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好きなだけ食べてOK!血糖値が下がり安定する糖質制限食

好きなだけ食べてOK!血糖値が下がり安定する糖質制限食

皆さんは「糖質」というと、何をイメージするでしょうか。「お菓子などの甘い物」という人が多いのではないでしょうか。もちろん正解ですが、それだけではありません。「甘くない糖質」もあるのです。【解説】牧田善二(エージーイー牧田クリニック院長)


「老化や病気を防ぐ」と牧田先生

牧田善二
1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学で、5年間、糖尿病の合併症であるAGEの研究を行う。96年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部主任教授。03年、東京・銀座に糖尿病治療のための「AGE牧田クリニック」開設。著書に『糖尿病で死ぬ人、生きる人』(文春新書)など多数。

●AGE牧田クリニック
東京都中央区銀座5-5-14 GINZA GATES 5F
[TEL]03-6252-4550
http://www.ageclinic.com/

血糖値が安定し 確実にやせる

 皆さんは「糖質」というと、何をイメージするでしょうか。「お菓子などの甘い物」という人が多いのではないでしょうか。もちろん正解ですが、それだけではありません。「甘くない糖質」もあるのです。

 ごはんやパン、めん類などに含まれる炭水化物は、糖質と食物繊維で成り立っています。甘い物を食べていなくても、普段から、ごはんなどを多く食べる人は、実は糖質を取り過ぎているのです。

 糖質を取ると、体内で糖質がブドウ糖に分解されます。血液中にブドウ糖が増えると血糖値が上がり、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、ブドウ糖が肝臓や筋肉に取り込まれます。このとき、取り込みきれない余分なブドウ糖は、脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられます。つまり、太るわけです。

 体重が増えると、この作業をするのに、より多くのインスリンが必要になるため、血液中に絶えずインスリンが放出され、体は常に脂肪をため込もうとします。しかし、糖質を控えれば、インスリンの分泌は正常に戻ります。さらに、体はブドウ糖から得ることのできないエネルギーを、脂肪を分解して得ようとするため、やせるのです。
 このメカニズムに着目した、糖質を控える食事法が、「糖質制限食」です。糖尿病の食事療法として、欧米では何年も前から指導されてきた方法です。

 私のクリニックでも、糖尿病の患者さんにはすべて糖質制限食を指導していますが、皆さん、血糖値が安定するだけでなく、確実にやせていきます。もちろん糖尿病でない人でも、糖質制限食を実践すると、確実にダイエットできます。

蕎麦よりステーキ!

 通常、ダイエットをするとき、最も気にするのは、摂取カロリーではないでしょうか。「カロリーの高い肉料理や揚げ物などは、なるべく食べない」という人も多いと思います。

 しかし、それは間違いです。低カロリーですが糖質の多いそばを食べるより、カロリーが高くとも、糖質の少ないステーキを食べたほうが、食後のインスリン分泌が抑えられ、体に脂肪がつきにくくなります。
 実際、私の患者さんの食後の血糖値を見ても、糖質の多い白米を食べたときよりも、主食を抜いてステーキを食べたときのほうが低いのです。

 権威ある医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』でも、2008年に、カロリー制限よりも糖質制限のほうが、体重減少に効果があることが発表されました。

 この発表の示すとおり、ダイエットのためには、何よりもまず糖質制限が必要なのです。

1日の糖質摂取量の目安

糖質の取り過ぎは 老化も促進する

 近年の研究では、糖質は老化や病気を招くこともわかってきています。

 体内で余った糖質(ブドウ糖)は、コラーゲンなどのたんぱく質と結びつきます(糖化)。このとき、体内ではAGE(終末糖化産物)という物質ができます。

 AGEが体内にたまると、肌のシワやシミ、たるみ、血管や骨などの老化が起こります。このことから見ても、若々しく健康な体を維持するためには、糖質を控えた食事が一番といえるでしょう。

 アメリカの糖尿病学会では、1日の糖質摂取量を、男性は130g以下、女性は100g以下としています。この数値から考えると、日本人の場合は、1日の糖質摂取量を、男性は100g以下、女性は75g以下にするといいでしょう。なるべく糖質摂取量を減らしたほうが、ダイエットには効果的です。極端な話、糖質の摂取量がゼロになったとしても、体脂肪がある限り、問題なく生きていけます。

 糖質制限食をするにあたって最も簡単で手軽、しかも効果が高いのは、主食を抜くことです。

 その代わり、おかずはたっぷり食べてOK。カロリーを気にする必要がないので、肉や魚も好きなだけ食べて構いません。コレステロールが気になる人は、肉などの代わりに、魚や豆類でたんぱく質を補うとよいでしょう。

 糖質制限食を始めると、すぐに体重は落ちます。また、糖尿病の人は、これまでの食事から少し糖質を減らすだけで、血糖値が下がります。ただ、急激にやせると、免疫力(病気に対する抵抗力)が下がったり、肌の調子が悪くなったりします。健康的で、しかもリバウンドを避けるためには、月に1~2㎏のペースで体重を落としていくのが理想です。

「糖質制限をすると、眠くなったり脳が働かなくなったりするのでは」と心配な人もいるでしょう。しかし、健康体であれば血糖を一定に保つ機能が備わっているため、心配ありません。

 一つ注意していただきたいのは、糖質制限食を始めると、炭水化物に含まれる食物繊維の摂取が減るため、便秘になりやすくなります。野菜やキノコなど、食物繊維の多い食品を意識して取り、水分もたっぷり摂取するようにしましょう。

 糖質制限食は、基本的にはどなたにもお勧めできる方法ですが、食事のたんぱく質の量が増えるため、腎臓病の人や妊娠中の人は避けましょう。妊娠糖尿病の人は、不安であれば医師と相談の上、お試しください。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

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