【足の裏が痛い 足首が痛い】対策に "足の指回し" 猫背・股関節痛・ひざ痛にも効果

【足の裏が痛い 足首が痛い】対策に "足の指回し" 猫背・股関節痛・ひざ痛にも効果

「足の指を回す」という健康法が、人気を集めているようです。確かに、足の指を回したり、もんだり、伸ばしたりして刺激することは、整形外科的に見ても意義のあることだと思います。その理由を説明しましょう。【解説】足立宏太(駒沢あだち整形外科院長)


足の指や足底は全身の状態を表している

「足の指を回す」という健康法が、人気を集めているようです。確かに、足の指を回したり、もんだり、伸ばしたりして刺激することは、整形外科的に見ても意義のあることだと思います。

 その理由を説明しましょう。
 私は開業前から、「リハビリに力を入れたい」と考えていました。リハビリというと、ケガから回復するための訓練を想像するかもしれませんが、私が重視しているのはむしろ、ケガを予防する体づくりです。
 ですから当院では、「診断して薬を出して終わり」ではなく、必要に応じて筋肉トレーニングやストレッチなどのセルフケアをお教えしています。

 当院は駅から近いこともあって、高齢の患者さんも多く見えます。症状の多くは、関節や筋肉の痛み、しびれです。腰痛、ひざ痛、股関節痛のほか、足底(足の裏)や足首の痛みを訴えるかたも少なくありません。

 患者さんに共通しているのは、「歩けない」「歩くのに支障がある」ということです。その原因がどこにあるのか、患者さんの話を聞きながら調べていきます。
 足底や足首に症状がある場合はもちろん、腰痛の患者さんの場合も、足の指の状態を診察します。下肢(足)にマヒが出ているかどうかを調べるために、足の指の動きを診るのです。

 そのときに、「足の内アーチ(土踏まず)がつぶれて扁平足になっている」とか、「足の裏や指にタコがある」といった情報を得られることがあります。それが、歩き方や姿勢の偏り、ひいては関節痛の原因となっているケースも少なくありません。
 そういった意味で、足の指や足底は、全身の状態を表しているともいえます。

足の指でふんばれないと腰が曲がって痛みだす

 私たちは皆、年を重ねるにつれ、筋力が衰えます。足の指や足底の筋肉も、例外ではありません。特に近年、靴の機能性が高まってきたため、足の指でふんばったり、足底で地面をけり上げたりしなくても、難なく歩けるようになりました。
 そうやって靴に頼っていると、足底の筋肉はますます衰弱します。高齢者の転倒事故の多くが、自宅で起こっていることは、そのことを裏づけているのではないでしょうか。

 足底の筋力が低下すると、アーチがつぶれ、本来なら地面につかない部分が歩くたびに刺激され、タコやウオノメができたり、外反母趾になったりします。
 皆さんも経験があると思いますが、ほんの少し靴ずれができたり、足の指を深爪したりしたとき、そこをかばうため、歩き方が不自然になるでしょう。
 本来の歩行は、つま先を上げてかかとから地面につき、指のつけ根で地面をけり上げて、前に進みます。しかし、足の指や足底に痛みがあると、足首を動かさずに歩くようになります。いわゆる「すり足」です。

 足の指や足底、足首も、ほかの部位同様、使わないとますます筋力が落ちていきます。地面をけらず、すり足で歩いていると、ふくらはぎや太ももの裏、お尻の筋肉も弱ってきます。すると、さらにつま先が上がらなくなり、すり足が助長されるという悪循環になるのです。
 足の指でふんばれなくなると、かかとに体重をかけることになります。すると、バランスを取るために、上半身が前に来て、ひざと腰が曲がります。その結果、骨盤のバランスがくずれ、腰や背中が曲がって、痛みが生じるのです。

 高齢の女性で「ネコ背になってきた」「腰が曲がってきた」という場合、女性ホルモンの減少によって骨が弱くなり、脊椎(背骨)を圧迫骨折していることが少なくありません。一方で、脊椎に異常がないのに背中が曲がるケースもありますが、それは「足首から先の筋力低下」に起因することが多いのです。
 そこで私は、患者さんに「足底を鍛えるために、足の指を動かしてくださいね」と伝えています。具体的には、足の指でグー・チョキ・パーをする「足指ジャンケン」と、床に敷いたタオルを足の指で引き寄せる「タオル・ギャザー」です。
 ただし、足底の筋力が低下した人にとって、この二つは難しいでしょう。ですから、まず、足の指を1本ずつ手で回したり、足の指と指の間に手の指を入れて広げたり、多方向に動かしたりして、可動域(動く範囲)を広げるところから始めましょう。

 腹筋や背筋を鍛えるトレーニングと同様、足底の筋肉も、いきなり自力では動きません。最初のうちは、足の指を手で動かして、機能回復を補助してあげましょう。
 体の痛みを改善するには、整形外科での治療のほかに、セルフケアが非常に重要です。簡単にでき、毎日続けやすいセルフケアとして、足の指回しはお勧めです。入浴中やお風呂上がりなど、体が温まっているときに行うといいでしょう。

足立宏太先生
北里大学医学部卒業後、日本医科大学高度救命救急センター、順天堂大学整形外科を経て、現職。順天堂大学整形外科非常勤助手。ケガや病気の治療とともにリビリテーションに力を入れている。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

この健康情報のエディター

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