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医師自ら実践!野菜を先に食べる「サキベジ」でダイエット成功!血糖値も下がる!

医師自ら実践!野菜を先に食べる「サキベジ」でダイエット成功!血糖値も下がる!

サキベジのやり方は、いたって簡単です。「食事の最初に野菜をたっぷり食べる」です。目安として10分以上、野菜を食べてから、おかずやごはんを食べることをお勧めします。【解説】内場廉(長野市国保大岡診療所所長)

解説者のプロフィール

内場廉(うちば・きよし)
米大学病院麻酔科に入局。いくつかの病院勤務を経て2000年より長野市国保大岡診療所所長。東邦大学医学部、信州大学教育学部非常勤講師。自身も40代後半の時に糖尿病を指摘され、数多くの合併症を経験したことがきっかけとなり「3つの習慣」を実践して糖尿病を安定的にコントロールしている。ここ10年は動脈硬化と血圧の研究に取り組む傍ら、NPO法人「寝たきりを半分に減らす」の理事を務め、年間50を超える講演も実施。著書に『糖尿病で寝たきりにならないための血管マネジメント』(光文社)、監修書に『お医者さんが成功した!計るだけダイエット』(宝島社)。

野菜を先に食べる「サキベジ」を推進

私の診療所のある長野県は、近ごろでは長寿県として知られています。しかし、一方で、脳卒中による死亡率が全国でも高く、その後遺症による寝たきり患者も多いのが実状です。

そこで私たちは、NPO法人「寝たきり半分推進協議会」を立ち上げ、脳卒中を減らすため、毎朝、血圧・体重を計るとともに、食事で「野菜から食べる」習慣を広めてきたのです。

この活動は徐々に実を結びつつありますが、そこから思わぬ副産物が生まれました。

「野菜から食べる」ことのよさが認められ、脳卒中対策とは別に、より幅広い健康運動として広めることになったのです。
「野菜から食べる」を、インパクトをもって簡単に伝えるため「サキベジ」という言葉も作りました。

サキは最初という意味の「サキ」、ベジはベジタブル(野菜)の略です。食事の最初に野菜をたっぷり食べることを意味しています。私の診療所がある長野市では、「サキベジ推進協議会」が立ち上げられ、加藤久雄長野市長が会長になってサキベジを積極的に推進しています。

私も、もちろん自分でサキベジを行うとともに、患者さんたちに勧めています。その効果には目を見張るものがあります。

そもそも私がサキベジを推進し始めたのは、自分自身の経験が元になっています。

1ヵ月に8kgのペースで体重が落ちた

実は、私は幼少時から太り気味で、大人になると完全な肥満体となり、ピーク時の体重は148kg(身長は181cm)ありました。

糖尿病と診断され、インスリン注射を始めました。それでも血糖値は200mg/dlを超え(正常値は110mg/dl以下)、2~3ヵ月の血糖値を反映するヘモグロビンA1cは11.1%もありました(同6.5%未満)。

そんなとき、学会で聴いた講演をヒントにサキベジを始めてみたところ、面白いように体重が落ち始めました。1ヵ月に8~10kgのペースで落ち、半年後には83kgになりました。その後も減って、標準体重の75kg前後で落ち着いたのです。

サキベジを始めて9ヵ月後には、血糖値は85mg/dl、ヘモグロビンA1cは4.9%と正常値になり、インスリン注射や経口薬も不要になりました。

重要なのは、この間、私は「常におなかいっぱい食べていた」ということです。それなのに、劇的に体重が落ち、血糖値も正常値まで下がりました。これがサキベジの力です。

私だけではありません。当院の糖尿病患者さんの約半数は、食事療法のみで正常値の血糖値を保っています。薬を使っている人も、大部分は最も軽いDPP‐2阻害薬という経口血糖降下剤のみで、インスリンを使っている人は、ごくわずかです。

太っていたころの内場先生(左)と現在の内場先生

3つの効果で血糖値が下がる

サキベジには、以下の3つの効果があります。

①時間効果(食事がゆっくりになる)

食べ始めて、脳の満腹中枢が満腹感を感じるまでには、20分かかるといわれています。ですから、先に野菜を食べれば、その分、ごはんや肉などが少なくても満腹感が味わえるのです。

例えば、肉を1kg食べた満足感と、野菜600g+肉400gを食べた満足感は、食べて10分もたてば同じです。同じ満足感を得られるうえに、血糖値のコントロールにも、ダイエットにも効果を発揮します。

②量の効果(余計なものを食べなくなる)

