解説者のプロフィール

おおば しゅうじ
長崎大学医学部卒業。南部徳洲会病院総合診療部医長、沖縄ナチュラルクリニック院長などを歴任。高血圧、糖尿病、ガン、心臓病、自己免疫性疾患などのさまざまな病気において、食事療法を中心とした生活習慣の指導を行っている。
長男のぜんそくがみるみる改善した!
私は西洋医学を学んだ医師ですが、病院の治療や薬だけで病気を治すことは難しいと思っています。そう考えるようになったのは、長男の小児ぜんそくがきっかけでした。
私の長男は、2歳になる前からセキが出始め、呼吸もゼイゼイするようになりました。病院ではぜんそくと診断され、薬を飲み始めたのですが、症状はなかなか治まりません。それどころか発熱もするようになって、薬も増える一方でした。
これは、私が診ている患者さんたちにも同じことが言えました。高血圧や糖尿病の薬を毎月もらいに来る患者さんたちは、いつまでたっても薬を止めることができません。薬を飲んでいれば症状を抑えられますが、飲まなくなると悪化します。薬では治すことはできないのです。
西洋医学には限界があることを悟った私は、長男のぜんそくを治す方法を西洋医学とは別の方面で探し始めました。その結果、行きついた療法が、アメリカのマックス・ゲルソン医師が考案した「ゲルソン療法」、そして「ヒポクラテス式野菜スープ」です。ゲルソン療法では、全身すべての細胞を活性化し、自然治癒力を高めるために、食事・生活習慣などの指導を行います。そのゲルソン食事療法の軸になるのが、ヒポクラテス式野菜スープです。
ヒポクラテス式野菜スープ
ヒポクラテス式野菜スープ(以下、野菜スープ)は、古代ギリシャの医学者で「医学の父」と呼ばれるヒポクラテスが、滋養食として用いたことからこの名前で呼ばれています。ヒポクラテスは、「食事で治せない病気はない」という言葉を残すほど、食事を重視していました。
野菜スープは、セロリ、長ネギ、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ニンニク、パセリの7つの野菜で作ります。どれも栄養の面で非常に優れた野菜です。
私はまず、自分の家族で実践してみました。すると、長男のぜんそくは確実に回復していき、1年ほど経った頃には薬を止めることができたのです。長男とともに私も野菜スープを飲むことに加え、生活習慣を改善したことで、71㎏だった体重がわずか半年間で12㎏やせて59㎏になりました。

ガンや生活習慣病が 改善したという報告多数
効果を実感した私は、高血圧や糖尿病などの患者さんに勧めるようになりました。野菜スープを継続した患者さんのうち、血圧や血糖値が改善し、薬を減らせた人が3年間で61人、薬を止めてもよい状態にまで回復した人が11人います。
また、ガンや心臓病も、食事と生活習慣が大きく影響することがわかりました。心臓病の人が、食生活を変えただけで薬が減ったり、ガンで余命半年と言われた人が、食事と生活習慣を変えたことでガンが小さくなったり、治癒したりしたという報告はたくさんあります。
野菜スープで野菜の栄養を取ることには大きなメリットがあります。野菜を食べることは体にとても必要なことですが、ガンや消化器系の病気で消化力が落ちている人は腸内の細菌バランスも悪いので、消化・吸収の悪い生野菜は負担になります。
その点、野菜は加熱すると消化しやすくなるうえ、この野菜スープは、さらに裏ごしして繊維質を除きます。すなわち、かなり内臓が弱っている人でも、野菜の栄養をしっかり消化・吸収できるのです。
この野菜スープでは、塩などの調味料はいっさい使いません。しかし、初めて飲んだ人はそのおいしさに驚きます。「野菜だけでここまでうま味が出るのか」と思うはずです。子どもの口にも合うので、お子さんの栄養補給にも最適です。
食べ物の健康法はおいしくなければ続きません。野菜スープはおいしいですし、いろいろな料理に応用もできます。味を楽しみながら、健康になれるでしょう。
野菜スープは、スープカップに1〜2杯程度、昼と夜の1日2回飲むのが理想です。ただ、それが困難な人は1日1回でも効果は期待できます。出来上がった野菜スープは、冷蔵庫で保存し、48時間以内に飲み切るようにしましょう。しかし、大きな病気のない人が、健康維持のために飲むぶんには冷凍保存しても構いません。
野菜の栄養を しっかり吸収して万病を治す ヒポクラテス式 野菜スープの作り方
●材料
(1〜2人、約2日分)
セロリの茎 2〜3本
長ネギ 中1本
タマネギ 中1個
トマト 小3〜4個
ジャガイモ 中または大2個
ニンニク 4〜5片
パセリ 少々

