全身の血流アップ! 耳鳴り、めまい、難聴に【ふくらはぎマッサージ】

全身の血流アップ! 耳鳴り、めまい、難聴に【ふくらはぎマッサージ】

内耳の血管はクモの巣のように細く、ストレスやカゼの症状、気圧の変化などでむくんでしまい、血行不良を起こしやすいのです。内耳のむくみは、めまいの原因にもなります。実際に、耳鳴りやめまいの患者さんは、5~6月、9~10月といった季節の変わり目が多いのです。【解説】坂田英明(埼玉医科大学客員教授・川越耳科学クリニック院長)


内耳の血管は細くて むくみやすい!

 私たちはふだんから、「音が聴こえてあたりまえ」と思いがちですが、そのメカニズムをご存じでしょうか。
 音というのは、わずかな空気振動が耳に入ることでキャッチされます。鼓膜が震え、中耳でその振動が増幅されて、内耳に入ると、蝸牛の中に満ちたリンパ液を揺らします。

 ここで空気振動が液体の振動に変わり、1万5000個の有毛細胞により、今度は電気信号に変換されます。信号は、周波数や強さに応じて分類されたあと、3万本の神経を伝って、最終的には脳の側頭葉に届き、知覚・認知されます。実に繊細で精密なしくみなのです。

 耳鳴りや難聴というのは、この経路のどこかに異常がある状態です。どこか、といっても、トラブルが起こっているのは、ほとんど内耳です。内耳からくる耳鳴りは、一般に、有毛細胞の摩擦が起こったあとの神経の異常興奮です。金属音や電子音に似た、キーン、ピーン、カチカチ……といったような音を感じやすくなります。
 少し難しい話になりますが、内耳に伝わった振動エネルギーを有毛細胞まで運んでいるのがカリウムイオン。そして、内耳の一酸化窒素です。

 では、どうすれば必要十分な量の一酸化窒素を、内耳に届けられるのか。「血流をよくする」というのがその答えです。
 ところが、そう容易にはいきません。なぜなら、内耳の血管はクモの巣のように細く、ストレスによる負荷やカゼの症状、気圧の変化など、ほんのわずかな影響でむくんでしまい、血行不良を起こしやすいのです。内耳のむくみは、めまいの原因にもなります。

 実際に、耳鳴りやめまいの患者さんは、5~6月、9~10月といった季節の変わりめに症状を訴えることが圧倒的に多いこともわかっています。
 内耳を子会社とするなら、脳幹や脳は親会社にたとえられます。トラブルが起こっている場所が内耳でも、脳の血流悪化がその一因になっている場合も往々にしてあります。
 ですから、耳鳴りやめまい、難聴の治療には、体内の循環をよくしてむくみを解消し、脳を含め全身の血流を極力改善することが、大前提です。

内耳のむくみを取る「寝る前4原則」

 内耳のむくみを取り、血流をよくするためにクリニックで患者さんに指導している「寝る前4原則」をご紹介しましょう。

❶ふくらはぎマッサージをする
 まず、寝る前の「ふくらはぎマッサージ」をお勧めします。代謝をよくしてむくみを取り、内耳のリンパ液や血液の循環をよくするのに役立ちます。特に下肢は重力の関係で、血液が心臓に戻りにくいので、下から上に、優しくさすり上げるように行うといいでしょう。

❷寝る3時間前に夕食を終える
 食後は、消化のため胃腸に血液が集中するので、脳に十分な血液が行き渡らなくなります。脳の血流が悪いまま眠りにつくと、日中にダメージを受けた神経が修復されず、耳鳴りや難聴の要因になります。夕食は、遅くとも寝る3時間前までに食べ終わるようにしましょう。

❸コップ1杯の水を飲む
 高齢のかたは、夜中にトイレに起きるのを嫌がり、水分の摂取を控えがちです。血流が滞ると耳鳴りなどの症状の悪化を招きます。特に入浴前と就寝前には、コップ1杯の水を欠かさないようにしましょう。

❹ぬるめのお湯で半身浴をする
 入浴の際は、38~40度のお湯で半身浴をしましょう。熱いお湯に肩までつかるのは、心臓に負担がかかり、内耳にも刺激が大きいのでNGです。ぬるま湯につかってリラックスすれば、ストレスも軽減されます。そうした面からも、耳鳴りやめまいの改善に有効です。

 患者さんには、この4原則の実行に加え、耳鳴り・めまい・難聴を起こしやすい要素を、できるだけ排除してもらうよう努めます。
 例えば、「喫煙」「カフェインを含む飲み物」「有機溶剤を使った毛染め」などは控えるに越したことはありません。
 なお、薬の内服でも難治な耳鳴りには、筋肉注射や、鼓室内注入療法といった治療法もあります。
 いずれにせよ、原因となるあらゆる可能性を探り、すぐ生活を改める。強い意思を持ちセルフケアに取り組むことができれば、耳鳴りの音は必ず小さくなります。決してあきらめないでください。

坂田英明
埼玉医科大学卒業後、帝京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科助手を務める。ドイツ・マグデブルグ大学耳鼻咽喉科研究員、埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科副部長、目白大学保健医療学部言語聴覚学科教授を経て、2016年より川越耳科学クリニック院長。『耳鳴りは1分でよくなる』(マキノ出版)など、著書多数。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