先に野菜を食べれば、量的にほかの食品が減ります。食事全体のエネルギーは下がり、ビタミン、ミネラル、食物繊維が増えます。内臓脂肪を余計にためこまなくなり、ポッコリおなかも解消することができます。

③バリア効果(栄養の吸収がゆっくりになる)

先に野菜を胃腸に入れると、後から取る糖や脂肪の吸収速度が遅くなります。特に、血糖値の上昇がゆるやかになるのが肝心です。

血糖値は、急に上がった後は急に下がります。そして、脳は急な血糖値の降下を感知すると空腹感を起こすのです。サキベジで空腹感が起こりにくいのは、血糖値の上昇・下降がゆるやかになるからです。

次項で紹介するサキベジのやり方は、とても簡単です。ぜひ実行してみてください。

どんな種類の野菜でもOK

サキベジのやり方は、いたって簡単です。「食事の最初に野菜をたっぷり食べる」です。目安として10分以上、野菜を食べてから、おかずやごはんを食べることをお勧めします。

野菜の種類は、キャベツ、ホウレンソウ、ブロッコリー、トマトなど、なんでも構いません。

調理方法にも決まりはありませんが、どちらかというと、生より加熱調理したほうがたくさん食べられるのでお勧めです。野菜を食べやすくするには、薄味にするとよいでしょう。私自身は、鍋物や炒め物、煮物などをよく食べています。

難しく考えなくてよいので、とにかく食事の最初に好きな野菜をたっぷり食べてください。

サキベジを患者さんに指導して10年がたちますが、多くの人が無理なく血糖値をコントロールでき、減量にも成功しています。面白いのは、患者さんの中でも、ちょっと太り気味、ちょっと小太り体形の人ほど、サキベジによる劇的な健康効果が得られるということです。

小太りの人は、2~3kg落としただけで、血圧や血糖値が下がり始め、コレステロール値が正常になるなど、血液検査の結果が抜群によくなります。おまけに、やせたことによって腰やひざへの負担も減るので、腰痛やひざ痛も軽減します。

それだけではありません。サキベジを実践すると、まっさきにお通じがよくなり、便秘の悩みが解消します。

また、野菜のビタミンやミネラル、酵素などをたっぷり取るので、肌がピカピカ、ツヤツヤになり、肌年齢の若返りも期待できます。

サキベジのやり方

生活習慣病の原因はすべて「食べ過ぎ」

糖尿病をはじめ、高血圧、脂質異常症など、現代の病気のほとんどは食べ過ぎが関係しています。

日本には標準体重の糖尿病患者が多いのですが、太っていなくても、その原因は食べ過ぎです。認知症も「糖尿病といえない程度の高血糖」が続くとリスクが高まることがわかってきました。つまり、認知症にも食べ過ぎが関係しているのです。

しかし、食べ過ぎが悪いとわかっていても、食べるのを我慢することは、なかなかできません。そこで「サキベジ」です。

サキベジをすれば、おなかいっぱい食べながら、取り過ぎているエネルギー、糖、脂肪を食事から削ることができます。

糖尿病に限らず、生活習慣病全般の対策になり、認知症予防にも役立ちます。サキベジの出発点となった寝たきりを減らす運動も広まり、当院のある大岡村では、脳卒中や寝たきりが少なくなったように思います。

サキベジは5勝2敗でいい

サキベジを続けるにあたって、私がいつも皆さんにお話ししているのは「5勝2敗の法則」です。

日常生活では、宴会や接待があって、サキベジができない日もあります。また、時には、食べ放題に行きたい、お酒を飲みたい、ケーキを食べたいという日もあります。

そんなとき、「5勝2敗の法則」で乗り切ればいいのです。

普段の日を「勝ちの日」とするなら、サキベジができない日は「負けの日」です。1週間のうち、2日は負けてもいいので、残り5日は野菜をたっぷり食べて勝てばいいのです。

難しく考えず、楽しくサキベジを習慣にしてください。野菜が取れない日は、野菜ジュースで代用する日があっても構いません。無理をしないことが、長く続けるコツです。

私は、サキベジの習慣を、大人だけでなく、次世代を担う子どもたちにこそ伝えたいのです。正しい食の知識と習慣を子どもたちに伝えるのが、私たち親の使命と思っています。そのためにも、今後もしっかりサキベジを広めていくつもりです。

超簡単!おいしいサキベジレシピ

的場明子(管理栄養士・健康運動指導士) 古澤靖子(料理・スタイリング)

