若くして発症するかたも少なくありません。
女子高校生のBさんもその一人。Bさんは、鼻炎を発症したのがきっかけで、左耳にキーンという高音の耳鳴りが響くようになりました。加えて、頭痛や吐き気もあったといいます。
当院に来られ、治療とともに、耳たぶさすりを毎日行うように指導しました。4ヵ月経過した現在も治療中ですが、耳鳴りは、ほとんど起こらなくなりました。頭痛や吐き気も感じなくなったといいます。
このお二人からもわかるように、治療に大事なことは、1日に何度も行って根気よく毎日継続することです。皆さんも耳たぶさすりを習慣にして、健康な耳を取り戻しましょう。
解説者のプロフィール

「毎日続けてください」と武智先生
たけちはり灸院院長
●たけちはり灸院
名古屋市名東区一社2-142-2 ユニーブルパークサイドマンション1階
TEL 052-753-7716
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