関連する投稿


【足裏マッサージの効果】もんで血流をよくすると体の不調は解消できる! 難しく考えないのがポイント

【足裏マッサージの効果】もんで血流をよくすると体の不調は解消できる! 難しく考えないのがポイント

立ったり、歩いたり、走ったり……人が生きている間、ずっと体重を支えている「足」は「第2の心臓」と呼ばれるほど脳や体、心に関与している部位です。足を正しく、しっかりケアすることが健康寿命を伸ばすうえで何よりもたいせつなことなのです。【解説】行本昌弘(官足法友の会会長)


【足裏のもみ方】認知症や突発性難聴が改善した!コツは足指まで「すきまなく、深く」

【足裏のもみ方】認知症や突発性難聴が改善した!コツは足指まで「すきまなく、深く」

足をもむ官足法は自分でできます。実践すれば必ず健康になります。「足をもめば健康になる。よくなるまでやり抜く」という自信と強い気持ちを持ち、ぜひ足もみを健康づくりにお役立てください。ここでは、脳・目・耳に効く足のもみ方をご紹介しましょう。【解説】行本昌弘(官足法友の会会長)


出そうで出ない頑固な便秘で太ももが太くなる?大腸洗浄のプロ考案「腸もみ」のやり方

出そうで出ない頑固な便秘で太ももが太くなる?大腸洗浄のプロ考案「腸もみ」のやり方

私の元へ駆け込む人は、すでに自己流では改善できないほどひどい便秘になっている場合がほとんど。特に40代以上になると、加齢や運動不足で腸を支える筋力が衰えて、腸が下がってしまうことがよく起こります。そうなると、余計に自力での排便が困難になってしまうのです。【解説】齊藤早苗(看護師・コロンハイドロセラピスト)


【イライラ解消】イライラが止まらない症状に効果「耳ひっぱり」で自律神経を整える

【イライラ解消】イライラが止まらない症状に効果「耳ひっぱり」で自律神経を整える

耳には全身に関係するツボが集まっていますので、耳ひっぱりは生命維持に重要な領域すべてを活性化し、心身を癒してくれる素晴らしいセルフケア方法です。ぜひ日々活用していただきたいと思います。【解説】土肥雪彦(あかね会土谷総合病院顧問・広島大学名誉教授)


【視力回復体操】背伸びをして背骨のゆがみを矯正すると視力低下を予防できる

【視力回復体操】背伸びをして背骨のゆがみを矯正すると視力低下を予防できる

姿勢をよくして、神経や血液の流れを促すことが、目を根本からよくすることにつながるのです。根本から目の改善を促すために、背伸ばし体操を活用されるとよいでしょう。【解説】本部千博(ほんべ眼科院長)


最新の投稿


【足裏マッサージの効果】もんで血流をよくすると体の不調は解消できる! 難しく考えないのがポイント

【足裏マッサージの効果】もんで血流をよくすると体の不調は解消できる! 難しく考えないのがポイント

立ったり、歩いたり、走ったり……人が生きている間、ずっと体重を支えている「足」は「第2の心臓」と呼ばれるほど脳や体、心に関与している部位です。足を正しく、しっかりケアすることが健康寿命を伸ばすうえで何よりもたいせつなことなのです。【解説】行本昌弘(官足法友の会会長)


【足裏のもみ方】認知症や突発性難聴が改善した!コツは足指まで「すきまなく、深く」

【足裏のもみ方】認知症や突発性難聴が改善した!コツは足指まで「すきまなく、深く」

足をもむ官足法は自分でできます。実践すれば必ず健康になります。「足をもめば健康になる。よくなるまでやり抜く」という自信と強い気持ちを持ち、ぜひ足もみを健康づくりにお役立てください。ここでは、脳・目・耳に効く足のもみ方をご紹介しましょう。【解説】行本昌弘(官足法友の会会長)


【男性不妊の原因と治療法】妊活中の男性 禁欲しても精子は増えず タイミングと回数がカギ

【男性不妊の原因と治療法】妊活中の男性 禁欲しても精子は増えず タイミングと回数がカギ

何回も射精をくり返すと精子の数が減る、という心配は無用です。禁欲期間が長すぎると、精子の運動率が低下するうえ、精子のDNA損傷率も高くなることがわかっています。【解説】今井健(GAIA鍼灸整骨院院長・柔道整復師・鍼灸師) 【監修】吉田壮一(よしだレディースクリニック院長)


眼科医推奨「視界スッキリ薬膳」目の不調を改善する食品とは

眼科医推奨「視界スッキリ薬膳」目の不調を改善する食品とは

目にまつわる多くの症状の根本原因は、血液の質と血流の低下です。心臓から送り出された質のいいきれいな血液が全身をスムーズに巡り、毛細血管にきちんと行き届けば、目の症状は改善に向かいます。【解説】小栗章弘(おぐり眼科名古屋院・長浜院理事長)


血流アップで視界スッキリ“目にいい食事” 眼科医推奨薬膳レシピ(1)

血流アップで視界スッキリ“目にいい食事” 眼科医推奨薬膳レシピ(1)

老眼、近視、緑内障や白内障、黄斑変性にドライアイ……眼科の諸症状は、目薬などの局所的なケアで治る、と思っていませんか?それでは、根本的な改善は望めません。【解説】小栗章弘(おぐり眼科名古屋院・長浜院理事長)【料理】MICHIKO(食養生士・料理研究家)