「野菜ゴロゴロスープ」

【材料】(スープ皿8~10杯分)
ニンニク……ひとかけ、タマネギ……大1個
ニンジン……中1本、ジャガイモ……中5~6個
季節の野菜4~5種類……合わせて800g
オリーブオイル……大さじ1、白ワイン……150mL
野菜ジュース(無添加のもの)……1L
水……適量(全体がひたひたになる量)
大豆の水煮……150g
塩……適量(足りなければ粉チーズで調整)
レモンの皮(あれば無農薬のもの)……適量
粉チーズ……適量、コショウ……適量

【作り方】
ニンニクはみじん切りにする。その他の野菜は、スプーンにのる程度の大きさに切る。
大きめの鍋にニンニクとオリーブオイルを入れる。弱火にし、オリーブオイルにニンニクの香りが移るまで炒める。
②に①の残りの野菜をすべて加え、オリーブオイルがなじむまで炒める。
③に白ワイン、野菜ジュースを入れ、野菜がかぶる程度の水を加える。沸騰したら弱火にして、野菜が軟らかくなるまで煮る。
④に大豆の水煮を加え、味が足りなければ塩を足す。
器に盛り付け、千切りにしたレモンの皮、粉チーズ、お好みでコショウをかけて出来上がり。

《内場廉先生の一言コメント》
「季節の野菜は何でも構いませんが、モヤシは食感が悪くなり、カボチャは溶けてスープの色が悪くなるのでお勧めしません。我が家では、キノコ類やズッキーニ、冬ならハクサイをよく入れます。白ワインは安物で構いません」

「キノコだらけのオムライス」

【材料】(2人分)
タマネギ……1/2個
シメジ……1と1/2パック(150g)
エノキタケ……1と1/2パック(150g)
オリーブオイル……適量
冷やごはん……茶わん1膳強(150~200g)
野菜ジュース(無添加のもの)……300mL
卵……2個
粉チーズ……大さじ2
ソーセージ(ひと口大に切っておく)……2本
スライスチーズ(ちぎって固まりにしておく)……2枚

【作り方】
タマネギをみじん切りにする。シメジとエノキタケは細かく切る。
フライパンにオリーブオイルを熱し、タマネギを炒める。火が通ったらシメジとエノキタケも加え、炒め合わせる。
②に冷やごはん、野菜ジュースを加え、リゾット状になるまで炒めて火を止める。
別のフライパンに卵を溶いて入れ、薄焼き卵を2枚作る。
皿を2枚用意し、④をそれぞれのせる。その上に③をのせ、粉チーズ、ソーセージ、スライスチーズをまばらに並べる。
お好みでコショウを振り、薄焼き卵を折り返してオムライスの形にし600Wの電子レンジで5分間加熱して出来上がり。お好みでケチャップ(分量外)をかけてもよい。

《内場廉先生の一言コメント》
「1人分の重さは600gほどあってボリューム満点なのに、キノコばかりなので低カロリーで低脂肪です。冷めたときは、600Wの電子レンジで4~5分加熱すれば中がトロトロのオムライスになります。お弁当にするのもお勧めです」

「パプリカの甘酢炒め」

【材料】(2人分)
パプリカやピーマン……合わせて200g
ハム……2枚、オリーブオイル……大さじ1
砂糖……大さじ1弱、酢……大さじ1

【作り方】
パプリカ(ピーマン)とハムを、5mm幅に切る。
フライパンにオリーブオイルを熱し、ハムを炒める。香りが立ってきたらパプリカを入れて、油がなじむまで炒める。
砂糖と酢を混ぜ合わせて、②に入れる。軽く炒めて出来上がり。

《内場廉先生の一言コメント》
「黄色や赤のパプリカ、ピーマンを混ぜると彩りがよくなります」

「コールスローサラダ」

【材料】(2人分)
キャベツの千切り……1/2個分(パック入りのものなら3パック)
ベーコンこま切れ……60g
卵……2個、マヨネーズ……45g
しょうゆ……大さじ2
コショウ……お好みで
水にさらしたタマネギ……お好みで適量

【作り方】
大きめのボウルに千切りにしたキャベツを入れる。
フライパンを熱し、ベーコンをカリカリになるまで炒める。そこに卵を割り入れ、黄身が半熟になったら火を止める。
①に②と残りの材料をすべて入れ、全体がなじむまで混ぜ合わせ出来上がり。

《内場廉先生の一言コメント》
「出来上がった後、1時間くらい置くとキャベツから水分が出て味がなじみます。そのときに味が足りなければ調整してください。私はごはんやパンに、たっぷりのせて食べるのがお気に入りです」

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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